「自由すぎる」「起業家輩出企業」とも言われる、ガイアックス。
どんなサービスを提供している会社なのか、どのような社会を目指して活動しているのか、代表の上田がガイアックスについて語りました。
第6弾のテーマは、『資本主義社会の矛盾とこれから訪れる世界【前編】』
- そもそも資本主義とは?
- 感じる資本主義の矛盾とは?
- 資本主義とは異なる次のシステムとは?
などのトピックについて代表の上田が語っています。
ぜひご覧ください!
※この記事はYouTubeに公開された同タイトルの動画を元に書き起こしています。
今、私たちの社会を動かす一番パワフルなシステムは「資本主義」です。
資本主義社会では、地球環境などは考えずに利益だけを追求しており、貧富の差やさまざまな社会問題を拡大させています。この傾向は、今後ますます悪化していくでしょう。
資本主義の矛盾とは?
この地球には、数十億もの人が住んでいます。私たちは一人で生きるよりも、多くの人と共同・コラボレーションしながら、助け合って生きていく方が幸せです。どのように他者とコミュニケーションするのか、どのように数十億人が自分の感情を他者に伝えているのか、そしてどのように共同していくのか、ということを解決するシステムが「資本主義」です。
私たちの世界には、多数決でものごと決定する「民主主義」というシステムもあります。今の世の中には、民主主義と資本主義のふたつが、パラレルで存在しています。
「感情をコミュニケーションするのが資本主義だ」と言うと、理解しづらいかもしれません。例えば、地球上の数十億人みんなが、幸せに生活するためにはどうしたら良いのかというと、全員が周りの人々に対して「自分はこんな感情です」「こういうことをして欲しいです」「これがあるとすごく助かります」などの感情を共有し合い、誰かの感情に感情移入することによって、世界は幸せに動くのではないでしょうか。
しかし、このようなことは物理的に不可能なので、人類は「感情を数字で表現する」という考えを生み出しました。みなさん自身、例えば「りんごが食べたい」「桃が食べたい」という時に、「りんごが100円で売っていたら買おうかな」「桃だったら200円で売っていても買おうかな」と、感情を数字に換算しています。
数字に換算することで、数十億人が瞬時に地球の隅々まで、感情をいきわたらせることが可能になりました。みなさんのニーズに基づいて、みなさんが瞬時に変化しながら、そのニーズを最大限に満たすように動くようになりました。
例えば、ヨーロッパで牛の病気が流行ったので、代わりに魚を食べたいと思ったとします。日本で普段農業をしている方が、最近魚の値段が上がってきたため、農業の代わりに漁に出ることもできるでしょう。このように、世界中の気持ちが最大限幸せになるように、世界中のシステムや人々が瞬時に組み変わりながら、ニーズを満たそうとするシステムが「資本主義」です。
資本主義社会は多くの矛盾を抱えていますが、おそらく多くの人は気が付かないでしょう。なんとなく、「資本主義は正しい」「民主主義は正しい」と思い込み、自分たちがコミュニケーションのために作ったルールを、自分たちの幸せより優先していることがあります。
みなさんが「安く商品を作ることは良いこと」だと思い込んでいるので、結果的に「資本主義が正しい」という考えや、資本主義のルールが世界中に拡大し、多くの矛盾を抱えることになりました。
例えば、メーカーが消費者を騙して、良くない材料を使ってものを作るとします。これは法律違反です。ただ、重要なのは違反ではなければ良いのかということです。例えば、化学調味料などは、例え認可されていても、本当に消費者が求めているのでしょうか。さらには、金融商品も挙げられます。説明義務などは果たしているかもしれませんが、本当に消費者のためになっているのでしょうか。
一昔前に、サブプライムローンの問題が起きました。金融業者が手数料を荒稼ぎするために作ったパッケージです。お金を借りたけれど返せない人に対して、家を担保にさらにお金を貸すので、みなさん破綻していきます。家を担保にしているので、家まで取り上げることで金融業者は儲かります。
