ガイアックスの木村智浩です。
モンテッソーリ教育は、自律的な人材を生み出し、Google、Facebook、Amazon、Microsoft創業者がモンテッソーリ教育を幼少期に受けたことでも有名です。
ガイアックスは、「フリー・フラット・オープン」というカルチャーや、「IGNITING RESPONSIBILITY ― 使命で動く」というフィロソフィーを大切にしています。そして、スタートアップスタジオとして事業を展開し、このような自律的な人を求めています。
今回は、日本で公開される映画「モンテッソーリ 子どもの家」を、モンテッソーリ・レッジョエミリアの研究者、児童発達学博士の島村華子さんへ視聴いただき、インタビューを行いました。
想定外な変化がいっぱいのVUCA時代、どんな文化や環境が平和を愛する自律的な人材を生み出すのか、先生のメッセージをぜひ受け取ってください。
子どもは力強い学習者!大人のエゴを外して心を傾けてみませんか?
映画の中の子どもたちの笑顔、眼差しが教えてくれます。
2021年2月19日(金)から日本で公開される映画「モンテッソーリ 子どもの家」。この作品を一足早くモンテッソーリ・レッジョエミリアの研究者、児童発達学博士の島村華子さん( https://lit.link/drhanakoshimamura )に見て頂きインタビューさせていただきました。島村さんは現在カナダの大学で幼児教育の教員養成をされています。2020年4月に出版された書籍『モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』は10万部の2020年を代表する子育て本のベストセラーとなっています。
この作品の海外での評判は?
木村智浩:この作品は2017年にフランスで公開されたドキュメンタリー映画です。既に海外では観られた方は多いと思いますが、海外での評判は?
島村華子:モンテッソーリのトレーナーの先生も含め、子どもたちの日常の様子やコミュニティで成長していく姿が見られると大好評です。モンテッソーリ教育の美しさがよくとらえられている映画として、ヨーロッパを中心に鑑賞済みの先生が多いのが印象的でした。
実際みての感想は?
木村智浩:実際鑑賞しての感想は?
島村華子:教室に戻りたい!というのが一番の感想です。子どもたちの集中しているときの吐息、没頭しているときの独り言、やりたいことを見つけたときの輝く笑顔、自分でやりとげたときの満足げな表情、必要なときに自然に助け合う子どもたちの様子、下の子に教えるときの誇らしげな上の子の顔、お友達がやっているアクティビティを観察する子の真剣なまなざし、あっちいってよ!とダイレクトに伝えあえる子どもたちの正直さ、先生と子どもの守られた個別時間など、挙げたらきりがないほどモンテッソーリ教育の特徴や子どもたちの人間味が詰まった映画でした。
一人ひとりがクラスのコミュニティの一員として、それぞれの心に誘われるがままに作業に没頭している様子は、モンテッソーリの教室では日常茶飯事。その現場を目の当たりにすることができる、子どもたちの成長に伴走者として関わることができる教師としての仕事は改めて尊いなと思いました。
フランスとカナダで違う? いい意味でも悪い意味でもギャップはあった?
島村華子:ギャップはありませんでした。想像する通りの伝統的なモンテッソーリの教室をありのままに映していると感じました。
教具が整理整頓されているのはもちろん、「子どもたちの家」という風にマリア・モンテッソーリ医師自身が表現したように、お花が飾られていたり、太陽の光を感じるようなあたたかさも印象的でした。
年齢の違う子どもたちが教室を自分の属する場所だと感じて、自分の時間やお友達との時間をのびのびと楽しんでいる様子が見て取れました。
これから鑑賞される方に、知っておくと理解深まるところは?
島村華子:モンテッソーリ教育は、子どもの幸せを満たす3つの要素が詰まっています。
自己決定理論(動機理論のひとつ)が提唱するように、①自己裁量権(自分で決める)、②有能感(自分で達成できる)、③関係性(大切な人が周りにいる)が満たされているかでどうかで、人の幸せ度・やる気は左右されます。
例えば、モンテッソーリの教室では、いつ、だれと、どのくらいの時間アクティビティをするのかなど、子どもたちには自己決定の機会が多くあります。
また、自分で選んだアクティビティをやり切ったときの達成感は、ハードルが高ければ高いほど喜びをもたらします。失敗しても何度もやってみる、その結果できたときの成功体験は自信へとつながります。
そして信頼できる大人やお友達がいることで子どもたちは安心感を覚えます。年齢も違う子どもだちがいる縦割りがモンテッソーリ教育では一般的です。スキルレベルも得意なことも違う子どもたちが一緒に暮らしていくことで、競争ではなくて助け合いや共存の大切さも学んでいるのです。
映画を見るにあたって、どの場面がこの3つの要素に当てはまるのかを注目してもらえたら、また違う視点が得られるかもしれません。
木村智浩:人の幸せ度・やる気を左右する3つの要素、①自己裁量権、②有能感、③関係性の視点で子どもたちを見ればいいのですね。これは大人の組織にも適用できますね。最後に、この映画をまだ見てない人に一言お願いします。
この映画をまだ見てない人に一言
映画のナレーションでもあったように、モンテッソーリの教室はもう一つのお家であり、失敗が歓迎される実験室です。
大人の役目は、天才を育てることでも、学力だけに集中することでもありません。子どもたちが自分の中に潜む興味を試せる場所、その「好き」が邪魔されない場所です。
子どもたちは力強い学習者であり、ニーズだけなく権利を持った市民です。
子どもの言葉を、大人のエゴというフィルターを外して、心から耳を傾けるのがモンテッソーリ教育が象徴する平和教育であり、わたしたちが目指したい教育の姿なのではと思います。
木村智浩:ありがとうございます!
華子さんの研究と現場での経験から溢れてくる言葉は、子どもたちを命溢れた存在と意識させます。私たちに大人のエゴ、平和の一歩を問いかけてきますね。
いよいよ日本での公開がはじまります、映画情報はこちらです。
日本のモンテッソーリ 子どもの家のドキュメンタリー映画がある!
また、日本にもこの仏映画よりも10年前に、日本のモンテッソーリ教育のパイオニアによる実践記録映画があります。興味がある方はぜひこちらもご鑑賞ください。オンラインでの上映会とトークセッションが2021年3月26日金曜日 夜に開催されます。
作品は、2007年制作の『いちばん良いものを子どもたちに ―深草こどもの家の一年』。日本におけるモンテッソーリ教育の第一人者、赤羽惠子さんによるものです。
赤羽恵子さんは、1963年、日本人で初めてドイツでモンテッソーリ・ディプロマ(資格免許)を取得し、日本で最初のモンテッソーリこどもの家と、モンテッソーリ教師養成コース開設に大きく貢献したモンテッソーリ教育のパイオニア。
彼女が理想の幼児教育を実現すべく1979年に豊かな自然が残る京都・伏見の地に設立したのが「深草こどもの家」です。
この上映会イベントには私も登壇させていただきます。
ガイアックスは、フリー・フラット・オープンといわれる社風や、たくさんのチャレンジを行うスタートアップスタジオというビジネスのインキュベーション機能を持った組織です。興味がある方はスタートアップスタジオや座談会にアクセスしてください。