Gaiaxは、「ティール組織」と位置づけられることも多く、メンバーの1人1人が自らのライフプランを大切にし、いろいろな働き方の革新を実現してきました。
マックスむらいこと、村井 智建(むらい ともたけ)さんは、Gaiaxにあるカーブアウト制度のきっかけになった方です。彼の事業であるAppbankの法人化が、今あるGaiaxカルチャー「『自分のやりたいこと』に基づき、自由と権限を持ち、能動的/自律的に社会にインパクトを出す働き方」を加速させました。
現在、静岡の山と東京での二拠点生活を送る村井さん。
誰よりも早くGaiaxでの働き方のロールモデルとなった村井さんが、これから進む『山』という舞台での「自由な働き方・生き方」それに付随する「責任」を、シリーズとして追っていきます。
こんにちは。コミュニケーターの喜屋武です。
マックスむらいこと村井さんとは、社内で何度かお会いする中で、お話させてもらうようになったこともあり、今回インタビューの機会をいただきました。
トレードマークの赤いパーカーで登場してくれた村井さんに、9月から始まった山生活や、これからのビジョンを伺いました!
村井さんの過去インタビューはこちら
数ヶ月の山生活を経て
(スマホと三脚を持って現れた村井さん。せっかくだからということで、インタビューの様子を撮影してくださることに。)
村井 みなさん、こんにちは!マックスむらいです。
今日はガイアックスからインタビューを受けます。
なんのインタビューですか?
村井 智建(むらい ともたけ)
石川県出身。2000年、株式会社ガイアックス入社。2006年、株式会社GT-Agencyを設立。2012年、AppBank株式会社を設立し、代表取締役CEOに就く。2013年からはニコニコ動画やYouTubeに出演し、「マックスむらい」チャンネルでは約150万人の登録者数を獲得。
喜屋武 はい、村井さんが新しく山生活を始められたということで、今どんなことを考えていて、これからどんなことをやっていこうとしているかを、定期的に伺っていけたらと思っています。
というインタビューです。垂れ流しまーす。
ノーカット映像版はこちら
よろしくお願いします!
村井 はい、お願いします!
喜屋武 すみません、今ちょっと緊張してて硬いんですが・・・(笑)
村井 ははは、全然ラフな感じでいきましょう(笑)
喜屋武 ありがとうございます(笑)早速ですが、YouTubeチャンネルのお休み期間を少し経て、9月から静岡で山生活をスタートされましたね。驚かれた人も多かったと思いますが。
村井 はい。
ー草むしりをはじめ、地道な苦労もいろいろとあったかと思いますが、実際に何ヶ月かやってみてのライフスタイルの変化や、思っていたより楽しい、ぶっちゃけここはしんどかった、などあれば聞かせていただけますか?
山は、かなりハードモードですね。私の出身は石川県の奥能登っていうど田舎で、実家は牧場だったんですが、毎年台風が来たら電信柱が倒れて3日間停電していました。うちは水道じゃなくて井戸だったから、ポンプも動かなくなる。電気が使えないロウソク生活で、水は風呂場に溜めて生活用水にする。そういう地域で育ったから、わりとサバイバル気味の不便な生活には慣れているかなという実感があったんだけど、いざ何もないジャングル化した山の中でインフラゼロからやってみて、「明かりや飲み水、トイレもどうする?」みたいな、ありとあらゆるところが大変だったね。
ーそれは大変そうですね。
私それまでキャンプってしたことがなくて。山に入る前にさすがに一度は体験しておいた方がいいだろうということで、仲間とキャンプ場に行ったんだけど、水場はあって電気も通っていて、テント立てたりBBQもしたりと、まあ快適で(笑) それに比べて、山はインフラゼロだったからヤバかった。
なぜ山生活に至ったのか?
