昨今では、インターネットの普及により国内でもシェアリングエコノミーが急速に拡大してきました。
身近な例で言うと、メルカリやココナラ、Crowd Works(クラウドワークス)などが挙げられます。この記事を読んでいるあなたも利用したことがあるのではないでしょうか?
この記事は、シェアオフィスNagatacho GRiDや体験のシェアプラットフォームaini(旧:TABICA)など、シェアリングエコノミー領域の事業に注力し、代表がシェアリングエコノミー協会の代表理事も務めるガイアックスが、シェアリングエコノミーの定義やメリットについて、具体的な事例を交えて解説していきます。
シェアリングエコノミーについて理解することで、サービスを利用することはもちろんのこと、ビジネスの幅を大きく広げるヒントが見つかるかもしれません。
シェアリングエコノミーとは?
シェアリングエコノミーとは、従来のような、企業から消費者に向けてサービスの提供を行う経済活動ではなく、消費者同士でサービスを提供し合うことで価値を生み出す、新たな形の経済活動のことを表します。
現在ではインターネットが普及したことで、個人でも多くの人と直接つながることができるようになりました。企業でなくても、自宅にゲストを泊める、車で送迎する、料理を提供する等のサービスが、消費者個人でも簡単に行うことが可能になりました。
簡単にまとめると「モノや場所、スキルや時間などを個人間で共有するサービス」というイメージです。
シェアリングエコノミーの定義
総務省によると「シェアリングエコノミーとは典型的には個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービスである」と定義づけられています。
また、シェアリングエコノミーを利用する双方の間では、貸主は遊休資産の活用による収入が得られ、借主は自身で所有することなく利用ができるというメリットが生まれるのが特徴。
代表的なシェアリングエコノミーの例の1つとして、Airbnb(エアビーアンドビー)が挙げられます。部屋を探している人と部屋を貸してあげる人をマッチングさせる、このAirbnbのサービスをご存知の方もいるのではないでしょうか?
自分が所有している住居に空室があれば、Airbnbを利用することで、宿泊費を対価として部屋を必要とする人に共有することができます。
部屋を貸す側は、空き部屋を利用して家賃の負担を軽減させることができ、部屋を借りる側は、ホテルに宿泊するよりも費用を抑えることができるので、お互いWin-Winの関係を築くことが可能に。
このように、個人が保有する遊休資産の貸出しを仲介するサービスが「シェアリングエコノミー」であると定義されています。
シェアリングエコノミーが注目されている背景
シェアリングエコノミーが注目されるようになった背景には、主に下記の2つの理由が挙げられます。
- 人々の価値観の変化
- インターネット技術の発展
それぞれ詳しく解説していきしょう。
人々の価値観の変化
シェアリングエコノミーが注目されている背景の1つとして、人々の価値観が変化したことが挙げられます。
1950年代の戦後における経済復興の時代では、モノが増えていくにつれ、人々の幸福度も増していく時代でした。モノが不足しているという時代背景もあり、「所有すること」に対する人々の欲求が高く、モノを多く所有している人ほど幸福度が増すという価値観が主流だったのです。
しかし、多くのモノに溢れている現代では人々の「所有すること」に対する欲求は薄れつつあり、「モノによる豊かさ」だけではなく、人との繋がりやストレスフリーな暮らしなど「心の豊かさ」を重視する価値観が広がってきています。
こうした人々の価値観の変化によってシェアすることの価値観に共感する人が増え、シェアリングエコノミーが急速に普及する要因の1つになったと考えられます。
インターネット技術の発展
シェアリングエコノミーが注目されるようになった重要な背景として、インターネット技術の発展が挙げられます。
具体的には、下記の2つがポイントです。
- インターネットの技術革新により個人間の取引費用が低下したこと
- スマートフォンの普及により時間や場所の制約が緩和されたこと
インターネット技術が発展し、人々の間でスマートフォンが普及したことで、あらゆる取引が低コストかつ迅速に行えるようになりました。ネット環境さえあれば、時間や場所に縛られず、スマホ1つで簡単にサービスが利用できる点もシェアリングエコノミーが急速に普及した要因であると考えられます。
