私たちガイアックスは、“使命で動く” というPhilosophy (経営哲学/企業理念) を持っています。使命で動くとは、世の中の課題を自分ごととして捉え、ビジョンや問題意識を打ち出し、ムーブメントを生み出すことで社会を巻き込み実現すること。そんなガイアックスメンバーの様子を連載で紹介していく「使命で動くシリーズ」をご覧ください!
今回は、GRiD事業部の山口若葉(やまぐち わかば)さんの使命についてお聞きしました。
現在はGRiDを運営しながら、その他に3つの事業や団体に複業として関わっている山口さん。「自分を表現したい気持ちが強い」という山口さんは、なぜ複業という働き方を選んだのでしょうか?その理由や、複業する上での工夫などもお聞きしました。
山口 若葉
GRiD事業部
2017年1月入社。GRiDの構想を知り、実現化するための力になりたいと思い、入社を決意。現在はGRiDの管理人として、 繋がった方の考え方や働き方を全力応援中。また個人事業主として、専門スキルを活かしたい方を支えるべく、社団法人立ち上げサポートやキュレーションも並行して行っている。
複業は自己実現のための方法
人には色々な側面があり、複業することで自分を表現している
ー まず、山口さんの使命について教えてください。
山口:私の使命は、自分自身のユニークさや才能に気づき、自己実現するために動くことです。自分のユニークさや才能を活かす事で自信を持つことができるし、自己実現することが幸せになることと繋がっていると思っているんです。それを私自身が体現することで、他の人にも気づいてもらえたらいいなという思いがあります。
私は現在は複業という働き方を選んでいますが、自分自身のいろんな面を表現するためのツールとして複業があると捉えています。
複数のコミュニティに関わることで自分の「強み」に気づいた
ー 山口さんの今の使命には、どんな背景がありますか?
山口:私はもともと、自己肯定感がすごく低かったんです。
小学校低学年の頃、勉強についていくことができなくて特別支援学級(教育上特別な支援を必要とする児童のための学級)に入っていました。その後普通学級に戻り、勉強面でも徐々に自信を取り戻してはいたのですが、どうしても周りから「特別学級にいた子」というイメージで見られている感じがしてしまって…。小・中持ち上がりだったので大きく環境が変わることもなく、友達は優しい子ばかりで仲もよかったのですが、他の子に比べて自分は劣っているという気持ちがいつも付きまとっていました。
「環境を変えてゼロからスタートすれば、何かが変わるんじゃないか?」
そんな思いから、高校は中学までの友達がいない場所を選びました。
小・中学生の頃は、外に遊びに行くよりも本を読むことが好きで、大人しいタイプだったと思います。でも、高校生になってからは水泳部とボランティア部を掛け持ちし、ボランティア部では部長に立候補するなど、新しい環境でかなり挑戦をしたと思っています。中学の友達からは「高校生になって、だいぶ性格が変わったね」と言われるほどでした。
ー 山口さんは明るくて活発な印象があったので、自己肯定感が低かったというエピソードは意外でした。大学生の時には留学もしていますよね?
山口:大学3~4年生の時、学芸員の資格を取るため、美術館でのインターンシップを兼ねて1年間アメリカのシアトルに留学をしました。
日本で大学生活を送っている時は、大人数で話す事がすごく苦手だったんです。大人数で話す場になると黙ってしまい、主張しない事が多くて。でも、アメリカに留学した時に、主張をしなければ仕事がもらえませんでした。一方で、ホストブラザーは高校生なのに「自分はプロカメラマンである」と言い切っていて、仕事をもらっていました。そんな自己肯定感の塊のような子と1年間暮らして主張・表明する事の大切さを学び、私も自分の役割を作ろうと思うようになりました。
私はグループでの話し合いの時には、いつも主張することなく黙っていましたが、色々と試すうちにまとめ役や、橋渡し役のようなポジションが得意だと気づきました。そして日本に帰ってきてからも、バイト先でのミーティングで率先して議事録をとる役割をするようになったり、留学で学んだことを友達に紹介したり、出会った人を繋げたりしました。そうするうちに自己肯定感が高まっていったんです。
高校や留学先で全く新しい人たちと出会った事で、自分にも「使える力」があると知ることができたんです。複数のコミュニティに関わることで、自分の個性やスキルが浮き彫りになっていったのだと思います。
GRiDと出会ったことで複業が始まった
自分と異なる価値観に触れられたシェアハウスでの暮らし
ー 学芸員を目指していた山口さんは、どのような経緯でガイアックスと出会ったのでしょうか?
