ソーシャルメディアサービス事業セグメントからは株式会社CREAVE代表の中村真奈、インキュベーション事業セグメントからはDAO事業部事業責任者の廣渡裕介が登壇し、事業説明を行いました。また、参加者から寄せられたご意見・ご質問に対して、直接回答いたしました。本記事では、当日のセミナー内容をお伝えします。
※本内容は、理解推進のために一部内容の加筆および修正を行っております。
ガイアックス代表 上田:ガイアックスの事業概要および経営方針
上田:皆さん、本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。まずは、ガイアックスという会社について簡単にご紹介します。
当社のミッションは「人と人をつなげる」です。私たちは、ソーシャルメディア、シェアリングエコノミー、web3といった領域を中心に事業を展開しています。特に最近では、DAO(自律分散型組織)のようなフラットな組織モデルに注目し、スタートアップスタジオの形で新規事業を立ち上げることに力を入れています。
当社の2つの事業セグメント
当社の事業は、大きく2つのセグメントに分かれています。
まず一つ目が、ソーシャルメディアサービス事業です。これは主にBtoB向けのサービスで、企業のマーケティング支援を行っています。本日は、その中でも「CREAVE(クリーブ)」という事業について、中村が詳しくご説明いたします。
そして二つ目が、インキュベーション事業です。こちらは社内での新規事業の創出や、外部企業への投資を行うセグメントになります。連結対象となる企業は連結決算に反映されますし、非連結の企業への投資についてはキャピタルゲインとして売上・利益に計上されます。毎年2〜3件以上の新規事業に挑戦しており、成功するものもあれば、撤退するものもあるというのが実情です。
中期経営方針と今後の目標
2023年度から2027年度に向けた中期経営方針を策定し、現在はその2年目が終わった段階です。計画通りに売上・利益を達成しており、次の目標に向けて進んでいます。
年度 売上目標 営業利益目標
2025年 33億円 2億円
2027年 40億円 6億円
また、2024年度にはタイミー社株式の売却により、想定以上の売上を達成しました。今後も計画に沿って、安定した成長を目指していきます。
配当について
配当についても触れておきます。基本的には、2025年度についても5円を維持する予定です。ただし、2024年度は利益水準が大幅に向上したため、特別配当として50円を支給しました。今後も利益が大きく変動する場合には、特別配当の実施も検討していきます。
CREAVE代表 中村:事業説明&質疑応答
中村:皆さん、こんにちは。株式会社CREAVE代表の中村です。本日は、私たちの事業についてお話しさせていただきます。
まず、CREAVEについて簡単にご紹介します。私たちはクリエイターとの共創を活かしたSNSマーケティング支援を強みとする会社です。もともとガイアックス内でSNSマーケティングやクリエイティブ制作を行っていた「ジェニックラボ」と、2023年にピクスタ株式会社から買収した「スナップマート」を統合し、2024年2月にCREAVEとして新たにスタートしました。
私たちの一番の強みは、35万人規模のクリエイターネットワークを活かしたマーケティングとクリエイティブ制作です。企業のマーケティング支援はもちろん、クリエイター向けのセミナーやコミュニティ運営など、育成にも力を入れています。
主要サービスのご紹介
1. アンバサダーサービス
このサービスでは、アプリを通じて企業の商品やサービスのアンバサダーを募集し、口コミ投稿(UGC)の獲得や素材収集を効率化しています。実際に、この仕組みを活用することで、素材収集コストを半減し、広告効果を平均3倍に向上させた実績もあります。
2. ショート動画制作サービス
今、SNSで動画コンテンツの重要性が高まっていますよね。私たちは、一本4万円から依頼できる手軽なショート動画制作サービスを提供しています。SNSに最適化されたクリエイティブを作ることで、企業の広告戦略をしっかりサポートしています。
3. SNSアカウント運用サービス
企業のSNSアカウント運用に関しても、戦略策定からコンテンツ制作、分析まで一貫してサポートしています。さらに、LP制作やプロモーション動画、ロゴ・イラスト制作など、幅広いクリエイティブ支援も行っています。
今後の戦略 〜ショートドラマ市場への本格参入〜
2025年には、ショートドラマ市場に本格参入します。実は、2023年の終わり頃から試験的に市場に参入しており、すでに「BUMP」などのプラットフォームで作品を配信し、ランキングの上位に入るなど、いいスタートを切ることができています。
今後は、制作受託だけにとどまらず、自社IPを育成し、ライセンスビジネスへと展開していく予定です。また、自社アカウントの立ち上げや、縦型動画配信プラットフォーム向けの大型作品制作にも取り組み、事業の柱として確立させていきます。
CREAVEに関する質疑応答
Q:CREAVEをガイアックスから分社化した理由は?
