「スタートアップスタジオ」を自負しているGaiax。「起業家輩出企業」と言っているけど、実際のところどうなの?Gaiaxの卒業生たちはどんな事業をやっているの?知りたい!知りたい!というわけで、Gaiaxを卒業していったユニークな起業家の皆さんをインタビュー形式でご紹介する「卒業生に聞いてみた!」シリーズ、その頭の中見せてもらいましょーっ!!
Vol.5のゲストは株式会社Banso 代表取締役社長 久保田 善博さん
久保田 善博(くぼた よしひろ)
2001年からWeb制作会社でWebデザイナーとしてキャリアをスタート。その後、IT企業を数社経て2010年にガイアックスへ入社。新規事業のWebマーケティングやシェアリングエコノミーメディアshare.jpの運用を担当。デジタルコミュニケーション事業部にてWebコンサルティングチームに所属。副業として、一般社団法人日本ふるさと手しごと協会に参画。2019年企業のWebマーケティング支援に伴走するように取り組む株式会社Banso(バンソー)を起業。「中小企業の価値あるサービスを分かりやすく伝え、事業の成長を共に喜ぶ。」を経営理念とする。中小企業のWebサイトの集客を最適化するコンサルタントとして活動中。
浮き沈みの激しい業界でもがいた20代
ー 久保田さんといえば、ガイアックス20周年の際に、卒業後フリーランスとしての働き方やガイアックスとの関係がこれからのガイアックスらしいとスピーチで取り上げられ(*)話題になりました!今日は、そういった働き方についてもお伺い出来ればと思います!よろしくお願いします。
*20周年を迎えて これからはガイアックスはガイアックスコミュニティへを参照
久保田 よろしくお願いします。
ー まずは、ガイアックスに入社した経緯を教えてください。
久保田 実は、ガイアックス入社前の32歳までに転職を10回くらいしています。
ー それは、結構な回数ですよね。ガイアックスではWebデザイナーとして入社されましたが、ずっとWebデザイナーをされていたのですか?
久保田 元々は写真を勉強したかったのですが、両親の承認が得られなかったので、写真の勉強もできるデザイン専門学校に入学しました。デザインの学校で勉強し始めてグラフィックデザインが好きになったのですが、ご縁があり就職することになったのがWebの制作会社でした。紆余曲折あってWebサイト制作の仕事に就いたのですが、それが私のWebデザイナーとしてのキャリアの始まりでした。
その後、数社経て記事広告のデザインを得意とする会社で某企業のECサイトを2人で立ち上げることになります。このECサイト制作は頼りにしていたベテランのディレクターの不慮のバイク事故があり、1人で(先輩や元同僚にサポートいただきつつ)2ヶ月間ずっと2~3時間睡眠というような状況で、幻聴や幻覚を見るように…。そんなこともあり、精神的に辛くなり職場に居ることができず、プロジェクト終了後に退職をするのですが、振り返ってみると「最後までやりきった」ことは自信に繋がっています。
その後、転職した先では、銀行、大手上場企業、証券会社、エンタメ系など様々なWebサイト制作に携わりました。転機が訪れたのは、天津でのプロジェクトにアサインされた時です。
ー 天津?中国赴任ってことですよね?
久保田 はい。6ヶ月間中国で仕事をすることになりました。実は、このプロジェクトにアサインされた時に、「片道切符になる」「戻る席はない」ということを言われました。
ー え…。それは…。
久保田 当然、同僚からも「絶対やめた方がいいよ!」と言われました。ですが、誰もやりたがらないけど、本当に価値のない仕事なのだろうか?と。2度と経験できない仕事に違いないですし、海外で働くチャンスだと思いチャレンジすることを決めました。実際は大変でしたが、最後までやりきったことは、やはり自信につながりました。
ー プロジェクト終了後はどうなったのでしょう?
