そんなガイアックスメンバーの様子を連載で紹介していく「使命で動くシリーズ」、ご覧ください!
今回インタビューしたのは、tiny peace kitchen 事業部長 荒井智子さん
ガイアックスが運営するNagatacho GRiDの1階にある家庭料理レストランのtiny peace kitchenでは、手づくりの食事で体の健康をサポートするだけでなく、日々を忙しく過ごす人の心の健康をサポートするために「こころ部」を立ち上げました。また、5月からはガイアックスの社内コーチとしても動き出しています。
家庭料理、サステイナビリティ、コーチング(*1)。一見てんでばらばらなようにも見えますが、その軸となる使命についてお聞きしました。
*1: コーチングとは、相手の話に耳を傾け質問を重ねることにより、相手の潜在的にある想いや答えを引き出し、目標達成に向け行動変容を促すためのサポートです。社内コーチとは、社内でそのコーチングの役割を担う人のことです。
荒井智子
2013年4月にガイアックスに入社し、2年間法人営業・海外営業を担当。2015年に「働く人の心と身体を健康にしたい!」と会社に訴え、社内でケータリング型社員食堂をスタート。2017年、社員食堂を進化させた形でNagatacho GRiDにカフェtiny peace kitchenをオープン。
家庭料理とコーチングで都会の保健室を目指す
ーまず、荒井さんの普段の仕事内容について聞かせてください。
荒井 2017年にtiny peace kitchenという事業部を立ち上げ、現在4年目になりました。「家庭料理をまいにち食べよう」というコンセプトのもと、都会で忙しく働く人々が心身ともに健康になれることをサポートするため、社外の方にも開かれた社員食堂として食事を提供しています。お店を運営する中で、心身の健康をサポートするためには食事を提供しているだけでは足りないと感じるようになりました。そこで、みなさんの心の健康をサポートできるようコーチングの認定資格を取得し、5月からはガイアックスの社内コーチとしても活動しています。
(参考ブログ) 私、カフェと子供を同時に生むことにしました。〜ITベンチャーでカフェ事業を始めました〜
(プレスリリース) 永田町駅そばの家庭料理レストラン「tiny peace kitchen」、 「こころ部」を発足しメンタルヘルス向上事業を開始
ー食事で体の健康をサポートするだけだけでは足りないと思ったのには、何かきっかけがあったのでしょうか?
荒井 もともと私がやりたいとイメージしていたのも、「食事を提供する」ということより、みんなが毎日忙しく働いて頑張っているときに、ふと立ち寄れてネクタイをゆるめられるような、安心できる時間や空間を届けたいとう思いが強かったんです。
学校の中でいう、保健室のような存在になりたかった。飲食店としての形を転換する事は簡単ではありませんでしたが、たまたまコーチングに出会った事で「これだ」と思いました。私が提供したいと思っていた「安心できる時間」をコーチングによって届けられるのではないか?と感じたんです。
ー社会的な肩書きや役割を外して、素のままの自分に戻れる時間という事でしょうか。荒井さんは、コーチングをどのような物と捉えていますか?
荒井 一言でいうと、コーチングはクライアントの目標達成をサポートするものであると言われています。私は、コーチングで扱う「目標」は必ずしも仕事で成果を出すことではなく、本人の「こうしたい」や「こう在りたい」という「願い」が目標だと思っています。外側からの期待値や、「しなければならない」という目標ではなく、本人が自分の人生を豊かに生きるために、成し遂げたい事や大事にしたい事があると思うんです。その願いを引き出し、それを元に人生をサポートするのがコーチの役割だと思っています。
また、コーチは利害関係のない第三者なので、立場に囚われることなく相手の願いだけにフォーカスできるんです。願いを実現していくために、対話を通じて応援する。その人の人生応援団という感じですね。
コーチングセッションの時間は、自身の信念や価値観にふれて、内面性をより育てていくための時間だと思っています。仕事の具体的な話でも、もっと抽象的な内容でも、どんなテーマ設定であれその人の中にある答えや願いを探検して見つけだす感覚ですね。コーチングの申し込みフォームには、お話ししたい内容の大項目を選べるようにしていて、仕事について、パートナーシップについて、自分自身の在り方について、ライフミッションについてなど、どんな内容でも自由に話していただけるように工夫しています。
ご自愛できる人と環境を増やすことが、やさしい社会に繋がる
ーコーチが設定した目標に対してクライアントが向かうのではなく、一緒に懐中電灯を持って、その人の中を進んでいくようなイメージなんですね。
荒井 答えや願いは、その人の中にあるという前提でいるんです。「こうしたい」という願いが本当はあるのに、「しなければならない」という観念や制約がそれを見えにくくしている。奥にある願いを一緒に探っていって、「ここにあった」と本人が自分の願いに気づくと、もういてもたってもいられなくなるんです。
だから、願いを見つけることが一番大事だと思っています。
ー荒井さんのお話からは、「その人のありのままの姿を見たい」という思いを感じますが、そういった思いはもともとお持ちだったのでしょうか?