山口:そもそも私が学芸員になりたかったのは、画家の人に憧れがあったからなんです。絵を描くために命を削っている感じがして、かっこいいなって。その人たちに少しでも携われる役割として学芸員になりたいと思っていましたが、一般の学芸員だと、画家さんと距離がありすぎると感じてしまって…。「頑張っている人に身近に関わってサポートできるような仕事をしよう」とシフトチェンジし、最初は人材紹介事業を手がけるベンチャー企業に就職しました。人材紹介のお仕事は、その人の人生を支えて応援できる仕事だと思ったんです。
そこでは良くも悪くも仕事がたくさんあり、朝から晩まで楽しく働いているうちに、会社以外の繋がりがなくなっている事に気づきました。そして2年が経った頃、佐別当さん(ADDress代表)と出会ったんです。
当時、私は住んでいた部屋を出なくてはならなくなり、twitterで「家がなくなった」と呟きました。すると、ガイアックスで働いていた友人が「上司の家がシェアハウスで、部屋が空くらしい」と教えてくれたんです。そこが佐別当さんが自宅をシェアハウスとして開放していたMiraie(ミライエ )でした。
その中で、自分の使命に対して忠実に動いている佐別当さんに感化されたのだと思います。最初は、佐別当さんの「好きなことは好き、嫌いなことはやらない」というある意味偏った働き方を見て、自分との違いに違和感を覚えました。私がずっと「バランスをとって生きていかなきゃ」と思っていた価値観が一気に崩れた感じがしたんです。
「自分を表現できていない」という感覚から、新しい働き方を意識するようになった
ー 佐別当さんと出会った事で、新しい価値観に触れたんですね。
山口:当時は人材紹介の会社に集中していましたが、自分を表現できておらず、息苦しい感覚がありました。そして、そこだけで働き続ける事に不安を感じて佐別当さんに相談した時に、GRiDの話を聞いたんです。
私のように働き方や生き方で悩んでいる人が新しい価値観やアイディアに触れ、自分の在りたい姿を実現していくきっかけになるような場所にする。同時に、GRiDができる事でガイアックスの会社自体をオープンにし、メンバーがもっと外に出ていけるような土壌を作る。その考え方に感銘を受けたし、それを主導できるのが自分なのだと思った時にすごくワクワクしました。
ー GRiDができたことでガイアックスの会社自体が開かれ、より社会とつながった状態になっていったんですね。
山口:「日本で一番シェアが体験できるビル」として始まったGRiDですが、当初はまだ社員のみなさんが「自分たちの場所」と捉えている印象があって。2年目あたりから、外の人たちとの交流を楽しんでいる空気に変わったと感じています。徐々に雰囲気が解きほぐされていくのを見てきて「この事業をやっていてよかった」と思いましたし、貢献できた事に喜びを感じました。
今思うと、ガイアックスには使命で動いている人たちがたくさんいるので、そういう人たちを支えたり、もっとキラキラできるようにサポートをするポジションに憧れてGRiDの仕事を選んだのだと思います。
働き方や生き方の選択肢を広げて、自分が輝く方法を見つけてもらいたい
ー 山口さんは現在はどんなお仕事をされていますか?
