今回インタビューしたのは、人事総務部長の流拓巳(ながれ・たくみ)さん。
新卒入社4年目にして経営会議メンバーにも選出され、人事という垣根を越えて裁量権の大きい仕事に挑み、ガイアックスを理想の形へと導く挑戦を続ける流さんの仕事の流儀に迫ります。
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流 拓巳
管理本部長
2017年新卒入社。就活を経てガイアックスの内定承諾をした後、内定者インターンとして、半年間 新規事業のマーケティングを未経験で担当。さらに半年間、同事業の関西拠点立ち上げのため単身大阪に移り拠点の統括。新卒入社後は、1年目に新卒採用担当、2年目に新卒採用マネージャーに就任、3年目に人事支援チームの立ち上げ及びマネージャー就任。4年目に労務マネージャーを兼任、その他経営会議に参画など。この度2021年1月(4年目)から人事総務部長に就任。
*裁量権とは
裁量権とは、自分の考えや判断で物事を意思決定する権利のことです。また「裁量権が大きい」ということは、達成すべき目的だけを共有され、その目的を達成するための手段ややり方などを細かく指示されることなく、自分の考えで目的達成に向けて推進していく範囲の広さを指します。裁量権が大きい組織では、任せられる範囲も広く、また達成すべき目標も決して単純なものではないため、仕事を推進する中で実力がつき、結果として成長へとつながります。目的達成するためには、人を巻き込む力、業務を遂行する力、交渉力、視座の高さ、ストレス耐性などの総合的なスキルが求められ、難易度が高い目的に挑戦すればするほど、ビジネスの現場で必要不可欠な要素を身につけることができます。
ファーストキャリアの職種、業界にこだわらない
裁量権の大きい仕事を任せてもらえる環境があるか
ー 常に新たなことに挑み続けている印象の流さんですが、流さんを突き動かすミッションについて教えてください。
就活生の頃から変わらずに、僕が人生をかけてやりたいと思っていることは2つあります。
- 世の中から「他人事」という概念をなくす
どこからが自分で、どこからが自分ではないという境目がなく、一人一人が当事者意識の範囲を広く持ち、当たり前のように助け合える社会を実現したいと思っています。 - 「自信や成功体験の無さが原因で自分を発信できない人たち」にきっかけを与え続け、その力を社会に向けていく
成功体験がないがゆえに、自信を持てずに挑戦できなかったり、発信できない人たちっていると思うんですね。その人たち自身が能力がない、無能な人と思われがちですが、これは”状態”でしかないと思っています。ひとつの成功体験がきっかけとなりその人自身がポジティブに、アクティブに動けるようになると信じています。そのきっかけづくりをしていきたいと思っています。
この2つのミッションは就活している頃から変わらないのですが、ここ最近この2つをまとめて「世の中から意味のない制限とか、理不尽な障害によって発生する、もったいないものが嫌いなんだ」ということに気づきました。
例えば、人事業界でよくあることとして、学歴や性別で不利になるというのがありますが、パフォーマンスが出せれば関係ないはずです。科学的根拠や明確な理由がないのに、チャンスが奪われているものをなくしていきたいと思っています。
ー ガイアックスにはどのように出会ったのですか?
ガイアックスの存在を知ったのは、大学時代にエグゼクティブ特化のヘッドハンティングを行う人材紹介会社でインターンをしている時でした。業務上、ビジネス誌を読み漁っている中で、当時のガイアックスは「風通しのいい会社」として、Googleを越えて日本一という文脈で名前を見ました。何をやっているか分からないけど、おもしろそうな会社だと思っていました。
そして大学3年になって就活するとき、逆求人系のサービスを通じてガイアックスからオファーがあり、「おもしろそうな会社」と認識していたので話を聞きに行きました。
ー 新卒でガイアックスを選んだのはなぜですか?
新卒では業界、業種選んでもしょうがないと思っていました。これはインターンをしていた人材系の会社で、40-50歳くらいのいわゆるエグゼクティブと言われる大企業経営幹部の方々の履歴書たくさん見ていたときに感じました。例えば大手物流会社のCFO候補の経歴を見たときに、その人は新卒時代から物流業界にいたわけでも、財務や経理に携わっていた訳でもなく、転職とジョブローテーションの末に財務に関わり、結果的に物流業界でCFOに就任したというケースが多かったのです。新卒の就活では、業界、業種にこだわらずに企業選定をしようと思っていました。
その上で企業選定のポイントとしては、自分がやりたいことが決まったときに、それが何だったとしても、最速で始めて、最大の範囲に最大の影響を与えられるようになっていること。そのためにはどうしたらいいかを考え、作りたい実績と自分のあり方の両面で目標を立てました。
●20代のうちに誰にでも誇れるようなビジネスの実績を複数持つ
●何かしらの領域で最先端にいること
など
[ 自分のあり方 – being- ]
●誠実であること
周囲を変えていくために、自分が誠実であり、人のことを考えられるようでありたい、と思っていました。仲間を増やしていくというイメージです。そのためには、心とお金と時間に余裕がないと人のことまで考えられなくなるという確信があったので、誠実であるためにも心とお金と時間に余裕がある環境を自分で作れる、コントロールできることはマストと考えていました。
なりたい自分になるために、自分で目標を設定し、それを会社と共有できるということを前提に就活をしていて、最後に残ったのが、コンサルティング会社とガイアックスでした。最終的にガイアックスに決めたのは、作りたい社会の方向性が似ていたということと、ガイアックスであれば何歳になってもミッションやビジョンを見つめながらビジネスマンとして経験を積めると思ったからです。
自分の裁量でやりきることに成功した原体験
浪人時代に学んだ、自分を律するということ
ー 長期的な視点で物事を捉える流さんですが、そのような視点を持つまでにはどんな原体験があったのでしょうか?