中村:分社化の大きな理由は、ブランディングの強化です。クリエイティブとSNSマーケティングに特化したブランドを確立し、これまでガイアックスでは開拓し切れなかった市場を広げていくため、独立した形で運営しています。なお、私自身が両事業を統括しており、今後も連携強化に努めていきます。
Q:ショートドラマ市場での優位性は?
中村:私たちの強みは、マーケティング視点を持ったショートドラマ制作です。最近、ショートドラマを制作する企業やクリエイターは増えていますが、広告・マーケティングのノウハウを活かしながら、高品質なコンテンツを提供できる企業はまだ少ないです。その点で、私たちは確固たるポジションを築いていけると考えています。
Q:クリエイターとインフルエンサーの違いは?
中村:私たちは、「インフルエンサー」ではなく、「クリエイター」に特化しています。SNS上で多くのフォロワーを持っていることが必須条件ではなく、各SNS媒体の特性を活かした優れたコンテンツを制作できるスキルがある人を活用することで、よりインパクトのあるマーケティングを実現できます。
Q:CREAVEの成長計画について
中村:具体的な売上・利益目標は非公開ですが、CREAVEは過去2年間で事業規模を倍増させています。このペースを維持しながら、利益率も意識しつつ、組織の拡大を進めていく計画です。
DAO事業責任者 廣渡:事業説明&質疑応答
廣渡:皆さん、こんばんは。ガイアックスの廣渡です。本日は、私たちのDAO事業についてお話しさせていただきます。
DAO事業の概要
DAO(自律分散型組織)という言葉を耳にする機会も増えてきたかと思いますが、日本ではまだ実装が進み始めたばかりです。そこで、私たちは2023年春にDAO事業部を立ち上げ、企業や自治体の皆さまにDAOの活用方法を研修やレクチャーを通じて提供してきました。また、多くの方が扱いやすいようにDAOの運営を支援するツールの開発も進め、展開しています。
これまで数十社と協業し、着実に実績を積み上げてきました。今後も企業や自治体と連携し
ながら、DAOの導入支援を強化していきます。
これらコンサルティング業務での収益基盤をしっかり確立し、DAOの立ち上げがより多くの人にとって手軽なものになるよう、プラットフォームの構築を進めています。
取り組み実績でございますが、これまでに約50社のDAOプロジェクトを支援し、R&Dや新規事業開発の一環としてPoC(概念実証)を行ってきました。採用、不動産、文化財活用、地方創生といったさまざまな分野でDAOの可能性を広げています。
「DAOといえばガイアックス」というブランドを確立し、着実に実績を積み上げてきました。今後も企業や自治体と連携しながら、DAOの導入支援を強化していきます。
ガイアックスのDAO活用支援事例
大手企業様を中心に様々なDAO活用のプロジェクトをコンサルティングやツール提供にてこれまでさまざまな分野で支援しております。
例えば、採用分野では、従来の履歴書や面接では見えにくいスキルや貢献度を、DAOコミュニティ内での活動を通じて可視化する仕組みを作っています。企業側は、実際にコミュニティでの働きぶりを見て評価できるので、ミスマッチの少ない採用が可能になります。
また、不動産領域では、日本初のDAO型シェアハウスを展開し、住民が自ら管理ルールを決めたり、修繕費の使い道を投票で決めたりする仕組みを導入しました。これにより、管理コストの削減だけでなく、住民が主体的に関われる新しい住環境のあり方が実現しています。
さらに、文化財の保存や活用の分野でもDAOの可能性を広げています。例えば、歴史的建造物を保存しながら新たな活用方法を模索するため、DAOの仕組みを活用して資金調達を行い、観光向けの宿泊施設として再生するプロジェクトを進めています。単なる投資ではなく、DAOメンバーが実際の運営にも関わることで、持続可能な事業モデルになっています。
また、地方創生の領域では、自治体がDAOを活用して地域の公共プロジェクトの意思決定に住民が関われるような仕組みを作っています。例えば、道路整備や観光施策の優先順位をコミュニティの投票で決定し、地域の意見がよりダイレクトに行政に反映される環境を整えています。
