ビジネスアイデアをカタチにする「起業ゼミ」プログラムに参加した高校生のブログ第三弾をご紹介します。このブログでは実際に事業検証をした方が事業検証で何をしたのか・何を学んだのかなどを、プログラム参加者の目線からお届けします。
もしかしたら自分の事業アイデアもすでに他の人が事業検証済みかもしれない……?という疑問がよぎる方なら、その情報に触れるチャンス!
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これから事業検証を行う起業家候補の方や起業に興味のある方必見です!
髙野 乃愛(たかの のあ)
国際バカロレア(IB)校出身。リベラルアーツの大学に進学予定。第一回「高3向け1から教えるビジネスコンテスト」にて事業検証賞受賞。現在はKPOPのトレーディング系グッズの匿名交換アプリを事業検証中。
ー高3向け起業ゼミに参加したきっかけを教えてください
ガイアックスでインターンをしている友人がinstagram のストーリーを使って起業ゼミの宣伝をしていて、「ふーんこんなのがあるんだー。でも一人じゃ流石に無理だな。」とスルーしていたら、同じく参加はしてみたいけど、メンバーを探してる友人をtwitterでみかけて、そのツイートに対して反応したのが始まり。
最大三人までだったから、もう一人募ろうと思って、強引にtwitterにいる友人を巻き込んだのが最終的な参加の決意を固めたきっかけでした。
三人いたら心強いですし、加えてメンバー全員が実はクラスメイトなんですよ。何年も一緒に居た中で、彼女たちの物事に取り組む真摯さはいつも拝見してきたので、信頼に足るメンバーだったことも私を前に押してくれた要因だったと思います。
そしてやってもいいかなと思ったのは、今まで起業に関しては全く触れてこなかったからというのも大きな要因でした。私のコースは国際バカロレア(IB)専用のコースで特殊ではありますが、起業に関してはノータッチ。おまけに私にも日本人にありがちな「既存の会社に将来は属する」という考えがあり、起業に関心を持ったことはありませんでした。その未知なる世界を体験したいなと思い応募しました。
ーピッチで発表したアイデアを教えてください
「安心して楽にランダムグッズが匿名交換できる交換アプリ」をピッチにて発表しました。
このアプリを構想する上でヒアリングを十数名に行わせてもらい、課題として挙がったのが安全面への不安、検索のしにくさ、めんどくささなどがありました。交換にあたってのそれらの障害をまとめて解決したいなと思い、アプリの仕組みを構想。顧客はグッズ交換がしたいKPOPオタクに絞って発表をしました。
現在グッズはどのような取引が行われているか代替手段として調査したところ、グッズ交換のメインはtwitterといったSNS上、購入はメルカリなどのフリマサイトで盛んに行われていたんです。前者は主に安全面の保証がないことと手間がかかること、後者は比較的コストがかかることがこれらのデメリットとして想定できました。なので、私たちは匿名配送、詐欺防止、マッチングの早さ、低コストを独自価値にしてピッチを行いました。
ー最初のアイデアはどんなものでしたか?また、なぜピボットしたのでしょうか?
初期は色んなアイデアが出ました。私たちは起業ゼミが始まる前に事前にいくつかのアイデアを各自で考えてきて、お互いにシェアしていました。その中で出た案をいくつか紹介すると、ゼンリーのバスに対応したアプリ、バーチャルショッピングができるアプリ、販促物を売るアプリなどがあります。
一回目の起業ゼミを終えて、よりよいものを考えた末にKPOPファン向けのトレーディング系グッズ匿名交換アプリに辿り着きました。ピポット前はオタク全員を顧客として考えていましたが、二回目の起業ゼミのフィードバックにて、メンターの方が顧客を絞った方がよいのではという提案をしてくださったので、その提案を組み込み、KPOPファン向けにアプリを考えました。
また、匿名配送を行う方法についてもピボットを行っています。ピボット前はどこか一つの事務所にグッズを集め両方のグッズが揃い次第、交換を行うという仕組みを取っていました。しかしそれでは人件費と場所代がかかってしまうため利用者が払わなくてはならないコストが高めになってしまいます。そこで別の案を考えました。これであればコストをおさえられると踏み、ヤマト運輸が提供している配送APIという匿名配送を利用するシステムでピボットしました。
ー参加して難しかったことと楽しかったことはなんでしたか?