また、シェアリングエコノミーのプラットフォームとSNSを連携させることにより、個人間のニーズのマッチングや信頼性の担保強化を可能にしている点にも注目です。個人間で取引が行われるシェアリングエコノミーでは「信頼性」の担保が欠かせません。SNS上でユーザーの評判が投稿されることにより、初めて利用する人でも安心して利用することができます。
このように、「信頼性」が担保されているという点もシェアリングエコノミーが一般化した大きな要因となっているでしょう。
シェアリングエコノミーのメリット
シェアリングエコノミーのメリットは、主に下記の4つが挙げられます。
- あらゆるコストが削減可能
- 資産としての新たな価値を付与
- 新たな消費を生み出すことで経済発展を促進
- 人との繋がりが生まれる
あらゆるコストが削減可能
シェアリングエコノミーを利用することで、あらゆるコストを削減することが可能です。
従来までは、自分が所有することを前提として車や物件などを購入する必要がありました。
しかし、シェアリングエコノミーを活用すればモノを購入する必要がなく、購入後の維持や管理に必要なコストを大幅に削減することができます。
また、シェアする側もすでに所有している資産を貸し出すだけで済むので、設備投資や初期費用などのビジネスに必要なコストを削減することが可能です。
資産としての新たな価値を付与
シェアリングエコノミーの特徴として、資産としての新たな価値を付与できるという点が挙げられます。
所有しているけど最近使っていない車や部屋などをシェアすることで、不要なモノでも資産としての新たな価値を付けることが可能です。
もちろん、モノに限らず自分の暇な時間や生かしきれていない資格やスキルを、必要としている人にシェアすることで新たな価値が生まれ、対価として新たな収入を得ることも。
新たな消費を生み出すことで経済発展を促進
シェアリングエコノミーによって新たな消費が生まれると、そこから経済の発展にもつながっていきます。
民泊やカーシェアなどのシェアサービスを利用することで、コストを削減しつつ楽しむことが可能です。これにより、遠方へ出かける利用者が増え、現地での消費活動が活発に。
また、体験したサービスの満足度が高ければ、リピーターとして継続的な経済発展に貢献することができるでしょう。
人と人の繋がりが生まれる
シェアリングエコノミーでは、価格的なメリットだけでなく「人との繋がり」を体験できるという特徴があります。
シェアハウスや民泊など、最初は価格的なメリットからサービスを利用する人も多いですが、実際に体験することで自然に人との繋がりが生まれ、よい人間関係を築くきっかけになります。
モノがあふれる現代では、「モノによる幸福感」よりも「人との繋がりによる幸福感」のほうが大きいと感じる方も多いのではないでしょうか。
シェアリングエコノミーを利用する一つの大きなメリットは、さまざまな人との繋がりを生み出すことができることかもしれません。
シェアリングエコノミー5つの領域
シェアリングエコノミーには、大きく分けて5つの領域が存在します。
- モノのシェア
- 空間のシェア
- 移動のシェア
- スキルのシェア
- お金のシェア
それぞれ具体例を交えながら、詳しく解説していきます。
モノのシェア
モノのシェアの領域で代表的なプラットフォームと言えば、「メルカリ」です。
スマホ上のアプリを通じて、不要なモノやハンドメイド商品を出品し、欲しいと感じたユーザーが購入する形式のサービス。取引が全てオンライン上で完結することから、非常に多くのユーザーから利用されています。
他にも、月額制で洋服やバッグが使い放題になるサービスや、ポケットWi-Fiのレンタルサービスなども「モノのシェア」の一例ですね。
実際に所有するよりも、シェアリングエコノミーを利用して共有することで、コストを抑えて多くのモノが使用できるようになります。
空間のシェア
空間のシェアの領域で代表的なプラットフォームと言えば、前述でお話しした「Airbnb」ですが、空間のシェアは宿泊スペースのみに限らず、会議室やオフィスといったスペースも共有されるようになりました。週末の企業のオフィスや、平日の結婚式場など、時間帯や時期によって使用頻度の少ないスペースを有効的に活用することで、双方にとってWin-Winの関係性を築くことができます。
移動のシェア
シェアリングエコノミーの中でも、移動のシェアは特に認知度が高いのではないでしょうか。移動のシェアの例としては、「Uber」が挙げられます。Uberの仕組みを簡単に説明すると、利用者はアプリ上で現在地と目的地を指定することで、登録ドライバーがリクエストを受けて利用者を送迎するというものです。
