私たちガイアックスは、“使命で動く” というPhilosophy (経営哲学/企業理念) を持っています。使命で動くとは、世の中の課題を自分ごととして捉え、ビジョンや問題意識を打ち出し、ムーブメントを生み出すことで社会を巻き込み実現すること。そんなガイアックスメンバーの様子を連載で紹介していく「使命で動くシリーズ」をご覧ください!
今回インタビューしたのは、開発部マネージャーの峯荒夢(みね あらむ)さん。
開発部では主に新規技術開発に携わりつつ、ブロックチェーンで新しいことを始めたい人が集まるコミュニティ「Blockchain Biz Community」を設立。シェアリングエコノミーを支える最も重要な技術としてブロックチェーンに注力する峯さんの使命に迫ります!
峯荒夢
開発部マネージャー
2013年にガイアックスに入社。開発部に所属し、主にスタートアップスタジオから出てきた新規事業のプロダクト開発や運用を行う。ブロックチェーンの国際標準化を検討するTC307/ISO国内検討委員にも名を連ねている。
エンジニアとして、技術で新しい社会への一歩に貢献する
「パソコンは夢の箱」小学生の頃の感動を今でも覚えている
ー まず、峯さんの使命について教えてください。
峯:僕のガイアックスにおける使命は、エンジニアとして技術で会社や事業部を強くすることです。独自の強みを作ることで他の会社と差別化できていて、さらに「この領域ならこの会社だよね」と言われるような状態にしたいと思っています。
僕はもともとソニーの子会社で働いていて、パソコンの設計をしつつ、パソコンに新しい機能を追加していく仕事をしていました。その会社はパソコンを進化させることで新しい価値を作り出していたので、僕は新しいものを作るために色々な知識を吸収することにコミットしていました。その事がすごく楽しかったんです。
その後徐々にパソコンが一般化して、機能で差別化することが減っていき、スマホが台頭してくる中で、機器を横断した「サービス」が世の中の主戦場になってきました。
そんな時に、ガイアックスの元社員の方が「将来的にガイアックスのエンジニアの未来を担ってくれる技術を作れる人を探している」とのことで、僕を誘ってくれたんです。それまで僕が培ってきた仕事のやり方(新しい技術を取り込んでいくこと)をガイアックスにもたらしたい、と。
だから、ガイアックスという組織を強くするために、技術の面からサポートをすることが僕の使命になっているんです。
ー そもそも、どうしてエンジニアになろうと思ったんですか?
峯:僕がパソコンと出会ったのは小学校3年生の頃。1980年代当時にしてはかなり早い方でした。
そして5年生の頃に、近所の同級生にプログラミングのことを教えてもらったんです。その子は科学系の雑誌をよく読んでいて、そこにプログラミングの記事が載っていました。
最初はパソコンでゲームばかりしていた僕でしたが、パソコンは僕が遊んでいたようなゲームや、他にも色々なものを作ることができる機械だと気づき「これは夢の箱だ!」と思いました。
将来はパソコンで何かを作る仕事がしたい。そう気持ちが固まったのが中学生の時です。
ソニーの子会社に入ったのも、パソコンで何かを作るより、パソコン自体を作れる方がすごいのでは?と思ったからでした。
ブロックチェーンはガイアックスを支えるコアな技術になるかもしれない
変化に対応し、挑戦し続けられる環境を求めてガイアックスへ
ー ガイアックスに入社した決め手は何だったのでしょうか?
峯:当時はリーマンショックの後で社会が不安定になっており、当時の部署もその煽りを受けました。コストダウンに力を入れるとともに、スマホの台頭もあり、付加価値の高いパソコンを作り続けるていけるのだろうかという疑問を感じました。
一方で、ガイアックスは「何をしている会社か?」と聞かれると、答えられないくらい様々な事業があるので、大きな変化が起こっても会社としてなんとかできるという点が魅力的でした。今回のコロナ禍でも、影響を受けた事業もあれば受けなかった事業もあるし、世の中の変化を逆手に取って伸びている事業もある。色々な事業を手がけているからこそ、継続していろんな挑戦ができると感じました。
また、僕は2013年の3月にガイアックスに入社しましたが、当時目を引いたものはスクールガーディアン事業(学校非公式サイト・ネットいじめ対策コンサルティングサービス)が伸びていたことでした。(現在スクールガーディアン事業は、アディッシュ株式会社としてガイアックスから独立しています)。今までなかった新しい分野の事業を作り、その分野でポジションを築きつつあったんです。ガイアックスは新しい文化を作れる会社だと知り、魅力的だと思いました。
ー 実際に入ってみてどう感じましたか?