新たな取り組み:「DAOX」の開発
昨年秋にSaaS型のDAO管理ツール「DAOX」を発表し、展開中です。これを活用することで、DAOの運営がよりスムーズになり、誰でも直感的に扱えるようになります。
ビジョンと目指す社会
私たちが目指しているのは、資金と労働力が意義のあるプロジェクトに集まる社会です。DAOを活用することで、従来の「オーナー・ユーザー・労働者」という関係を再構築し、投資だけではなく、共感しながら参加し、貢献できる新しい経済モデルを作りたいと考えています。
さらに、政府もDAOを新しい法人格として認める動きを見せており、世界的に見てもリアルワールドアセットのトークン化が進んでいます。こうした追い風を受けながら、DAOの立ち上げを支援するコンサルティング事業と自社でDAOを立ち上げる事業の両軸で成長を加速させていきます。
最終的な目標は、数百・数千のDAOを立ち上げ、それらをポータルサイトのように一覧掲載することで、DAOの参加ハードルを下げることです。これにより、誰でも関心のあるDAOにスムーズに参加できるだけでなく、自ら新しいDAOを設立できる環境を整えたいと考えています。
さらに、長期的には広告収益モデルの確立なども視野に入れ、DAOを軸とした持続可能なビジネスモデルを構築していきます。
DAO事業に関する質疑応答
Q:DAO事業で成長が期待できる分野は?
廣渡:不動産と地方創生です。不動産市場では、DAOを活用することで先に資金調達を行い、その資金を開発に充てることが可能になります。また、自治体がDAOを活用することで、従来のふるさと納税のような単発の仕組みではなく、労働力の提供も伴った持続可能な資金調達が実現できます。
Q:PlanetDAOはなぜ別会社なのか?
上田:PlanetDAOは、非常にチャレンジングなビジネスモデルなので、現時点では出資先の別会社として運営を支援しています。今後の外部資金調達を視野に入れつつ、ガイアックスとしても引き続き密接に連携しながら事業成長をサポートしていきます。
(参考)日本初、”株式会社型 DAO”による歴史的建造物への小口投資プロジェクト
Q:DAO事業の売上・利益目標は?
廣渡:具体的な数値は公表していませんが、SaaS型のビジネスを主軸とし、大企業や自治体と協業しながら、エンタープライズ市場でのシェア拡大を目指しています。
Q:収益の発生時期は?
廣渡:コンサルティング事業の収益はすでに発生しており、プロダクト関連のマネタイズも本年度から開始する見込みです。
Q:クリエイターを活用したインバウンド向けの漫画制作はどうでしょうか?
廣渡:これはまさにCREAVEとDAOの配合プロジェクトのような形で実施できる可能性があり、非常に面白いアイデアです。よろしければぜひご提案者さまともご一緒に取り組めたらうれしく思います。
Q:ガイアックスが今後立ち上げる予定のDAOサービスについて教えてください。
廣渡:詳細はリリース前のため公表できない部分もありますが、不動産や地方創生の分野で多くの準備を進めています。今年中にいくつか発表できる予定です。また、本日発表したばかりのNiterra社との共同プロジェクトでは、カーボンクレジットや二酸化炭素削減をテーマにした取り組みを進めています。
(参考)ガイアックス、二酸化炭素の回収と有効活用を加速させる地域CCUプロジェクトでのDAO検証ワークショップを開催
Q:ファンエンゲージメントやアイドル領域はDAOと親和性が高く、マネタイズの可能性が大きいのではないでしょうか?
上田:我々はDAOのシステムを構築し、ソフトウェアとして提供することで誰でもDAOを構築できる環境を目指しています。しかし現状では、大手企業向けのコンサルティングが中心で、アイドル向けのDAOシステム提供にはまだ手が回っていません。ただし、アイドルや俳優、芸能人の卵といった方々にDAOの仕組みを提供し、新たなマーケットを開拓することには大きな可能性を感じています。