また、Uberにはドライバーに対する評価機能が導入されており、評価を基準に選択することができるため信頼性も担保されています。
日本国内では「Uber Eats」の方が有名かもしれませんね。Uber Eatsもシェアリングエコノミーを生かしたデリバリーサービスです。
スキルのシェア
シェアリングエコノミーでは、モノやサービスだけでなく、スキルや労働力などの「人手・能力」も共有することができます。具体的には、ココナラやCrowd Works(クラウドワークス)が例として挙げられますね。
ここでは、プログラミングやライティングのような専門スキルだけでなく、家事代行や人生相談といったサービスも共有されています。これらのサービスを活用することで、必要な人手やスキルをすぐに確保することが可能になります。また、自分のスキルをお金に変えることもできます。
リソースをシェアすることで、それぞれの得意な分野を生かして誰かの役に立つことができます。
お金のシェア
シェアリングエコノミーでは、クラウドファンディングのように、お金をシェアすることもできます。
クラウドファンディングは、金融機関からの資金調達にはない「手軽さ」や「拡散性の高さ」という点から、近年話題を集めているサービスです。「世の中に対して何かを成し遂げたい」「自分の考案したサービスを人々に届けたい」という想いを持つ人が、起案者として発信することで、共感した人が支援者として支援できる点がクラウドファンディングの大きな特徴です。過去には優れたアイデアに出資が集まり、商品化した事例もたくさんあります。
お金をシェアするというのは新しい概念ですが、今後もさらに浸透していくことは間違いないでしょう。
シェアリングエコノミーの事例
ガイアックスでは、「人と人をつなげる」をミッションに社内外のシェアリングエコノミー事業に投資し、社内事業のカーブアウトおよび社外事業への投資に取り組んでいます。
そのような背景もあり、ガイアックスから発足したシェアリングエコノミーの事業を例にシェアリングエコノミーサービスの事例を紹介していきます。
今回ご紹介する事例は、主に下記の4つ。
- aini(リソースのシェア)
- ADDress(空間のシェア)
- notteco(モノのシェア)
- Nagatacho GRiD(空間のシェア)
それでは、各事例について詳しく見ていきましょう。
aini(旧:TABICA)
ainiは、自分の好きなことを体験としてシェアできるサービスです。体験を企画・開催する側である「ホスト」と参加する側である「ゲスト」を繋げるプラットフォームのような役割を担っています。
キャンプや釣りなど、都会ではなかなか経験できないような体験でもainiで探せば簡単に体験することができ、最近ではコロナの影響によりオンラインイベントの人気も高まってきています。
親子で体験できるやワークショップや料理教室など、オンラインなら自宅からでも気軽に参加することが可能となり、2020年5月5日(こどもの日)に開催された「親子向けオンライン体験フェス~♯おうち時間を楽しもう~」は7,500人が参加する大盛況イベントとなりました。また、オンライン体験フェスなどで培った経験を生かし、2020年7月には「#オンライン青森夏まつり」に特別協力としてノウハウを提供しています。
「非日常的な体験をしてみたい!」という方は、ぜひ一度ainiをチェックしてみてください。
» ainiの詳細はこちら
ADDress
ADDressとは、提携している全国各地の一軒家に定額で住むことができるサービスで、ガイアックスからカーブアウトしたサービスの1つです。
空き家をはじめとした日本各地の遊休物件をリノベーション設計・管理・運用し、地方に移住したい人にお貸しすることで、空き家問題を解決すると同時に多拠点居住という新しいライフスタイルを提案しています。
利用者は敷金・礼金などの初期費用がかからず、全ての家に家具やWi-Fiなど生活に必要な設備が完備されているため、仕事をしながら各拠点を回ることができます。
窓から見える綺麗な海を眺めたり、釣りやマリンスポーツが楽しめる千葉の家や、豊かな自然に囲まれた温泉付きの家で疲れを癒せる静岡の家など、全国に140ヶ所以上(2021/4現在)の拠点があります。
多拠点生活に興味のある方は、ぜひADDressをチェックしてみてください。
» ADDressの詳細はこちら
notteco
nottecoは「安く移動したい人」と「ガソリン代などの実費を節約したいドライバー」をつなげる日本最大の相乗りマッチングサービスです。2007年にサービスを開始し、現在40,000人以上の会員を有しています。