峯:エンジニアとして入っても、エンジニアの仕事以外の領域にも触れながら仕事ができる事が特に面白いですね。ただ、もともといた会社はセクショナリズムな傾向が強く、自分が関わる範囲がきっちりと分かれていました。そこからガイアックスというフラットなカルチャーの会社に来て、戸惑った事もあります。フラットで関わる範囲がきっちりと分かれていないからこそ、お互いが取りこぼしてしまう事があったり…。最初は「(開発する時に)そこまで考えなきゃいけないの?」と思った事もあった気がします(笑)。ただコードを書くだけでは許されないぞ、と。
僕が入社して最初に携わったのがソーシャルメディアの解析ツールの開発でしたが、事業部としてとてもフラットな組織だったので、営業やコンサルティングをしている人たちの話も共有されるし、そこに対して意見を言う事もできるし、こちらの意見も聞いてもらえるんです。知識の幅も広げられるし、新製品を作った時に価格付けに関与できたりもします。それはベンチャーならではなのですが、これだけ人数がいる事業部(当時で約20人)の中でもフラットなやりとりができるという点がすごくいいなと思いました。
ー 峯さんは現在どのようなお仕事をしていますか?
峯:今は開発部に所属し、エンジニアリソースを持っていない事業部に対して、エンジニアリソースを提供するということを主に行っています。メインはスタートアップスタジオから出てきた新しい事業のプロダクト開発や運用をやっていて、ガイアックスのオフィシャルサイトの開発やガイアックスコミュニティの開発もしていました。
僕はそこに加えて、事業のシーズを作っています。「こんな事業をやりたい」となった時にスタートダッシュできるように、先回りして技術面での準備をしています。今注力しているブロックチェーンはまさにその部分にあたります。
ブロックチェーンの可能性と課題
ブロックチェーンはフェアな世界を作れる技術だと気づいた
ー 峯さんはどんな経緯でブロックチェーンに注力するようになったのですか?
峯:ガイアックスは2015年からシェアリングエコノミーに取り組み始め、その時に先遣隊の人たちがサンフランシスコに視察に行き、「シェアリングエコノミーを将来成長・進化させる技術としてブロックチェーンというものがある」という報告がありました。
僕は「技術で会社を強くする」というミッションを持っているので、様々な新しい技術と触れ合う機会を持つようにしており、同じ時期にお金の未来について話し合うという社外のイベントに出ていました。その時にビットコイン関係のお仕事をされている方から仮想通貨(暗号資産)やブロックチェーンについて教わり、「これはすごい技術だぞ」と思っていたんです。
ブロックチェーンは単なる技術から始まり、いろいろな応用が進んでいます。特に中間者の搾取の排除は早い段階から期待されている分野です。
» 世界を変えることに挑戦するブロックチェーンと自分
ブロックチェーンは誰かを特別扱いしないんです。万人を平等に扱い、悪いこと(不正)ができないフェアな世界を作れるものだと気づきました。既得権益がある人たちが得をする世界から、一生懸命やっている人たちが利益を得るようなフェアな技術として使われるようになるだろうと注目し始めたんです。
ー 2015年からブロックチェーンに関わっていて、当時と今ではどのような変化を感じていますか?
峯:2015年当時は、ごく一部の熱狂的な人だけが知っているような状態で、一般には知られていませんでした。2017年に仮想通貨の値段が急激に上がり、投機のブームが来ましたが、ブロックチェーン自体に興味を持っている人は一部でした。
でも、ブームがあったからこそブロックチェーンの存在に気がつく人が出てきて、認知がされるようになったように感じます。
当初、世の中で出てきた事業アイディアは単に仮想通貨ブームに乗っかったようなものが多かったです。しかし今では、ブロックチェーンは良い活動をより促進するためのもの、という捉え方をする人が増えてきたと感じています。
ブロックチェーンを活用するメリット
ー 実際にブロックチェーンの技術を使ったサービスは増えてきているのでしょうか?
峯:今は見えないところで使われる場面が増えてきました。特に増えてきているのは、国際物流の場面です。輸入業者や税関、保険会社などが繋がったシステムは今までなかったので、それらを繋ぐ時にブロックチェーンを使うようになってきました。複数の会社同士で1個のブロックチェーンを使うというのは非常に相性がいいですね。
例えば、1個の物を輸出するのに、何箇所ものサインを紙にもらわないと輸出できないとなれば、時間がかかりますよね。これを電子署名で済むようになったら、移動もせずにチェックできるようになります。
電子データで記録されるため後から簡単に辿れる事や、ブロックチェーンではデータを改ざんする事が難しいため、不正ができないのは大きなメリットですね。
さらに進んだところでは、例えば農産品にまつわる記録が全部残っていて出どころを証明できるため、販売されている食べ物の価値を正しく伝えるといった使い方もできるでしょう。
ブロックチェーンは世の中を変える技術。でも、技術だけでは変わらない
ー ブロックチェーンの技術を普及していく上で、困難に感じていることはありますか?