ー村井さんが、幼少期の自然に囲まれた暮らしから、真逆の環境の東京でITの仕事を最前線でやられて、そこからまた自然に回帰していく流れが興味深いなと思っていて、その辺りの変遷について伺いたいです。
私は10年単位で何をやるかってのを決めているんですけど、まず、2000年がガイアックス入社なんですよね。ど田舎から18歳で出て来て社会人0年目がスタートした。
最初の10年って言うのが、ITについて知りながら、営業の役員も経験したんだけど、当時は今のガイアックスと違って、BtoB、法人営業寄りの会社だった。牧場育ちで、名刺交換、敬語、アポ、スーツを着るといった経験が全くない状態で、楽しみながら努力して、胸をはれる一定の成果も出せた。それが最初の10年だったわけです。
で、営業マンとしての最初の10年の間で、2008年4月にiPhone3Gが発売された。8年間営業を経験した結果として、BtoCがやりたかった。直接ユーザーに向き合うような商売がしたいってことで、2008年の10月からAppbankがスタートした。なので、2010年からの次の10年っていうのは、ユーザー向けのビジネスだったわけです。
法人営業の10年を経て、ユーザーに向き合った10年。内容としては、メディアの運営やコンテンツの作成。前半の5年はブログメディアAppbank、後半の5年はYouTubeや動画、インフルエンサーという文脈での関わり方。
ちなみに、2000年から始まった最初の10年も、ガイアックスでの営業マンとしての私から、2006年にGT-Agencyという子会社を設立して、後半は社長 兼 営業マンとしての私。
なので、実は5年刻みぐらいで、ステージというか、自分と仕事との関わり方が変わっている。
2010年代もAppBank社長、後半は社長を降りて、マックスむらいとしてコンテンツを作る側にっていう、そんな10年だった。
2020年の今年の1月に5年ぶりにAppbankの社長に復帰して、じゃあ次の10年をどうしようってことを2019年の夏ぐらいから考え始めるわけですよ。2015年にAppbankが上場し、初動を支えたソーシャルゲームの市場もある程度落ち着きを見せて来た中で、自分の強みだと思っている突破力、切り込み隊長的なところを考えたときに、バランスを取りながら市場の収益を確保するのは、私の役目というよりは組織の役目だと。次の10年で自分をどう強く活かすか、どう活躍するかを考えると、とりあえずこの5年間どっぷり浸かっていたマックスむらいという文脈から、まず抜け出さないといけない。マックスむらいを主役にしちゃいけない。あらためて社長に戻ったので、なおさら、自分の会社で、「主力商品はマックスむらいです」なんて私は言いたくないので、すぐに次の柱を作りたいと去年から考えていて、何を軸にしようかなと。
黎明期であり、かつプレイヤーがまだ成熟し切っていなくて、ある種、混沌期というか混乱期の市場に身を置くのが私は好きなんです。
もう一個言うと、1周回って、落ち着いた産業も好き。2周、3周まわっていて、これ以上構造改革は起こり得ません的な安定した市場をどうこうするっていうのも、とても好き。それでいうと、山だったり農業だったり、日本で言うなら地域の抱える問題、高齢化とか過疎化とかって、日本中の問題じゃないですか?
