「起業したい!」と思ったはいいものの、何から手をつければ良いのかが全く分からない。
そのような方のために、今月から新企画として毎月、Gaiaxの新規スタートアップ事業であるOtellの立ち上げの流れを全てリアルタイムで曝け出し、シリーズで解説していきます。
リアルタイムでリアルなスタートアップ立ち上げの流れを学び、Otellと共に成長してみませんか?
第一回である今回の記事では、Otellの事業アイディアが生まれてから仮説検証を行うまでのフェーズ(11月〜2月)を公開します。
なお、若者で起業を考えている方にはスタートアップカフェへの参加もおすすめ。事業アイデアの壁打ちから出資、専門的なメンバー提供まで可能です。
Otellとは
Otellは、現在(2020年11月〜)株式会社ガイアックスの新規事業として開発中の、「平日長期滞在を希望する人のためのホテル予約サイト」です。
- 家だと余計なものが多く、環境的に集中できない
- 家にいると煮詰まるので気分転換、リフレッシュがしたい
- カフェやコワーキングスペースは情報漏洩の観点からあまり使いたくない
という方のために、ホテルの部屋をお手頃な価格で月曜〜金曜の4泊5日単位で提供するサービスです。
2020年11月〜2021年2月の進捗
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今回インタビューしたのは富士茜音(ふじ あかね)さん
富士茜音
ガイアックス スタートアップスタジオ
ガイアックス20卒入社。投資先の新規事業立ち上げに参画。現在は自身でワーケーション関連の新規事業「Otell」立ち上げに取り組む。その他、中高生に向けての起業家教育「起業ゼミ」、YouTube「経営カレッジ」、起業家の壁打ちをする「スタートアップカフェ」の運営などを担当している。
Step1:Otellの事業アイディアが生まれた背景
廣渡:Otellの事業アイディアはどうやって生まれたのですか?
富士:きっかけは、菅首相が「ワーケーション 」を提唱したことでした。これからはワーケーションの需要が伸びると考え、ワーケーション事業を作りたいGaiax社員有志で集まり、アイディエーション(アイディア出し)を行いました。これには弊社社長の上田も参加していました。
アイディエーションの方法としては、「リーンキャンバス」を活用しました。メンバーに各自でリーンキャンバスを書いてきてもらい、5分間ずつ発表の時間をとり、お互いにフィードバックを送り合いました。
リーンキャンバスの書き方についてはこちら で詳しく説明しています。
その中で選ばれたのが、ホテルの平日に空室が増えるという課題とワーケーションをしたい人のマッチングという、現在のOtellのアイディアでした。
廣渡:チームで出したアイディアだったのですね!当初から今と同じアイディアで進めていたのですか?
富士:いえ、仮説検証を通して方向性が変わった部分がいくつかあります。例えば、最初Otellは地方におけるワーケーションという市場を狙っていましたが、現在では都市部からサービスを展開していく戦略に変更しています。
また、アイディエーション段階では事業のターゲットをB to BとB to Cの2通り想定していましたが、ヒアリング調査の結果を見てB to Cの戦略を選択しました。
Step2:ヒアリング調査で需要を見極め
廣渡:アイディアが生まれた後、次にやったことは何ですか?
富士:まず、本当にこのサービスに需要があるのかを調べるため、Facebook上で募集し、ワーケーションに興味のあるビジネスパーソン20名ほどにZoomを使って30分間のヒアリングを行いました。結果、「ワーケーションをしたい」という需要は多いものの、実際にワーケーションができている人は少ないことがわかりました。
そこで、実際にワーケーションをしたことがあると回答した2人の方をペルソナ(ターゲット)に設定し、更にヒアリングをさせてもらうことで、ターゲットユーザーに求められている項目を洗い出しました。
この時点で、地方におけるワーケーションをしている人が見つからなかったため、都市部からサービス展開するという方向性にピボットをしました。また、ワーケーション制度を作っても、うまく機能しない会社が多そうだと判明したため、最初はサービスをto C向けにリリースするという方向性も定まりました。
Step3:LP作成で集客開始 & 追加ヒアリング調査
廣渡:ユーザーヒアリングを通してサービスの方向性が見えてきましたね!その次は何をしましたか?
富士:更にユーザーヒアリングを行いました。
まず、前回のヒアリング調査の結果を元に簡易的なサービスの設計を行い、STUDIOを使ってLP(ランディングページ)を作成しました。
Otell LP(ランディングページ): https://otell.jp/
次にFacebook上でSNS広告を打って、サービスの事前登録者を募集しました。
広告掲載初日は3通りのデザインの広告を打ち、その内エンゲージメント(反応)の一番多かったデザインを2日目以降も継続して掲載しました。
掲載した次の日には初めての事前登録者を獲得し、広告を回し始めて3ヶ月程たった今ではなんと約650人もの事前登録者が集まっています。
そして、その事前登録者の方々に対してヒアリング調査をさせてもらうことで、更にターゲットユーザーが感じているワーケーションに対する課題感や、欲しているサービスのイメージを深めていきました。
例えば、
- 年齢、性別、職業
- 過去のワーケーション
- ワーケーションの目的
- ワーケーションをしたい場所
- ワーケーション先の選択基準
- Otellのサービス内容に対する感想
などをヒアリングしました。
また、同時にホテル側のヒアリング調査と、営業も進めていました。
廣渡:ユーザーヒアリングの際に心がけたことや工夫したことなどはありますか?
富士:はい。ユーザーヒアリングを通して私たちは利用者の深い「ペイン」(課題)が知りたかったので、「何で?」という行動・思考の意図を深掘りする問いを何度もお聞きしました。
また、参考にならないと判断したデータは捨てるということも意識していました。例えば今回の場合、元々月に1回は旅行をしていた方で、価格のみに引かれてOtellに興味を持ってくれた方など、Otellのターゲット顧客層から外れている方の意見は敢えて無視していました。ターゲットユーザーのみの意見に寄り添うことで、その方々に心の底から気に入ってもらえるサービスを作ることを心がけました。
来月(3月)のタスク設定
廣渡:来月取り組むタスクは何ですか?
富士:来月は遂に旅行業の取得を行い、Otell β版(MVP)のリリースを行います!また、それに合わせてプレスリリースも大々的に行いたいと考えています。
Otell β版(MVP)の開発はStep 3と同時期に初めており、この記事がリリースされる頃には完成している予定です。
開発には「Bubble」というノーコード開発ツールを使用しています。
ガイアックス・スタートアップスタジオはMVP開発環境が整っているのでプロダクトやサービスのリリースが最速でできるので非常に助かっています。
「60%でとりあえず」が鍵!プロダクト開発で本当に重要な事とは
また、プレスリリースの準備として現在、
- OtellのSEOを上げるための関連記事の執筆
- リリース時に公開するヒアリング調査結果の整理
- 提携施設の獲得
などを進めています。
それでは来月も引き続き更新を続けていきます。今月立てたKPIを達成することはできるのか!?スタートアップの成長を楽しみにお待ちください!
スタートアップメモ
- スタートアップのアイディアは大量のユーザーヒアリング(仮説検証)によって深めていく
- ヒアリング調査の結果によっては当初のアイディアをピボット(変更)しても良い
- プレスリリースも効果的に行うためには的確な準備が必要