私たちガイアックスは、“使命で動く” というPhilosophy (経営哲学/企業理念) を持っています。使命で動くとは、世の中の課題を自分ごととして捉え、ビジョンや問題意識を打ち出し、ムーブメントを生み出すことで社会を巻き込み実現すること。
そんなガイアックスメンバーの様子を連載で紹介していく「使命で動くシリーズ」、ご覧ください!
今回インタビューしたのは、スタートアップスタジオ事業代表の佐々木喜徳さん
ガイアックスでは「人と人をつなげて社会や個人の課題を解決するための事業を生み出す」をミッションに掲げ、それを実現するための手段として起業を考えている人への投資やサポートを行っています。様々な事業を生み出すスタートアップスタジオの責任者を務めつつ、技術開発部の本部長も兼任する佐々木さんが掲げる使命についてお聞きしました。
佐々木 喜徳
組み込みOS開発やテクニカルサポート業務の経験を活かし、個人事業主として独立。 その後、フィールドエンジニアリング会社の役員経て2007年からガイアックスに参画。 技術部門の管理職と新規事業開発の経験を経てスタートアップスタジオ責任者に就任し起業家創出と投資判断を担当。また兼任で技術本部長として、ガイアックスで生まれるスタートアップの技術支援や組織のエンジニアリングの戦略に取り組んでいる。
学歴のない僕が、不思議なご縁でガイアックスで働くことに
ーガイアックスに入社に至った経緯を教えてください。
ガイアックスに入社する前は、個人事業主のエンジニアとして、いくつかの会社で働いていました。一年ごとに仕事が変わっていましたね。元々、何か生み出したい、インパクトのあることをやりたい、といった気持ちが心の底にありました。20代そこそこになってくると知恵をつけてきて、インパクトを残すための手段を考え始めた時に、ウェブ業界が絶対に重要になってくると思い、プログラミングの勉強を始めたんです。
でも、大学もいってない、工業高校出身、フラフラしていて何も経歴のない若者がウェブ業界の会社に入れるわけがなかったんですよね。そこで僕がとった作戦は、まずは派遣社員として会社に入り込もうと思って、いくつかの会社で働き出しました。
そんなある時、派遣会社のエージェントで僕を担当してくれている人が、「募集はしていないけど佐々木さんと合いそうな会社があるよ」というので、募集すらしていないのに会う機会をセッティングしてくれたのがガイアックスだったんです。面白そうだからという理由だけで採用していただけたんです。それが2007年のことですね。
ー長年ガイアックスで働き続けている理由は、どういったものがありますか?
一番大きな理由は、先がわからないことですね。ガイアックスにいると、次々と新しいキーワードが出てくるし、組織も大きく変わっていくので、僕自身も新しいことにチャレンジしづけたいと思えるんです。2、3年後にガイアックスが何をやっているかなんて想像できないのが楽しすぎますね。先が読めないからこそ、「もう学ぶことはないな」というやり切った感が全くないんです。日々他の会社からお誘いはいただくことはありますが、ガイアックスほど先が読めない会社はないですね。
ーこれまでガイアックスでどんなお仕事をされてきましたか?
〜佐々木さんのガイアックスでのお仕事ヒストリー〜
- 2007年 R&Dのインフラ担当として入社
- 2009年 SEDのインフラチームリーダーに任命
- 2012年 TEDのマネージャーに任命
- 2014年11月 XS第2期新規事業に採択されReactio事業リーダーに就任
- 2018年1月 技術開発部の部長に就任
- 2019年1月 技術本部長に就任
- 2020年1月 技術本部長兼人でスタートアップスタジオ責任者に就任
僕が入社したのがガイアックスの上場直後で、組織を大きく伸ばしていくタイミングだったので、まだ整い切っていなかった社内インフラの改善チームに加わりました。そこから、部署横断でインフラチームをつくることになり、5、6人ほどのチームリーダーをしたり、開発の部署の複数のチームを回してくマネージャーを担当して、採用活動にも少し関わったりしましたね。
しばらくしてから、当時運用部門で作っていた「Reactio」という障害対応ツールで新規事業を作ることになり、新規事業責任者を1年半ほど勤めましたが、事業がうまくいかず投資がストップ。スタートアップスタジオは、技術面から起業家を支援するという話がきたタイミングで、技術面だけでなく人を集める段階から携わりたいと思い、スタートアップスタジオに全面的に関わることになりました。
家庭の経済力が人生の足枷になってはならない
ー佐々木さんが掲げている使命についてお聞かせください。
チャンスを与えたり生み出していくことが、僕の使命だと思っています。ガイアックスで働く中で、「起業したい」「こんな仕事についてみたい」と思っていてポテンシャルがあるにもかかわらず、やり方がわからなかったり情報量が足りなかったりして立ち止まっている人をたくさんみてきました。そういった人たちがチャレンジできる機会を生み出していくことが、立ち止まっている人自身のチャンスにもなるし、結果ガイアックスの事業を支える仲間が見つかることになると思っています。
ー何かやってみたいと思う人を応援したり機会提供したいと思うようになった背景は、どういったものがあるのでしょうか。
僕自身、家庭環境がめちゃくちゃ貧しかったんです。例えば、一番大変だった時だとパンの耳をかじったり、おやつが煮干しの時期もありましたね。
そんな厳しい環境で生活を送っていると、いざ自分の仕事について考えてみる時に、選択肢がめちゃめちゃ狭まっていたんですよね。進学する時には私立の学校なんて選択できるわけがないし、大学に行ったとしても、進路に迷って休学する考えなんて浮かびすらしない。高校は仕事をしながら夜間に通おうと思っていたくらいです。
そんな時期を経て、世の中を俯瞰できるようになったからこそ、家庭の経済力が人の人生の足かせになっちゃいけないなと思っています。もし厳しい時期を過ごしていた僕が、社会にいろんなチャンスがあることを知っていたら、もっと早い段階から面白い活動にたくさん関われたと思うんです。僕にはそれを知るチャンスがなかったからこそ、同じような人を生み出したくないと思っているのが、今のスタートアップスタジオでの取り組みとつながっていると思います。
ー特にどういった人を支援していきたいと思っていますか?