峯:ブロックチェーンに携わる多くの人が感じていると思いますが、ブロックチェーンのビジネスって、マネタイズがすごく難しいんです。
先程のような物流のシステムなら、導入してもらう事で、一般的なシステムのように使用料をいただく事ができます。しかし、ブロックチェーンを使ってフェアな世界を作ろうとするサービスでは、フェアさを求められるがゆえに、人からお金をもらいにくくなるんです。
個人が自分のためにサービスを作って、自動化されて誰でも無料で使える仕組みを作れば、ユーザーも得をするしメリットはあるんです。しかし企業がやるとなると、利益を出すのが難しいため、やる意味がなくなってしまう。
例えばAirbnbのようなサービスはブロックチェーンで自動化されることも可能ですが、自動化される事で手数料を取れなくなるので、Airbnbというビジネスモデルは成立しなくなってしまう。そしたら、利用者と物件のマッチングでお金を取ることはやめて、(今のAirbnbでもやっていますが)物件の清掃サービスをするなど、周りにどんなビジネスがあるかを考えてシフトしていかなければいけないと思っています。
「技術で次の世の中を作る」ブロックチェーンはその1つ
未来の応援のカタチ「cheerfor」とは?
ー 峯さんは、ブロックチェーンを使ってどのような取り組みをしていますか?
峯:ブロックチェーンを使う時には、今までお金を取っていたところで取れなくなるという前提のもと、違うところでユーザーがお金を払う価値があるものを作っていく必要があると思っています。
そこで、その人が「いい人」であることを証明するようなサービスが必要になってくるだろうと考え「cheerfor」というサービスを開発しました。いい人である事を証明するだけでなく、その人が成長するために他の人が支えるようなサービスが成り立っていくと考えているんです。
» cheerfor 〜未来の社会の実現に向けて〜
ただ、理論的に考えるとそうなのですが、まだまだ中央がお金を取るようなビジネスはなくならないとも思っていて。だから利益を出すビジネスもしつつ、ブロックチェーンの可能性を信じ、両方に取り組んでいきます。
ー 仮想通貨はお金の新しい形を示していると思いますが、「cheerfor」を見ていると、そもそも「お金」という概念がいずれはなくなっていくのかもしれない…そんな可能性も感じました。
峯:お金って、ある意味では妥協の産物だと思うんです。みんなの価値観を統一するためにあるというか…。でも、Aさんに払う1,000円とBさんに払う1,000円は果たして同じ価値なのだろうか?と思う事があります。同じ物でも、会員限定価格など売る相手によって値段が違うこともありますよね。
いずれはお金を違う単位で表現することができるようになるんじゃないかとは思うのですけど、何をすればそうなっていくのかは、僕もまだわかっていないんです。
「cheerfor」のような新しい体験ができるサービスをたくさん作り、使うユーザーが増えれば理解が進んでいき、次のステップのサービスに移っていけるのかもしれません。利用する側のリテラシーも上がっていく必要があって、それを無視して技術だけ投入しても使われないものになってしまうなと感じています。
やると言ったからには挑戦する責任がある
ー ガイアックスは「自由な会社」と言われる事がありますが、どのように感じていますか?
峯:自分が挑戦したい事について、ちゃんと説明をすることができて、見る側の人が評価をできれば挑戦させてくれるという自由があり、そこはすごいなと感じています。
同時に「やると言った以上はやる」「結果を出す」という責任があると思っています。特に人を巻き込んだ時には、その責任を感じますね。ただ、どちらかというと、仮に結果が出なくても、やると言ったからには挑戦しなければいけない責任の方が大きいかもしれないですね。やらずにやめるなら、それ相応の理由が必要かなと。
ー 今後チャレンジしたいことはありますか?
峯:一番成し遂げたいことは、技術を使って本当に強い事業を生み出すことです。ガイアックスに入った当初は、自分で事業をやれるだけの能力は身に付けたいと思っていました。今は、自分で事業を作って成功させることに注力しているのではなく、成功している事業を作ることに強い思いを持っています。自分がリードするのでもいいし、他の人がリードしているのを支えるのでも、どちらでもいいと思っていて。それよりも、技術で次の世の中を作っていく事に面白さを感じているんです。
ー とても熱い想いを感じました。ありがとうございました!
インタビュー・ライティング 黒岩麻衣
編集後記
世の中が変わっていくのを傍観しているのではなく、自ら波を起こそうとしている峯さんのお話はとてもワクワクしました。ブロックチェーンが気になって仕方ありません!