僕は、大学に行く気が全くなかったのですが、部活で誘われたということだけを理由に、山口県では一応トップの進学校に入学しました。周りは国立大学や医学部を目指す人が多い中で、僕はダントツで勉強するモチベーションも目的もなくて、結果的に浪人することになりました。
浪人生活をスタートするとき、勉強の仕方さえわかってないという自分を認識したので、徹底的に勉強の仕方から学ぼうと思い、九州地方では厳しいことで有名な寮付きの予備校に入りました。毎日朝から夕方まで授業がある上に門限が19時で、その後19:20-23:20まで必修の自習があったり、携帯電話やPCは持ち込み禁止というところでした。勉強漬けになることを好んで入ったので、最初は成績がぐんぐん上がっていきましたが、次第にストレスによって、座って1時間自習することもできなくなってしまいました。
結果的にはもう1年浪人することになるのですが、この出来事を通じて、自分のことを改めて認識し、自分に合った自己管理をしないと長期的なパフォーマンスはでないということを痛感しました。
そこから、浪人2年目は浪人生活を持続的なものにするために、どんなに焦っていても「毎日22時以降は勉強しない」「月1回はゲームセンターでストレス発散する」など自分でルールを決め、スケジュール表15分単位でやることをびっしり書きました。誰かが決めたルールに従うのではなく、自分の意思でルールを決定したのです。完璧にそのスケジュール通りに動くということをした結果、順調に受験生活を終えられました。
この浪人生活を経て、長期的に物事を考えることができるようになり、自分を律するということを学びました。卒業後のことは何も考えてなかった学生が、計画を立ててカレンダー通りに動けば、基本的に何事も成せるんだということを経験しました。
それは今も続いていて、新卒のときに30歳までにどうなっているかを決めて、1年ごとに落として、1ヶ月ごとに落として、毎月振り返りしていて、コロナの事情を除けば、ほぼ予定進捗通りに進んでいます。
裁量権の大きさを生かせずに事業責任者として赤字を出す
「考える」と「悩む」は全くの別物
ー仕事におけるターニングポイントとなった出来事について教えていただけますか?
ガイアックスの内定承諾後、その翌日からでも働きたいと思ってインターンを探し、当時人手が足りていなかったaini(旧:TABICA)に入りました。
大学での選考が経営学部ということ、履修している授業がデータ分析系のものが多かったからという理由で、マーケティング担当ということだけ決まっていました。忘れもしないインターン初日、とくにスキル教育もなく「マーケティング任せた」とだけ、言われたんです。
まずはできることからやろうと思い、Google Analyticsを見ながらaini(旧:TABICA)の戦略を理解していきました。相性が良さそうなメディア媒体に問い合わせしたところ、翌日にでも商談できるということになり、事業部長に相談しました。すると、「話聞いてみて」「一人でですか?」「いける?いけるっしょ」と言われ、入社2日目にして単独で法人営業の商談をするという経験をしました。スーツを来た方がいいのか、水はどのタイミングで出したらいいのか、あたふたしながらaini(旧:TABICA)での業務がスタートしました。
ー まさに、ガイアックスらしい体験ですね。笑
そこから半年は、週6で大学に通いながらも、毎日広告運用をしたりクリエイティブを作ったりして一定の成果を出しました。その後、夏に1ヶ月間、別のコミュニティの都合でインターンをお休みし、秋に戻ってくると、特にやることが決まっていない状態になりました。
すでに大学の単位を取り終え、卒論も終わっていたので、復帰して初めての全体会議で「何でも振ってください」と伝えました。ちょうど全体会議に被る時間帯に、人事と今後の配属について話すミーティングがあり、思ったよりもその話が長引いて、全体会議の途中で戻る予定だったのが戻れなかったんです。
翌日、代表の上田にエレベーターで会った時に「昨日、戻れなくてすみませんでした!」「全然いいけど、それによって運命は大きく変わったかもね」と言われました。
同期に聞いたら「流、関西立ち上げやるんでしょ?」と言われ、いつの間にか関西拠点の立ち上げ責任者をやることになっていました。
ー 責任者の選出が、本人の承認なしで決まるという、まさにベンチャーの勢いを感じますね。
関西に住むところを探すところから始めるのですが、上田さんが「僕の実家に住んでいいよ」と言ってくださり、社長のご両親と一緒に住むという生活が始まります。
