近年、様々な企業が経営の在り方を改革している中で、ティール組織という言葉を聞いたことがあるかもしれません。しかし、言葉を聞いたことがあっても、実態がいまいちわからない方も多いかと思います。そこで本記事では、5つに分かれた企業の色を解説しつつ、ティール組織において重要な3つの要素を解説します。
記事の前提として、「ティール組織」の言葉の意味がわかることが望ましいです。まだよくわからない方は「ティール組織とは?意味から事例、注意点まで実際に導入しているGaiaxが解説」にて解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
5つの起業の「色」
世の中には様々な企業が存在しますが、「レッド・アンバー・オレンジ・グリーン・青緑」の5つの色に分けられるといいます。ここでは、5つの色に分かれたそれぞれの組織の特徴を解説します。
「レッド」色の組織の特徴
レッド組織は、特定の個人の力によって支配的に経営することが特徴です。社員は力に従属することで安心感を得ることができますが、特定個人に依存している状態のため、経営状態としてとても危険な状態であるとも言えます。また、時間軸としても「短期的」に思考する特徴があるため、3年後の未来を見据えた経営活動よりも、今日や明日の経営をどうするかといった短絡的な思考に陥りがちです。
「アンバー」色の組織の特徴
アンバー色の組織は、会社の中の明確なヒエラルキーに従順なことが特徴です。「上司から部下への指示」などのように、指示系統が会社の中で明確化されており、レッド組織よりも特定個人への依存度を下げている特徴があります。また、時間軸としても中期的な展望や計画を重視することが多く、レッド組織よりも安定状態にあると言えます。
「オレンジ」色の組織の特徴
オレンジ色の組織は、アンバー組織のようにヒエラルキーを重視しながらも、成果や実績を上げた社員が優遇されることが特徴です。つまり、オレンジ組織の段階から、社員の変化を歓迎し、社員同士の競争が生まれるようになります。また、ヒエラルキーの上級階級にいる立場の社員が、社員の実績を「数値的に管理」する働きも生まれる特徴があります。
「グリーン」色の組織の特徴
グリーン組織は、オレンジ組織のようにヒエラルキーを残しつつも、社員個人の主体性が評価されるようになり、多様性も許容されることが特徴です。オレンジ組織の段階では「結果を残したものが正義」であるという考えでしたが、グリーン組織になると、結果を出すことが困難な社員であっても、1人の重要な戦力として数えられるようになります。これらの特徴から、グリーン組織は「家族」と表現されることがあります。
「青緑」色の組織の特徴
青緑色の組織は、社長や管理職からの指示系統は存在せず、社員一人ひとりが主体性を持って目的を遂行することが特徴です。社員は会社の目的に向かって歩みを進めますが、「会社の目標ありき」で、個人の目標も同時に持つようになります。メンバー全員がお互いを信頼し、独自のルールや仕組みを作って経営するスタイルであり、正解・不正解はないものの、「青緑色」の組織を目指している企業もあります。
ティール組織の色は、青緑色です
先ほど5つの企業の色を解説しましたが、ティール組織の色は何色だと感じたでしょうか。結論は「青緑色」の企業をティール組織と呼びます。ここでは、ティール組織の特徴や、重要な3つの要素を順番に解説します。
ティール組織の特徴
ティール組織には、社員や上司からの「一方的な指示系統」は一切存在せず、社員全員が裁量権を持って、会社のために個人の任務を遂行する特徴があります。そのため、会社の目的を達成するための行動であれば、社員は決まりきったルールや仕組みに縛られることはありません。個人の多様性や主体性が評価されやすいメリットがありますが、一方で、ティール組織の導入まで時間がかかったり、給与体系などのマネジメントが難しいというデメリットがあります。そのため、多くの企業がティール組織を導入したいものの、具体的な準備段階で躓いてしまっていることも事実です。なお、ガイアックスでは、働くメンバーに大きな裁量を与えています。働く場所も、時間も、部署も、自分のやりたいこと、出したい成果に従って自由に決定することができます。また、報酬も、自分のアウトプットを元に自分で決定します。詳しい事例は、「ティール組織の事例紹介。日本と海外の3社と変化の過程を解説」にて解説しました。
ティール組織の3つの要素
ティール組織には、下記3つの重要な要素があります。
- セルフマネジメント:自ら目標を掲げ、会社経営に携わる力
- ホールネス:個人の主体性を尊重する力
- エボリューショナリーパーパス:組織の存在目的を追求する力
これら3つが重要だとされている理由は、経営の担い手である社員が、それぞれの意思で経営を進化させるべきという背景があるからです。
また、これら3つの要素には、共通して「コミュニケーションが必要である」という特徴があります。ティール組織では明確な指示系統が存在しないため、より社員同士の会話が重要です。ティール組織を実現させる上では、この「コミュニケーションの場をどう設けるか」といった点に焦点を当てる必要があるでしょう。
オレンジ色の企業との違い
ここまで読んできた方の中には、「ティール組織とオレンジ色組織の違いがわからない」といった疑問を抱える方もいるのではないでしょうか。ここでは、ティール組織とオレンジ色の企業との違いを解説します。
日本には、オレンジ色の企業が多い
前提として、現代の日本にはオレンジ色の企業が多いという特徴があります。オレンジ色の組織は、指示系統は明確でありつつも、成果を出した社員が出世しやすい特徴があります。成果を徹底して管理するため、数値化が用いられたり、効率化が図られることも特徴です。ただ、実績を残した社員が出世する組織スタイルのため、社員同士の競争が悪化して人間関係に亀裂が生まれたり、長時間労働が常態化してしまうデメリットが存在することも事実です。
ティール組織がオレンジ色の企業とどう違うか
ティール組織とオレンジ色の企業には、明確な2つの違いがあります。
- ティール組織に指示系統はないが、オレンジ色の企業にはある
- ティール組織は主体性が認められるが、オレンジ色の組織では困難
ティール組織には、社長や上司からの指示系統が存在しませんが、オレンジ色の組織には、結果を残した上司からの指示系統が存在します。また、ティール組織では結果を残す残さないに関わらず、社員の主体性を尊重する「ホールネス」という考え方が存在します。しかし、オレンジ色の企業では「競争」を意識しすぎるあまり、人間関係が悪化してしまうケースが見られます。どちらの組織が明確に良いとは言い切れませんが、社員の幸福度がより高まるのは、ティール組織であることは間違いないでしょうか。まとめると、ティール組織は企業の目的のために社員が主体性を持って取り組むことに対して、オレンジ色の企業は、企業の目的以上に他人との競争意識が先行してしまうという違いがあります。
あなたの企業は今後どのようになりたいか
あなたの企業の現状を踏まえて、あなたの企業はこれから先どのように変化していきたいと感じているでしょうか。企業としての目的は理解しつつも、つい自分の目的や感情を優先して働いてしまっている瞬間はありませんか。ティール組織を実現させることは、企業の規模が大きくなるほど、今すぐに実現させることは非常に困難であることは間違いありません。しかし、これから「ティール組織を実現させる」という意識を持ち、社員に思考法や具体的なアクションプランを提示することで、少しずつ前に進んでいけることもまた事実です。まずは、企業の現状を見直し、企業全体として向かうべき方向を再確認してみてはいかがでしょうか。
ティール組織についてもっと知りたい方へ
ここまでティール組織について解説をしてきましたが、さらに詳しくティール組織の概要を知りたいという方は多いかと思います。下記の記事一覧では、ガイアックスにおいての働き方に関する取り組みを紹介しています。組織としての在り方を改革したいと考えている方は、ぜひご覧ください。
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