情報社会研究をリードし続ける先端研究所、国際大学GLOCOMが、創造性を切り口に、先駆者たちと働き方改革の本質に迫るデジタル時代の組織変革にむけたインタビュー・論考集を発売されました。
智場#122特集号 創造性 – デジタル社会を生き抜くための個人と組織のクリエイティビティ
新しい組織のあり方に取り組まれているサイボウズ青野社長や、ソニックガーデン倉貫社長といった著名な方のインタビューとともに、ガイアックスもインタビューが掲載されています。
ガイアックスについては、フリー・フラット・オープンのカルチャー、オフィスを開放したNagatachoGRiD、カーブアウト制度、自治的な組織運営などを切り口に、個人と組織の今後のあり方や創造性についてまとめていただいています。
現在、Amazonで購入いただけます。大きな社会の変化を事例からもアカデミックからも感じていただける書籍です。
とはいえ中身が気になりますよね!
モノ→コト、組織→個人の社会変化。創造環境はどう変わるのか?
書籍のエッセンスは、責任編集の国際大学GLOCOM 主任研究員の小林 奈穂さんのイントロダクションにまとまっています。
そこからキーワードをピックアップするとデジタル社会によって以下のような変化を迎えています。
社会の命題: 経済成長と経済合理性 → 社会善と持続可能性
創造の対象: 定量化できる「モノ」 → 解釈が多様で主観的な体験価値としての「コト」
関係性 :組織基点 → 個人基点
組織: 生産性重視の「管理者」 → 多様な個人の発見を尊重し価値へと変える「アクセラレーター」
本では、小林奈穂さんが図表にしてくださっていました。
PAST | FUTURE | |
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社会の命題 | 経済成長と経済合理性 | 社会善と持続可能性 |
創造の対象 | モノ(より速い×軽い×安い…etc) | コト(楽しい、美しい、嬉しい…etc) |
組織の意義 | 生産性を追求しリソースを管理する | 多様な個人の発見を尊重し、価値化する |
個人の意義 | 組織のために少ない時間で多くを稼ぐ | 社会のために自らが楽しく幸せに生きる |
関係性 | 組織の目的達成に個人を利用する | 個人の目的達成に組織を利用する |
創造性の与件の能力 | ・組織から与えられた条件を満たす ・組織・社会のビジョンに従う ★過去の成功を新たに組み合わせる | ・自らの存在意義を定義する ・自らのビジョンを組織・社会を重ねる ★とらえ直しと小さな発見から他者と協働 |
次なる課題 | 成長前提の経済社会の限界 | 個人の自律と社会の秩序は両立するか |
表:創造環境と創造性の変化
(引用:小林奈穂「イントロダクション」『智場 創造性 – デジタル社会を生き抜くための個人と組織のクリエイティビティ』122特集号、2019.3.31、P.16)
(引用:木村智浩、ナタリア・ダビドバ「Interview on Change Leader│変革リーダーに聞く『個人と組織―新しい関係のあり方・つくり方』」
『智場 創造性 – デジタル社会を生き抜くための個人と組織のクリエイティビティ』122特集号、2019.3.31、P.77-92)
創造性を高める越境的コラボレーション実現の条件とガイアックス
そんな社会の変化の中で、どのようににガイアックスが紹介されているのでしょうか?
首都大学東京の竹田洋子教授の「日本企業の創造性を高める条件」から話ははじまります。
首都大学東京の竹田陽子教授には、組織内の個人が社会とのダイレクトな接点を持ち、他社との協働-越境的コラボレーションを実現していくために必要な条件について論じて頂いた。
まず。個人が安心して行動できるように評価制度を変えること、そして、ゼロから1を生み出す創造のためには、少人数のチーム、多様な自己表現によるチーム内のインタラクション、また、チームへの権限移譲が必要であることなどを指摘いただいている。
こうした諸条件をすでにクリアし、さらに組織と個人の新しい関係性を構築しつつあるのが、ガイアックスである。
ガイアックスでは、徹底した権限移譲のもとに、事業部は「ミニ会社」として独自の評価制度を設定する、あるいは、上司と部下が直接話し合いをして納得したうえで給与が決まるという。さらにガイアックスは、個人と社会とのダイレクトな接点を持ち、自らのやりたいことをやるためのコミュニティとして機能している。「会社のため」ではなく「自分のため」に働く姿勢が、「みんなのため」そして「社会のため」に働く姿勢につながっていく流れと、個人が無図からの存在意義を探り当て、それを実践していくことがすべての基点になることに気づかせていただいた。(引用:小林奈穂「イントロダクション」『智場 創造性 – デジタル社会を生き抜くための個人と組織のクリエイティビティ』122特集号、2019.3.31、P.18)
詳細はぜひ書籍を御覧ください。
そして、素敵なインタビューをしていただきました小林奈穂さん、GLOCOMのみなさんありがとうございます。