久保田 戻ってきてからは、クライアントであるゲーム会社に出向してオンラインゲームのサイト制作に携わることになりました。戻ってきた先はとても良い職場環境で、このまま継続して欲しいと言われたのですが、もっと様々な業種のクライアントと直接やりとりをして、初期のヒアリングやデザイン提案段階から関わっていくような仕事をしたいと考え転職活動していた際に紹介されたのがガイアックスでした。
変化し続けるガイアックスに身を置くことで、自分もチャレンジせずにはいられない感覚に
久保田 2010年ガイアックスにはWebデザイナーとして入社しました。4年間、BtoB企業のWebサイト制作をデザイナーとして携わっていましたが、当時の所属部署は、チーム再編、人の出入りがあったため続けていくか悩んでいました。
ー ちょうど、久保田さんと案件でご一緒していた時期ですね。
久保田 そうですね。そんな不安な気持ちもあり転職も考え始めていた時に、社内公募でマーケティング担当を募集しているというメールを目にしました。その新規事業は、もうすぐ終了してしまいそうな状況であることは、なんとなく知っていました。
ー 応募したんでしょうか?
久保田 応募しました。募集を出した事業リーダーも、前述のような状況であることは社内的に知られていたので「まさか応募してくる人がいるとは思わなかった」と驚いていましたね。
周りからも「絶対やめた方がいいよ!」と言われたのですが、そのチャレンジが功を奏して、マーケティングを任せてもらえるようになりました。このサービスは、予想通り終了してしまうのですが、ここで培ったノウハウを買われて、別の事業からお声がけ頂くなど、次の仕事に繋がりました。その辺りのことは以前ブログにつづっています。(参考:「働き方の変化を楽しみ続ける」)
ー このチャレンジはWebデザイナーからマーケティング担当という大きな変化でもありましたね。
久保田 はい。「ガイアックスは、本当になんでもやらせてもらえるんだ」ということを実感しました。やりたいことをやらせてもらえるなら「自分のやりたい事を言わないことは、損だ」と思うようになりました。その代わり、言ったら全力でやること!そうすると周りが支援してくれる。自分の考え方を変え、行動すれば変化を起こして成長できるという実体験になりました。
ー そうですね、そのカルチャーはガイアックスに根付いていると思います。
久保田 それから、ガイアックスは五反田から今の永田町(Nagatacho GRiD)に移転をします。五反田にある、ごく普通の会社が生まれ変わっていくのを社員として一緒に体験できたことは、とても刺激的でしたし、ガイアックス自体が常に働きやすい環境づくり、コミュニティづくりにチャレンジしているからこそ、自分もチャレンジせずにはいられない、という感覚になっていきました。
シェアリングエコノミーとの出会いが独立という大きな決断に踏み切らせてくれた
久保田 その後「Share!Share!Share!」というシェアリングエコノミーのWebメディア運営を担当することになりました。当時、メディア運用に関しては経験がなかったので、やはり「絶対やめた方がいいよ!」と同僚に言われたのですが、他にやる人が居なかったですし、ウェブ解析士としてもメディアの運用経験があると何かの事業支援の際にも役立ちそうだなと思い取り組み始めました。
ー ちょっと待ってください!「絶対やめた方がいいよ!」これ、今日のインタビューの中で3回目です(笑)
久保田 ホントですね(笑)。これまでの経験を通して変化がないことが嫌で、例えば「新規事業に行く」ことを選択したのですが、その後、関わる業務の内容が変わっていったんですね。その経験からも「チャレンジしないことが大きな損失になるかも」と考える様になりました。もちろん失敗するリスクがあるのは怖いのですが、ある能力を身に付けるためのチャレンジは自分への投資だと考えています。
ー なるほど。周りからは「絶対やめた方がいいよ!」と見えることに敢えてチャレンジしていくんですね。
久保田 そうして始めた「Share!Share!Share!」を運営担当ですが、ここで出会ったシェアワーカーの方たちの沢山の素敵な人生は、そんなチャレンジ精神をさらにもう一押ししてくれたように感じています。
ー というと?
