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オンライン時代のブレスト方法「メタスト」で組織の学習を進める

最終更新: 2023年11月9日

リモートワーク化が進み、ガイアックスでは「リモートOK」から、「基本がリモート」に変わりました。同じ場所に集って仕事をすることが難しくなった今、雑談が減ったり、チームメンバー同士のやりとりをみる機会も減り、アイディア出しやブレストがやりにくくなったように感じます。
そんな中、ガイアックス社外取締役であり、予防医学研究者である石川善樹さんが電通FCC(フューチャークリエイティブセンター)とともに開発した、「メタスト」というブレスト方法を伝授いただきました!

議論と観察によって、組織の学習を進める

石川さんはブレストの利点として、アイディアを出し合うことと、組織の学習が進むことを挙げられています。ブレストをすることで、仲間の思考回路を観察し学ぶことができ、仲間がどのような知識やネットワーク(人脈)を持っているかを知ることができます。
リモートワークが進むと、仲間同士の仕事のやりとりを聞く機会や、雑談などが劇的に減り、ともに働く仲間について知る機会はどんどん減っていきます。また、オンラインでブレストをしようとしても、同時に5人以上集まると議論を進めるのが難しくなります。
オンラインに適したブレスト方法を取り入れることで、アイディアを出し合い、組織の学習を進める方法を石川善樹さんに伝授していただき、ガイアックス社内外混合のメンバーで実践してみました。

メタスト

「メタスト」の進め方

〜使ったツール〜

  • zoom:ビデオ通話&チャット使用
  • googleスライド:リアルタイム議事録

〜チーム分け〜

  1. 参加メンバーから1人を「超俯瞰」、1人を「ファシリテーター」という役割に抜擢します
  2. 残りの参加メンバーを、2グループ(前半組・後半組)に等分します

〜議題の設定〜

専門知識がないと意見を出しにくいようなトピックは避け、参加者全員が自分の視点で意見が言える、という視点でお題を設定します。

〜議論の進め方〜(以下、図説付き)

メタスト解説図

  1. 前半組議論タイム (30分)
    議題に対して、前半組のみが30分議論します
    その間、後半組・超俯瞰はビデオをオフにし、前半組の議論を観察します
    後半組・超俯瞰のみでチャットで雑談すると観察が深まっていきます
    前半組は、雑談チャットを見ずに議論に集中しましょう
  2. 後半組で、前半組の議論を要約タイム (10分)
    前半組の議論を後半組が要約し、議論のよかった点、見落とされている視点、後半議論したいポイントをまとめます
  3. 後半組議論タイム (30分)
    議題に対して、後半組のみが30分議論します
    その間、前半組・超俯瞰はビデオをオフにし、後半組の議論を観察します
    前半組・超俯瞰のみでチャットで雑談すると観察が深まっていきます
    後半組は、雑談チャットを見ずに議論に集中しましょう
  4. 前半組で、後半組の議論を要約タイム (10分)
    後半組の議論を前半組が要約し、議論のよかった点、見落とされている視点、後半議論したいポイントをまとめます
  5. 超俯瞰を除く全員で、結論をだす(30分)
    ここまでの議論を踏まえて全員で、議題に対して結論を出す
  6. 超俯瞰が最終的に登場し、コメントをする (10分)
    全ての議論を終えてから、超俯瞰が見ていた視点をコメントし、次に議論したいポイントをまとめて終了!

メタストと通常のブレストとの違い

議論・観察にそれぞれ没頭できる

普通のブレストと違い、議論に参加する時間と、観察する時間が区切られているので、安心して議論に没頭しつつ、チームメンバーの発言についても観察できる点がとても新鮮でした。通常は、議論と観察を同時に行うので、色々な方向に頭を使っている感じがしますが、メタストだと、集中するポイントが明確なので、感覚が研ぎ澄まされました。
また、メンバーの発言の様子を「口出しせずに」、ひたすらに観察するという経験も特別なものになりました。回を重ねて行くと、相互理解が深まっていきそうです。

前半・後半に議論が分かれている安心感

通常のブレストや議論だと、網羅的に議論をしようという意識が働き、議論が深まりにくくなる時もあると感じています。メタストだと、前半で取りこぼしても、後半で回収してくれるだろうという安心感があり、「今」フォーカスしたい点に、議論を深めていける感覚がありました。また、一度時間を区切って議論をするメンバーが総入れ替えになるので、議論の流れが明確に変化し、袋小路に入らない点もとてもよかったです。

適度なプレッシャーがいい緊張感を産む

抽象度が高い内容や、議論を進めるのが難しい内容ほど、議論の緊張を保ち続けるのことが難しいように感じます。メタストでは議論が観察されていて、また議論している側が見ていないチャットでコメントをされているので、適度な緊張を保つことができます。また時間内に、一度結論を出し切るというのも、議論にメリハリがついてよかったと感じました。

横断的なチームで議論をする文化が育つことで、イノベーションが起きやすくなる?

オンライン時代に突入し、自分が直接的に業務で関わりがあるメンバー以外とは、なかなか話をする機会を持つことが難しくなってきました。今回は、事業部をまたいで、また社外からもゲストを呼んで、多様なメンバーで1事業部の課題について、メタストを行いました。
様々な視点と経験を持っている方々に、自分が抱えている課題について議論してもらうというのはとても贅沢な経験だったと感じています。なかなか「助けて!」とは叫びにくいですが、「〇〇についてメタストをやりたいのですが、ご参加いただけませんか?」というお誘いをすることで、様々な方々と意見を交わす機会が産みやすいのでは?と感じました。
オンライン時代の新しいブレスト方法。皆様も試してみてはいかがでしょうか?

荒井 智子
2013年4月にガイアックスに入社し、2年間法人営業・海外営業、社長室立ち上げなどを経て、2015年に「働く人の心と身体を健康にしたい!」と会社に訴え、社内でケータリング型社員食堂をスタートし、2017年にtiny peace kitchenとして事業化。2020年に社内コーチプロジェクトを発足し、2022年にブランド&カルチャー推進室の責任者に就任。
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