山口:GRiDの運営を含めると、現在は4つの仕事を掛け持ちしています。
〜山口さんの4つのお仕事〜
- Nagatacho GRiD:ガイアックスが運営するシェアビル。コミュニケーターとして運営に携わる。
- ADDress:全国定額制住み放題サービス。イベント企画やインサイドセールスとして利用者との面談を行う。
- 日本CTO協会:「日本の企業経営に先端のテクノロジーを」をミッションとした一般社団法人。イベント企画に携わる。
- 新種のimmigrations:スマイルズの遠山正道氏が立ち上げたプロジェクト。事務局としてコミュニティサロン運営に携わる。
ー 山口さんの使命とはどんな繋がりがありますか?
山口:ADDressは利用者と地域の人との接点を作る事業だと思っています。自分自身もシェアハウスに住んだ事で考え方が開けた部分があり、人や地域と接点を持つ事で人生が豊かになると感じている人は多いようです。私にとっても、いつでも帰れる拠り所がたくさんあるのはいい事だと思っているので、ADDressを推進しています。
CTO協会は「テクノロジーの力で世の中を変えていこう」と思っているCTO(Chief Technical Officer)の人たちが集まっている協会です。その中で、私はCTOではない一素人として参加していて、わからないことを言いやすいポジションにいると思っていて。その立場から見て、「わからない」と思う事を解消するために自己紹介会やその他のイベントを企画しています。また、協会の方々がイベントでGRiDを利用してくださることもあり、第一原義であるGRiDに還元することもできていると感じています。
新種のimmigrationsは、新しい経済のカタチを試す場として、スマイルズの遠山正道さんが立ち上げたプロジェクトです。好きなことを「好きだから」と言ってやり続ける人を応援するようなグループがあり、それが新しい経済を作っていくと面白いよね、と。例えば、サーファーがサーフィンをして生計を立てていけるのは素晴らしいことだと思うけど、実際はサーフィンだけでは食べていけなくて、サーフショップをしたり、アルバイトをしていたりする。お金がついてこないと自分の好きなことをできないというのが現状だと思うんです。
私は「好き」や「使命」で動き続ける人に憧れていて、そんな人たちがキラキラと輝ける世界を作るサポートをしたいと思っているんです。だから事務局という形で、コミュニティの中で交流が生まれるよう手助けしたり、「好きなこと」を発表する場を設えたりしています。
「副業」ではなく「複業」というこだわり
「複業」にすることで、自分自身に対するけじめになる
ー 山口さんは、なぜ「副業」ではなく「複業」という働き方を選んでいるのでしょうか?
山口:「副業」という言葉だと、自分ができることを横展開させている感覚が強く、実績を外に出せない人が多いのではないかと思っているんです。本業の影に隠れて出てこない事が多いのではないでしょうか。
「複業」になった場合、新しいものにチャレンジしているという感覚が強いのかもしれません。そして、人にはいろんな顔があると思っていて、私はどの部分も自信を持って表現したいんです。複業で色々な自分を表現していると捉えているからこそ、関わっているどの業務にも対等に責任感を持つ、という自分に対するケジメのために複業という言葉を使っています。
強みを生かすことで自己肯定感が高まった
ー 複業をしていてよかったと感じることはありますか?
山口:私はもともと自己肯定感が低く、自分には才能や活かせるものが何もないと思っていました。でも今では、「まとめ役」というポジションで声をかけていただく事があり、自分の才能として認められているんだなと感じる場面が出てきました。
これまでの過程でいろんな事をやってきて、過去の経験が今の自分を作ってくれている事を思うと少し自信がついて、自己肯定感が高まる感じがするんです。全ての過程が自分の個性に繋がっているし、新しい事をやる時の度胸にもなっていると感じています。
複業していて大変なこと・工夫していること
ー 複業をしていて大変だと感じるのは、どのような時ですか?
山口:私はあまり器用に物事をこなすタイプではないので、優先順位をつけることに苦労することがあります。時間で区切ることができないので自分で優先順位を決めて管理する必要があり、それを周りにも伝えなければいけません。大事なので意識しないといけないことでもあり、苦手なことでもあるなって(笑)。
ー 仕事を管理する時に工夫していることはありますか?