久保田 単純に言ってしまうと感化されたんですね。シェアワーカーさん達の人生に触れて、今後の働き方を改めて考えたいと思いました。
数年前からずっと、ぼんやりとですが「自分にも何か地元(茨城県土浦市)に貢献できることはないか?」と考えていたのですが、何をどうしたら良いのか分からなかったんです。ですが、シェアワーカーさん達は、自分のスキルを活かして働き方を積極的に変えていっている。そんな彼らを取材していて、自分にも出来る事があるはず、単純に、今現在持っているスキルWeb制作、Webマーケティングの経験を活かして茨城も含め全国の中小企業の支援をすれば良いのではないかと気づきました。
そして、企業に対してWebマーケティングのツールや、広告などを売る企業は多いのですが、マーケティング活動全体を俯瞰して一緒に現状分析し、目標設定して、施策の優先順位を決めて取り掛かる人(伴走する人)が少ないことに気づきました。
ー そしてご自身の会社を起業されたと。
久保田 自分はあくまでも調整役としてクライアントに伴走するようにマーケティング活動に取り組もうと、そして、マラソンが好きなこともあり、「バンソー」と命名しました。
※株式会社Banso(https://banso.tokyo.jp)
ー 良い社名!
久保田 「何かやりたい」というより、より「こういう働き方をしたい」「こういう生き方をしたい」という想いを持って、自分主体で決めて動くことをした結果だと思っています。あと20〜30年くらい働くなら、今、行動したほうがいいなと思いました。実は、この起業に当たっても周りからは「絶対やめた方がいいよ!」と言われました。(笑)
ー 4回目…(笑)。そして、冒頭でも少しお話ししましたが、ガイアックスを卒業してからも、ガイアックスのお仕事を受けて頂いていますよね?
久保田 ガイアックスには愛情を持って送り出してもらえたと感謝しています。サイト制作の案件をご紹介頂いたり、地元が茨城ということもあって、ガイアックスがスポンサーにもなっている「茨城ロボッツ」さんの応援担当として試合観戦、イベントに参加させて頂いています。また「Share!Share!Share!」の運営も引き続き担当しています。
ー 久保田さんの社名の由来を伺って、人柄がそのまま仕事になっていると感じました。そこらへんが、今でもガイアックスと良い関係が続いている理由でしょうか?
久保田 どうでしょう。もしかしたら、単純に心配されているだけかもしれません。(笑)ガイアックスを卒業してからの方が上田さん(ガイアックス代表執行役社長)との関わりが増えたと思います。
ー (笑)。これからも宜しくお願いしますね。最後に一言お願いします!
久保田 株式会社Bansoは「中小企業の価値あるサービスを分かりやすく伝え、事業の成長を共に喜ぶ」を経営理念に活動しています。中小企業庁が委託運営している「ミラサポ」というサイトがあるのですが、そこで「中小企業庁ミラサポ専門家派遣 登録専門家」としても登録しています。無料でコンサルティングが受けられますので、「ホームページから集客がうまくできていない」などWebマーケティングで課題がある中小企業の方、是非お問い合わせください。
ー久保田さん、ありがとうございました。
Gaiax卒業生久保田善博さんからのメッセージ
『チャレンジは、自分への投資。”絶対やめた方がいいよ!”のアドバイスはチャンスに変える!』
☆シリーズ連続企画☆卒業生の頭の中を覗いたら
このコーナーはビジネスアイデア発想ゲーム「かけアイ」を使って、大川が卒業生の皆さまから即興で思いついたアイディアをお伺いするコーナーです。
山札から引いた3枚の「欲求カード」と3枚の「お題カード」。久保田さんが引いた欲求カードは「家事がラクになる」「お金が増える」「筋トレができる」。そしてお題カードは「お風呂グッズ」「アクセサリー」「エネルギー」。この3×3を使って久保田さんから出てきたアイディアはこちら。
「お金が増える」+「アクセサリ」=「アクセサリー型電子マネー」
お、これありそう!時計で実現できているのだから、アクセサリーでも出来そう!「すぐに実現できるで賞」をお送りします!こういう「身近な存在をちょっと便利に」というアイデアは伴走が得意な久保田さんらしいなぁと思いました。
※「かけアイ」は、アイデア発想術の専門家、株式会社ウサギ 高橋晋平さんが制作したたビジネスアイデアをどんどん作るゲームです。【作例】#かけアイ #kakeai