自分の原体験から感じる社会の課題を、事業を通して解決していきたいと思っている人はもちろん応援したいと思っています。それに加えて、行動力がめちゃくちゃ多い人を、特に応援していきたいと持っています。事業を作ることは、学びながら走り抜けることが必要になってくるので、ちゃんと行動量がある人じゃないと支援しきれないんです。行動力があって事業を推進させる力がある人は、周りの人や環境を全く気にしないサイコパスのような傾向があると感じています。いろんな人に迷惑をかけながらも突き進める人が、結果的に事業を立ち上げていけるんじゃないかと思うんですよね。
スタートアップの段階だと、「一般的にはこうやるよ」といったマニュアル通りに動いたとしても事業は立ち上がっていかないし、競合に負けるのは必然的。これまでの経験から、普通にやっていても負けることを感じているからこそ、既成概念から外れているような人と一緒に事業作りに取り組んでいきたいです。
ーガイアックスで働いてきた中で、一番大きな困難はどういったものがありましたか?
Reatioの新規事業にトライしていた時ですね。事業がうまくいかないことによるヒリヒリ感が、刺激的でもありつつも辛かったです。何よりも、新規事業に巻き込んだ人たちや、実際に使っていただいた企業の方々、ユーザーがいる中で、事業がうまく進まずに迷走していく時が、体力的にはもちろん、精神的にこたえていました。
そうなると、冷静に考えることができなくなってしまったんです。本来仲間である人が敵にみえたり、事業的にマイナスになるような人にすがってしまったり。何がどうしたらいいか分からなすぎて、マキャベリの『君子論』を読んだりしていました(笑)
その時の自分は視野が狭くなっていたので、今の自分が当時の自分に声をかけられるとしたら、自分の考えの箱の中から抜け出させてあげたいですね。幼少期の時と同じように、自分が考えている箱は世の中からしたらめちゃまちゃ狭い箱だよというのを理解させたいですね。
ースタートアップスタジオでの支援でも、「箱の中から抜け出させてあげたい」という想いはお持ちなのでしょうか?
いつでもやめてもいいんだよ、というのは常に思っています。事業をつくることで大きなプレッシャーを感じるが故に「失敗したくない」という気持ちに囚われてしまうことってあると思うんです。「こっちのほうがいい」と思ってしまったら、進んでしまえばいいと思うし、その中でいろんな失敗をして学んでいくことが大切だと思っています。
僕自身、学生時代は勉強に意味を見出せなくて落ちこぼれていたと思っていますが、失敗と経験を経て活躍できるようになったのも、果敢に挑戦してきたのが一番の理由だと思っています。
巻き込んだ人への責任を負えることで、ガイアックスの自由が体現が体現される
ーガイアックスの自由について感じていることをお聞かせください。
自由と責任において、その対象が何かが重要だと思っています。
自由では、組織と一個人の「関係」をいかに自由なものにできるか。本来組織と個人はイーブンな関係なはずなのに、社員・業務委託・インターン含めて、お金をもらう側の立場が弱くなってしまいがちだと感じています。他の会社だと「これは会社のルールだから」といって自由を奪うやり方をしていたら、社員の選択肢がなくなってお金のために働くような状況になってしまい、組織が個人の自由をハックしてしまうことになりうると思っていて、ガイアックスはその点だと、組織と個人の自由は体現できていると思いますね。
ー自由に伴う責任についてはどういったことを感じていますか?
責任は、自由を与えている会社に対してというよりも、自由を与えられた個人が活動する中で巻き込んだ人たちに発生すると思っています。例えば、ガイアックスというフィールドを使って、巻き込んだ人たちを傷つけてしまっているようでは自由に任せることはできないんじゃないかと。関わる人たちへ責任を負うという前提があるからこそ、ガイアックスとしてを自由を担保していけるんじゃないかと思っています。
ーこれから使命で動く中で、どういったことにチャレンジしていきたいですか?
先が分からないことが楽しいからこそ、前提として分からないままでいいと思っています(笑)
役割が増えたことによって僕自身のキャパシティがかなりギリギリになってきたので、組織としての力を強化していきたいし、担える人がいるようであれば責任者の役割を渡していきたいと思っています。開発部の方では技術の底上げはもちろん、ガイアックスの投資先でCTOとして活躍する人材を送り出していくことに力を入れていきたいですね。僕自身も一人のプレーヤーとして、日々学び続けていこうと思います。
インタビュー・ライティング 宇田川寛和