多国籍企業が牽引する資本主義
私たちは、たくさんのものを所有しています。はっきり言って、無駄なほど所有しています。なぜでしょう。産業サイドが利益を出すために、私たちに「もっとものを欲しがれ」というプロパガンダをして洗脳し、たくさんのものを売っているからです。正直、こんなにたくさんのものが必要なわけがありません。
資本主義社会では、お金を出す人にしか気を使いません。お金を出さない人には何も言わず、地球環境にも一切気を使いません。たくさんのものを売ることが正義なので、結果としてたくさんのゴミが出ますが、産業サイドは気にしないので地球環境が汚染されていきます。
繰り返しになりますが、私たちが大切にするべきなのは「私たちが幸せになること」です。「感情を数字に変えてコミュニケーションしよう」という資本主義社会が、いつのまにか私たちの幸せより、ルールばかりに目が向いてしまっているという現状です。
みなさんのなかには、民主主義社会も資本主義社会も存在すると考える方がいるかもしれません。しかし、多くの民主主義社会は、政治や法律ですら資本主義社会のパワーには勝てないと思います。非常に大きなパワーを持つ企業が政府を操ったり、政府にロビングして自社の産業に有利な働きかけをしたりするからです。
当然、投票権は一般大衆にありますが、一般大衆が取得する情報はマスコミが操作しています。このような企業は、マスコミすらコントロールしようとするため、結果的に一般大衆をコントロールしています。
企業が利益を出すために、法律を変えていくことは当然でしょう。国内に限らず、他国ですら自社の利益を最大化するために侵略することもあります。
例えば、TPPなど多国間貿易についても同じことが言えます。日本では、全国民が健康保険に加入するという、非常に社会主義的なシステムがあります。健康保険は、必ずしも医療産業が儲かるわけではありません。本来は医療費を値上げし、払える人からお金を取り、払えない人つまり収益に貢献しない人は、対象外にした方が儲かります。
TPPなどの多国間貿易の制度では、同じことを各国に要求しています。安いものを売れば、当然そちらが選択されるべきだと考えるかもしれません。しかし、例えば大手ファッションメーカーが、ある国では服を5ドルで作れるからと発注を開始します。しばらくして、同じ条件で服が作れなくなると、さらに劣悪な労働環境で労働を強いている他国が名乗りを上げるでしょう。
みなさんは、どこまで命のリスクをかけるのでしょうか。子供たちが教育を受ける機会を奪ってまで、どこまで利益を追求するのでしょうか。みなさんは、そのようなリスクは取れないかもしれませんが、世界のどこかには取れる国があります。資本主義社会は、利益を追求する企業が、他国に劣悪な労働環境を提供しています。
今、世界中で最も力を持っているのは、国家ではなく多国籍企業でしょう。動かせるお金が非常に大きいがゆえに、政府を動かし、国民を動かし、そして国家を超えて、世の中をコントロールしようとしていると感じます。
今後どのような社会になるのかと言うと、資本主義や企業がさらに力を増すと考えています。決して、企業の社長を否定しているのではありません。株主や会社、取締役会、社長などが存在するシステムでは、誰が社長をやってもあまり変わらないかもしれません。
利益を追求するために、取れる手は全てを取るという資本主義のシステムでは、誰が社長でも機械的に利益追求を続け、勢力を伸ばしていくでしょう。
よく、「将来AIが進化すると怖い」と言いますが、AI以上に今この瞬間にある「企業」が脅威になっているのです。今後ますます貧富の差が広がっていくでしょう。稼げる人が稼ぎ、貧しく騙されやすい人は騙されていきます。
そして、残念ながら貧富の差は、遺伝することも事実だと思います。資本主義がクレバーなだけに、この問題がなくなるイメージが持てません。ただ、インターネットが台頭してきたので、対抗手段としての可能性を考えています。
この記事の後編は、「資本主義社会の矛盾とこれから訪れる世界【後編】」よりご覧いただけます。