山口:コミュニケーションツールはできるだけ整えています。相手によって使用するツールを分けないようにしていて、SlackならSlackに揃えたり。個別グループにするとその分連絡する労力がかかるしズレも生じてしまうので、できるだけ1つのグループに対しては1つの場所で連絡できるようにして、関わる人には一斉にメンションするようにしています。
コミュニケーションツールを整えることは私自身のためにやっていることでもあるし、結果的にチーム全体のためになる事も多いですね。
タスクの管理では、自分から先に期日を提示するようにしています。
また、どこのチームの中にも相談者は見つけるようにしていて、自分が他の人をチームに引き入れた場合は、その人たちのケアをできるように心がけています。フラットな組織の中でも、自分のアラートを出せる人がいないと心が参ってしまったり、バランスが取れなくなってくる事があると思うので、相談相手は積極的に見つけにいきますね。
複業OKなガイアックスの自由と責任とは?
選択する自由と、選択したことに対して生まれる責任
ー ガイアックスは「自由な会社」と言われることがありますが、どんな自由を感じますか?
山口:ガイアックスで言われる自由は、選択のバリエーションがあることだと思っています。自由と言われると「何もやらなくてもいいのか」と思う人もいるかもしれませんが、そうではなくて「自分に選択する自由がある」というのがガイアックスだと思います。
自分から発言したり物事を選択しなければ仕事がこない、というのが「ガイアックスあるある」だと思っていて。だけど、自分が「これをやりたい」と選択したことに対して、それを頭ごなしに否定されるということはないですね。GRiD事業部では特にそう感じています。私の上司は「アイディアはある?」とどんどん聞いてくれるし、アイディアを出した時に、それを否定された事は今までに一度もなかったです。
ただ、出したアイディアに対して「いつまでにやるのか?」「どれだけの工数をかけるのか?」ということは確認されるし、実行できなければ私自身の責任になります。
ー ガイアックスの「自由」に伴う「責任」は、他にどのようなものを感じていますか?
山口:やりたいと言った時に責任が伴ってくるという事と、責任は決断ということ。そして、決断はスピードだと思うようになりました。
例えばゴミが置かれていた時に「注意した方がいいと思います」と発言するのは、ガイアックスでいうと責任感がない事だと思います。「(自分が)注意します」もしくは「こうすれば解決できると思うので、こうしましょう」と、決断と指示を合わせてやっていかないと話が進まないですよね。
以前は意見を出すことが大切だと思っていたし、自分が判断することに本当に自信がなかったんです。でも今は、責任感を態度で表すことが大切なのだと感じています。それが決断する事や指示を出すことだし、決断が遅くなるほど後に響く事も実感しています。
「こう思います」と言いそうになるのをこらえて「これをしてほしい」「これをします」という決断に切り替え、かつ決断のスピードを上げていくのがガイアックスで生きていくための術だなと思っています。今でも得意ではないですが、やっていかないとなって。
複業を始めたい人に向けたメッセージ
才能があるから複業をするんじゃない。複業する中で才能を見つけていけばいい
ー 複業に興味がある人に対して、メッセージをお願いします。
山口:私は複業は自己実現のツールだと思っているので、自信がなかったとしても、やってみたい気持ちがあれば一歩を踏み出してみるのがいいと思います。まずは「やってみたい」と口に出して表明してみるのがいいのではないでしょうか?そして、言った事に対して責任感を持つ。やると言ったからには調べてみたり、小さなステップから行動してみるのがいいと思います。
特に自己肯定感が低かったり、自信がなかったり、自分を「飛び抜けた才能がない普通の人」と思っている人にこそ、複業をする事で自分の中の個性に気づいたり、自信をつけていってほしいと思っています。
ー 山口さんがイキイキとしている姿を表現する事で、勇気づけられる人がたくさんいそうです。ありがとうございました!
インタビュー・ライティング 黒岩麻衣
編集後記
インタビューの最後に山口さんは「“誰かに対して”という気持ちより、“自分”を表現したい気持ちが強いのだと思います」と少し申し訳なさそうに話していました。でも、山口さんが思い切り自己実現して楽しんでいる姿を表現する事が、たくさんの人に勇気や希望を与える事になると信じています。