nottecoを利用することで、高速代やガソリン代といったコストをシェアすることが可能。
また、同じ目的地・趣味の人と相乗りをすることで、移動の時間をより楽しむことができることから、多くの方に利用されるライドシェアサービスへと拡大してきました。
車での長距離移動が多く、移動の時間を楽しくコストダウンしたい方はnottecoを利用してみてはいかがでしょうか。
» nottecoの詳細はこちら
Nagatacho GRiD
Nagatacho GRiDは“日本で一番シェアが体験できるビル”として2017年2月に東京・永田町にオープンしたコミュニティビルです。新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け、2021年1月26日からはニューノーマルの時代に合わせたシェアオフィスとしてリニューアルし、 日本の中心地である永田町から新しい働き方を発信しています。
リモートワークの普及のより「より良い仕事環境」や「オフィススペースの縮小」など、働き方に合わせて柔軟に対応できる空間が求められている現代の課題に合わせ、Nagatacho GRiDでは敷金・礼金がかからず、契約した固定デスク1つにつき5人まで登録することが可能です。
また、契約条件に合わせ、ADDressによる「半年間ワーケーション放題」やZaPASSによる「オンラインコーチングセッション」を提供しています。
ニューノーマルの新しい働き方に興味のある方は、ぜひNagatacho GRiDをチェックしてみてください。
» Nagatacho GRiDの詳細はこちら
よりシェアリングエコノミーについて知りたいあなたは
本記事を読んでシェアリングエコノミーについて興味を持った方は、次の2つをご確認いただくと、より一層シェアリングエコノミーについての理解が深まるかもしれません。
- シェアリングエコノミーラボ
- シェアリングエコノミー協会
それぞれ詳しく解説していきます。
シェアリングエコノミーラボ
シェアリングエコノミーラボでは、シェアリングエコノミーに当てはまるプラットフォームビジネスの新規事業を検討している方に向けて、デザイン思考やリーンスタートアップの考え方をベースにした各種フレームワークをご紹介しています。
また、ニュースや事例データ、国内の法律や政策などのトレンドにも注目し、先駆的な取り組みを多方面で支援することが可能です。
» シェアリングエコノミーラボの詳細はこちら
シェアリングエコノミー協会
シェアリングエコノミー協会では、シェアリングエコノミーを取り巻く法規制の緩和に向けた政策提言に取り組んでいます。また、地域に眠る「遊休資産」を地域課題の解決のために活用することを目的に、自治体との連携と提案を実施。
シェアリングエコノミー協会に入会することで、会員企業同士のビジネスマッチングや各種セミナー・勉強会での交流機会を得ることが可能です。他にも、シェアリングエコノミー協会に入会することで様々なメリットがあるので、興味がある方は下記のURLから詳細をご覧ください。
» シェアリングエコノミー協会の詳細はこちら
最後に
シェアリングエコノミー事業に注力し、「人と人をつなげる」をミッションとしているガイアックスでは、シェアリングエコノミーこそ、まさに「つながった後に生まれる社会の姿」であると考えています。
2020年11月16日に開催された日本最大のシェアリングエコノミーのカンファレンス「SHARE SUMMIT 2020」において、ガイアックス代表の上田はシェアリングエコノミーについて以下のように語っています。
“資本主義社会にあったような、過剰に売り上げを上げよう、過剰にものを買わせようということがなくなり、消費者同士で助け合いながら、消費者同士が目の前にいる消費者を助けるべく、適切なサービスを提供すると、結果的に世の中の人が世の中のことを考えながら、全体的に効率的でハッピーな社会になると考えています。
【シェアサミット2020】シェアリングエコノミーの今後をガイアックス上田代表が語る より
シェアリングエコノミーでは、愛情や感情がこもった形でサービスを受けることができ、それと同時に、誰もが自由に自分らしいサービスを提供する形で社会に貢献することができるのです。
LEADER INSIGHT – シェアリングエコノミー
代表の上田がガイアックスについて語る動画シリーズ『LEADER INSIGHT』にて
- シェアリングエコノミーとは?
- 資本主義社会の課題とは?
- シェアリングエコノミーは、世界をどう変えるのか?
などのトピックについて語っています。
ぜひご覧ください!