そこのジャンルに対して入るのはすごく面白いなあと。安定していて落ち着いている市場だからこそ、そこで勝機も見出せるだろうなと。そう思って山かなあって。
ーなるほど、それで山に。
あと、もう一つは青空レストランっていう番組がすごい好きで、イベントや仕事が入ってなければ毎週観るんだけど。
あの番組は、農家・漁師といった食品生産業の名人を訪ねて、いろんな食材を使った絶品料理を探せってコンセプトで。名人に「あなたの食材は何?」って聞いて料理してもらい、最後みんなで乾杯するって番組なんですよ。名人というと、おじいちゃん、おばあちゃんみたいな年配の人をイメージすると思うんですけど、最近2ヶ月に1回ぐらい若者が出るようになったんです。
それには共通点があって。日本って明治か大正からか小作農って制度ができたじゃないですか。あなたの畑はここからここまでよって。そこで土地を管理して、作物作ってねって割り振られる。その制度にのっとって日本中でみんなが土地を得て、農業を重視した。小さい面積だからこそ、兼業農家って単語があって。米を作ってない季節は別の仕事で稼がないと生活ができないっていう規模感。みんなが均等に収入を得られて、中流階級を目指すうえでは、いい効き目のあった制度だと思うんですよね。
青空レストランに出てくる若者っていうのは、同級生で脱サラして、5人とかで地元に帰ってくるような人たちなんですよ。田舎で持っている土地を5人でシェアして、効率的に運用して、商品に名前をつけたり、ブランディング、マーケティングを図る。それで利益がめちゃくちゃ出ます、っていうのが名人で出ているんです。それはおもろいなあと思うよね。たぶん、彼らが同級生5〜6人で集まらず、個々でやっていたら絶対商売にならないから、田舎に帰って農業やろうなんて思わないわけですよ。アメリカも大規模でやっているけど、規模感にプラスして日本なりの手のかけ方、工夫の仕方、メイドインジャパンの品質の高さ、そういったものが表に出て来ているじゃない、ここ数年とくに。あれは魅力的だよね。
ただ、そこへのテクノロジーの入り方ってまだまだじゃないですか。ドローンを飛ばして農薬散布しますみたいな。CMとかでよく見る大企業の農業に対する技術支援とかも大体ドローン飛ばしている。「それで?もっとできることあるでしょ?」っていう(笑)でも、それをやるには、自分でやらないとダメだと思った。次の10年で考えたときに、私が自分の名前を使って電話して、「お宅の商品いいですね。うちでマーケティング担当させてください。仕入れさせてください。」ってやれば終わりなんだけど、それだと説得力ないよね。パズドラもそうだけど、自分自身でやって辛さを知っているからこその降臨戦のドラマとか、いろいろなことが起こるっていうのは、これまでの発信の中でわかっているから。だから、ジャングル化した山にコンクリートジャングルから出かけて行って、開拓の苦労、ゼロから草むしりをしたり、クワを振ったりするわけですよ。遠回りに見えるかもしれないけど、そのステップは絶対踏むべきと思ったし、それがないと次の10年は保たないと思った。だから、山行こうかなって。
インターネットが好き
ー村井さんは、市場のニーズがどうこうよりも、自分がその時、純粋に面白いと思えることを、直感的に選んで来たのかなという風に感じました。
そうだね。18歳で石川から東京に出て来て、もう20年。コンクリートジャングルでインターネットに向き合う時間が人生の大半を占めてしまった。AppBankを始める時もそうだったんだけど、この20年仕事をする中で、私の真ん中にあるのは、インターネットがとても好きってこと。ゲームが好き、とインターネットが好き、は全然違う。じゃあ山に行きます。農業なのか、ITなのか。いや、そういうんじゃない。私は、インターネットが好き。
何をやるにしてもインターネットを軸にしたい。農業をやりたいんじゃなくて、ITを駆使して人の生き方や、生産性を効率化したい。農業は泥臭いし、そもそも農家って完全に法令や制度で固まっている分野だから、非常にイノベーションが起きづらい。とても難しい産業だと思うんです。だからこそ面白いし、チャンスでかいなって。そこに、ITやSNSの発信のような、私がやって来たいろんな要素を持ち込んでミックスしたらどうなるか、自分的には勝機をいくつか見出して着手している。
ーすごく腑に落ちました。かけ合わせなんですね、インターネットとの。
そう、インターネットが好き。
ー表面だけ見たら、スマホ、動画から、ガラッと山や農業の方に行って、何を考えているんだろうって思った人も多いかと思うんですけど、あくまでベースにはずっとインターネットがあって、それをかけ合わせるフィールド、場所や対象が変わっただけなんだなと。
うん。
ーむしろ、そこだけではうまくいかなかったり、広がらなかったところにインターネットを当てることで、ブレイクスルーだったり、面白い課題解決の仕方が見えているんだろうなと思いました。
うん、そんな感じです。
マックスむらいが見据える次の10年【後編】「山生活で感じた人と人の豊かなつながり」 へ、続く
インタビュー/ライティング : 喜屋武 悠生
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