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シェアリングエコノミー認証マークがついにスタートした

最終更新: 2023年11月9日

7月25日、代表理事を務めるシェアリングエコノミー協会による「シェアリングエコノミー認証マーク」の授与式が開催された。
・協会のプレスリリース:
https://sharing-economy.jp/ja/news/20170725/

シェアリングエコノミー認証マークとは、昨年11月に
内閣官房IT総合戦略室が検討会議にてモデルガイドラインとして策定した「遵守すべき事項」を基に、シェアリングエコノミー協会が設定した自主ルールに適合していることを認められたサービスに付与されるマークである。

審査にあたっては、大きく分けて「登録事項」、「利用規約」、「サービスの質の誤解を減じる事前措置」、「サービスの事後評価」、「相談窓口及びトラブル防止」、「情報セキュリティ」の6つの項目が設けられている。
まずは6社への授与となったが、現時点で20社以上の企業から申請を受けており、順次審査を進めている状況だ。

trust.mark.award.

認証マークがスタートしたということ。
これは、シェアリングエコノミー業界の今後の発展にとって意味のある、大事な第一歩だ。
認証マークの使い方としては、シェアリングエコノミー事業者と提携する際の審査基準の一つとしたり、国や地方行政がシェアリングエコノミーを活用したいと考えた際の公募の条件に入れていただいたりと、様々な活用方法があるだろう。認証マークがどんどん広がり、シェアリングエコノミー業界において、Pマーク(プライバシーマーク)の様にメジャーな「安心の証」となるよう目指していきたい。

重要なのは「合法性」よりも「安全性」

そもそも、なぜ認証マークが必要なのか。
諸外国に比べて日本でシェアリングエコノミーが普及していない理由の一つとして、多くの人が「何かあった時に不安」と思ってしまっている、ということがある。確かに、ホストという一個人がサービスを提供する以上、安全性や、サービスクオリティに対する懸念が抱かれる事は不可避だろう。(実態は、シェアリングエコノミーのサービスの多くは、レビューシステムなどのおかげで、かなりクオリティは高いのだが。)
シェアリングエコノミーの安全性について語られる際、よく議題に上がるのが、「法に沿っているのか、いないのか」問題である。だが、果たして、「法に沿っていること」が「安全」を約束してくれるのだろうか。逆にいうと、法にさえ沿っていれば、安心してそのプラットフォームやサービスを利用できるという事なのだろうか。そうではないはずだ。
たとえば、家事代行は、「家事代行法」など存在しないので、特別な許認可や資格がなくとも、誰でも法に触れずにサービスインできる。とはいえ、お手伝いさんを自宅に入れるのに、そのお手伝いさんが本当に信頼できる人物なのかどうか、また、お手伝いさん側にとっても、そのお伺いする家の方が安全な人物なのかどうか分からないのは不安である。
だが、プラットフォームが双方の本人確認を済ませていたり、レビュー制度を設け数多くのレビューが掲載されていたり、何かものが壊れた時のためなどに保険を用意していれば、安心して自宅に他人を迎え入れる事ができるし、他人の家に入ることができるだろう。

「安全性」を可視化し、PRする認証マーク

この様に、法律や許認可制度では捉える事ができない、可視化が困難な「安全性」という課題に対して独自のアプローチとして「シェアリングエコノミー認証制度」を設け、安全性を向上させているサービスだという事を誰の目にも明らかにするのが、認証マークだ。
認証マークがあることで、これまで「何かあった時に不安」と思ってシェアリングエコノミーのサービスを使った事がない方が使ってみようと思うきっかけになるだろうし、プラットフォームを提供するシェアリングエコノミー事業者も、より多くの方に利用していただくために認証マークを受けられるよう、安全性確保に力を入れるだろう。
一言にシェアリングエコノミーと言っても、その国や国民性に合ったシェアリングエコノミーの形があるべきで、日本においては、多くの方が抱えている「不安」を解消するための措置として「安全」をしっかり確保し、それをしっかりPRすることが、シェアリングエコノミーがたくさんの方々に受け入れられることに繋がるはずなのだ。

trust.mark.logo

認証マークは、それを実現してくれる。日本でシェアリングエコノミーが普及するための一つの重要な鍵を、認証マークが握っていると言っても過言ではないだろう。

とはいえ、シェアリングエコノミーは新しい業界なので、まだまだ安全性に関してはいろいろなプラクティスを重ねて、PDCAを回していかねばならない。認証マークによって、安全性確保に真摯に取り組んでいるシェアリングエコノミー事業者を明らかにし、その取り組みをベストプラクティスとして規範化することが日本のシェアリングエコノミー全体の安全性を高めていくはずだ。

今、シェアリングエコノミー自体は、注目され、メジャーになりつつある。
それでも、私としては日常生活のほとんどが「シェアエコだらけ」になっていないことに、非常に歯がゆい思いでいる。
認証マークがそんな現状を変えてくれ、「安全なシェアリングエコノミーに溢れた日本」に進化させてくれることを、期待している。

上田 祐司
1974年大阪府生まれ、1997年同志社大学経済学部卒業。大学卒業後は起業を志し、ベンチャー支援を事業内容とする会社に入社。一年半後、同社を退社。1999年、24歳で株式会社ガイアックスを設立する。30歳で株式公開。 ガイアックスでは、「人と人をつなげる」のミッションの実現のため、ソーシャルメディア領域、シェアリングエコノミー領域に加え、web3/DAO領域にも注力し、分散型自律組織やコミュニティの分野を強化。また、新規事業・起業を支援するスタートアップスタジオとして社会課題の解決に取り組む。 一般社団法人シェアリングエコノミー協会の代表理事、株式会社Unitoの社外取締役を務める。

主な政府委員・登壇などの実績

・消費者庁 第3回デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における 環境整備等に関する検討会(2020年)
・G1サミット2018 登壇(2019年)
・経団連 生活サービス委員会(2018年)
・日本学術会議 経営学委員会・総合工学委員会合同 サービス学分科会(2018年)
・総務省 地域IoT実装推進タスクフォース 地域資源活用分科会(2016年~2017年)

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