ビジコン全体を通して難しかったことは、メンバー全員の意見を一つにまとめることでした。
自分がベストだと思っていることが相手にとってはそうでもなく、他のものがベストだと思っていたりと意見が割れることが多々ありました。その中で気をつけたことはバツが悪いからといって自分の気持ちを放置しないことでした。
きちんと自分が納得できるまでメンバーに聞いたり、問題を取り上げたりしました。細かい内容といった面で難しかったことは市場規模の算出でしす。たとえばKPOPファンでグッズ交換をしたいと思っている人の中で私たちのサービスを利用してくれる人の割合は感覚とも言われたので、私には難解でした。加えて見つけた情報の古さや信憑性、書き方が明瞭でなく本当に得たい数字かどうかわからないといった意味で立ち止まってしまうこともありました。
メンターの方々に聞かなければわからないことが多くあり大変で苦労が多い一方、楽しかったこともあります。
なんといっても自分たちのアイデアが実現するかもしれない……というワクワク感は今までに味わったことがありませんでした。それはある種、大変な作業における希望の光でした。特に起業ゼミ後半でメンターの方々にアドバイスやコメントをいただくときにお褒めの言葉を授かったとき、この幸せを噛み締めていました。
ー今取り組んでいることを教えてください
現在は起業ゼミで事業検証賞を頂いた、KPOPファン向けのトレーディング系グッズ匿名交換アプリを事業検証中です。
週に一度レビューをメンターさんと日程を合わせ行っていて、そこで事業検証の進捗の報告や疑問点の解決、アドバイスなどをもらっています。
今まさに取り組んでいることはアプリが実際に開発されたとして、顧客に利用してもらえるかのを検証しています。検証方法はtwitterで交換を募集している人に対して、複数の方法で声をかけ交換の依頼を受けるということをしています。
複数の方法でユーザーにアプローチをしている理由は、私たち自身まだこの事業検証のひよっこなので、どの方法ならユーザーが一番交換の依頼をしてくれるのかわかっていないからです。
ひよっこ故に今声をかけた中で既に十数名ほどからブロックをもらっていて、少し悲しいです(笑)。そんな中でも一人だけ交換の仲介の依頼をしてくださったユーザーさんもいました。ただ、最近そのユーザーさんに条件にあった交換相手を提示した後に依頼を取りやめされたので、少々堪えました(笑)。恐らく拭えない不信感があったのではないかと私はみています。どうしたらより不信感をなくせるかが今後の課題です。
ー振り返って学んだことはなんでしたか?
起業は有能な「選ばれた人」にしかできないものかと思っていましたが、その認識ががしゃーんと崩れ落ちたことですね。
意外にも高校生のそこまでスゴくない自分でも手が届くものだという認識を得ました。これは自分の可能性の認知とも取れるんだと思います。
過小評価していた自分は実はやっていないだけで、スペックは十分にあることに気付かされました。起業の身近さと同時に難しさについても体験することができました。運営をしていく資金面での壁というものにもまだ実際にはぶち当たってはいませんが、まず第一に高校生の私たちに何百万単位の投資をしてくれる企業はそうそういないと思います。それにガイアックスさんのような超シード期から支援してくれる企業は本当に稀だと思います。
二つ目にピカイチのアイデアを考え出すこと。起業ゼミの一番初めに言われたことは既存のものや代替手段より何十倍もよいプロダクトではないと難しいと言われたのを覚えています。また、起業をするにあたって目指して欲しいのはSOMで100億円ということでした。本当によい物を考えられないと100億円には達しないので、いかに天才的なアイデアを捻り出すかが起業のまた難しい点だなとも思わされました。
ー今後に向けての意気込みをお願いします!
とりあえず今はがむしゃらに走ってみたいと思います。特に今は高校三年生で受験も終わってすべての懸念材料が一掃されている状態なので、暇を持て余すくらいならこの事業実現のためになるようなことをしていきたいです。
大学生になってすぐは慣れないことがたくさんあり、あたふたしてしまうかもしれませんが、そういったときはペースを落として大学と無理なく並行して事業のことを考えていきたいです。そして落ち着いてきたらペースアップもメンバーと応相談でアリなのではと考えています。
私はこの事業が成功することが本当に大事かというとそうではありません。では手を抜いているのかと誤解されそうですが、私はこの事業を成功させていくまでの過程を大事にしています。その間に得た知識、技術、考え方に期待をしながら事業の準備に取りかかっています。
これからは自分自身の成長に繋げられるような事業に進むことを切に願っています。
※中高生インターンの受け入れについて
弊社でのインターンシップ契約は、雇用契約ではありませんが、高校生以下の年少者との契約においては、同等の配慮をし、保護者の同意を得て参加してもらっています。(参考:「高校生等の年少者への労働基準法適用について」(厚生労働省 労働基準監督署))