荒井 そうですね。ちょっと大きな話になってしまいますが、人には優劣も上下もなくて、みんな等しく愛おしい、尊いという考えがベースにあるんです。
だから、自分が本当にしたいことをできていたら、他の人を妬むことも、傷つけたり奪うこともなく、平和であたたかい社会になるんじゃないかという考えを持っていて。
みんなができるだけやりたいことができている状態であることが大事だと思っていて、私はそれを「ご自愛できている」状態と呼んでいるんです。自分のニーズを満たせている状態であれば、人に対してもやさしくあれると思うんです。そのためには、自分がどうしたいのか、何によって満たされるのかを、自分で考えて自分で選び取れている状態が重要だと思っていて。その人のニーズは、本人にしかわからない事ですからね。
世間一般で言われる「当たり前」を鵜呑みにするのではなく、自分で感じたり、考えて決めることや、考え続けていくプロセスこそが大事なんじゃないかと思っています。
ー人に優劣はなくみんなが尊いという価値観が形成されるのには、下地になるような経験があったのでしょうか?
荒井 今思い返すと、育つ過程で両親から何かを押し付けられるようなことはなかったと思います。習い事や進路についても自分で選ばせてもらっていたんです。
マナーに対するしつけはありましたが、それ以外ではしたいようにさせてもらっていました。
その当時は特に自覚していませんでしたが、いつも私という存在をまるごと受け止めて、尊重してもらっていた記憶はあります。自分を大切にしてもらったり、尊重してもらうというのがどういう感覚なのかを経験してこれたからこそ、他の人に対してもそうしたいと思うし、みんなが自分を大切にし続けられる環境を作りたい。お互いにご自愛することを尊重しあえる人を増やして、ご自愛し合える環境を作りたいですね。
ガイアックスを形成する一人一人が八百万の神
ー荒井さんがガイアックスと出会って社会人生活をスタートしたのには、どんな経緯があったのでしょうか?
荒井 大学院でサステイナビリティについて勉強する中で、私は将来的に自分で事業をやりたくなるだろうと思っていました。そのために、ビジネスや事業をゼロから立ち上げる事を学べる場を探していたんです。そこで出会ったのが、ガイアックスです。
ー当時の荒井さんには、ガイアックスという会社はどのように写りましたか?
荒井 躍動感あふれる動物園、という印象でした(笑)大学3年生のときに就職活動をしてみて、就活生も企業の採用担当者も「こうあるべき」という型にはめられている感じがして違和感があったんです。みんな仮面をかぶっていて、本当のところが見えないと思っていて。
ガイアックスでは誰も何の仮面もかぶっていなくて、みんな本音で生きていると感じました。面接では「荒井さんのご両親はどんな子育てをしていたの?」と聞いてくる人がいたかと思えば、とにかく事業プランの話ばかり聞いてくる人もいたり、志望動機や形式ばったことを聞いてくる人がいなくて、衝撃でした。
でも、人と人として、ありのままの私で関われるのは居心地がよかった。当時の人事の方は、ガイアックスのメンバーを八百万の神と例えていました。個があっての組織で、神だらけだから統制がない、と。私は自分の願いを潰されないかどうかという観点でガイアックスを選んだのだと思います。
そして、それまではサステイナビリティや社会貢献のような話をすると、「社会にいいことをしたいなら、NPOに行けばいい」とさんざん言われてきたのですが、ガイアックスの社長である上田さんは「ビジネスは世の中を良くするもの」という考えをごく普通の事として語っていて、すごく共感しました。
お互いの願いが尊重される、コミュニティのような経済圏をつくる
ー多くの人は、生きてくる中で自分の願いを否定されるような経験をしてきてると思います。それを積み重ねて大人になり、自分の願いが見えなくなってしまっている方も少なくないのではないでしょうか?
荒井 そうかもしれません。ガイアックスでいうと、もともと個の願いが尊重される組織なので、社内コーチとしてそこをより推し進めていき、ご自愛し合える組織にしたいという思いがあります。初めから願いがはっきりとしている人だけでなく、色々な理由で自分自身の本当の願いに蓋をしてしまっている人にも寄り添いたいと思っています。例え小さくても、自分の願いを大事にできている状態を作りたいし、それをガイアックスの文化にしていきたいです。
tiny peace kitchenにおいては、「やさしさが連鎖する経済圏をつくる」という理念を掲げていて、お互いの願いを尊重し合えるコミュニティを広げていきたいと思っています。それはお店のメンバー同士でも、お客さんや一緒にビジネスをする仲間との間でも、お互いの願いが尊重されることが普通という空気感の経済圏を成り立たせるのが、私が仕事を通じて実現したい事ですね。
(参考ブログ) tiny peace kitchenが一歳になり、ようやく理念をちゃんと言語化することができました
(プレゼンテーション) 【GaiaKitchen Presentation 02】もっとみんなの台所になりたい!
ー個々の可能性や情熱がより発揮されると、会社や社会の空気も変わりそうです。荒井さん、ありがとうございました!
インタビュアー&ライター:黒岩麻衣