東京ではマーケティングしか担当していなかった僕が、オフィス契約、人の採用・育成、営業統括などすべてをやることになりました。最初は、訳が分からないことをしている自分が楽しかったのですが、事業としての結果が出ていない、もはや赤字の状態が続きました。
原因は、僕の「意思決定の遅さ」にありました。10名のインターン生を採用していたので、今までの人生で経験したことがないほど、いろんな人からいろんなことの相談が舞い込んで来ました。当時の僕は、熟考して意思決定をしたいタイプで、熟考している間に他の相談が入り、意思決定が先延ばしになり、僕が決断しないことでチームが動かないという状態になっていました。
どうせ悩み続けてもうまくいかないんだし、何が正解かを考えるのを辞めようと思い、まずはスピーディーに正解を決めてから、それを正解にしにいくことに頭を使わなきゃいけないと気づきました。「悩む(打開策が出るわけではなく、不安に寄り添っているもの)」と「考える(前に向いて、目的を持っているもの)」を混同していましたが、「考える」はするけれども、「悩む」は最小限にするという生き方に変わっていきました。
人事の枠を越えた仕事に積極的に取り組む
裁量権の大きな仕事こそがチャンスと捉える
ー なぜ流さんはガイアックスで人事をすることになったのですか?
aini(旧:TABICA)で入社前にインターンをしながら、入社後のキャリアについて人事と相談していました。その中で、採用・人事部門でも人を必要としていたということと、自分が就活をした翌年に新卒で採用人事に関わった方が、人材としての市場価値は一番高いと思ったんです。昨年の自分と同じ感覚を持っている人たちが顧客となるので、昨年同じ立場だったというだけで価値になると思い、選択しました。
また人事というポジションを通じて、ガイアックスという組織で何が行われているかをもっと発信して、世の中が動いていくためのヒントを生み出したいと考えています。世の中が変わる瞬間のために、いろんな実証実験をしていたいと思い、一つの事業に関わるというよりも、ガイアックスの全体のブランディングや人材戦略に関わっています。
ー ガイアックスでのハードだった仕事について教えてください
いろいろありますが(笑)、直近では2020年3月に行われたバーチャル株主総会です。
株主総会開催2日前の夜、新型コロナによって小池都知事から不要不急の外出を控えるよう発表がありました。それを受けて株主総会をオンラインで開催すると決まり、翌日昼に上田さんから電話があり、「オンラインで実施するから、株主の方から連絡あると思うからその周りなんとかして」という依頼を受けました。
その日の午後はミーティングが5本あったのですが、わざわざ社長が電話してきたということには意味があると思って、「なんとかします」と伝え、ミーティングはタクシーの中から参加し、会社に行って情報をキャッチアップをしました。そして、コールセンター的な役割を担ってくれる人をアサインし、インターン生でもできるように想定問答とマニュアルを作成し、社内で手伝ってくれる人を巻き込んでいきました。
株主総会の件は分かりやすい例として挙げましたが、入社してから今日まで、僕の仕事は基本的に全て、事例を探してもどこにも載ってないないし、誰もやってないことで、ただ理想像だけがある仕事を手探りでやってきています。採用活動においても同じで、いわゆる採用支援サービスを脱却してのコミュニティ型採用への移行や、事業会社ではなくスタートアップスタジオとしての人事部門の確立など、常に新しいことを推し進めています。
「生き方、働き方の可能性を広げる」
実験を繰り返し、いつか世の中が動く瞬間を見たい
ー 流さんの今後の展望について教えてください。
たくさんあります!(笑)
ガイアックスとしてやりたいこともあるんですが、そこで考えるとスケールが小さくなるので「日本の全会社員のあり方、働き方をアップデートさせる責任がある人の1人である」と勝手に思い込んで仕事をしています。
ガイアックスに関わる100人が幸せになるというよりも、ガイアックスでやっていることをヒントに世の中が変わる実験が繰り返されていったらいいなと思っています。そしてそのヒントを生むのは自分だということを意識しています。
ー いつまで人事を担当するのですか?
2021年1月から人事総務部長に就任したので、当面の間、人事にいそうです。(笑)
ガイアックスは今、スタートアップスタジオとして事業展開しています。世の中にある課題を解決したいという人たちが、ガイアックスの環境を活用して巣立っていく。毎年上場企業を輩出することに適した人事組織労務の支援ができる会社の一番最初の事例として、最適化したモデルを模索したいと考えています。またそれを世の中に発信していくことで、世の中が変わるきっかけを作っていきたいと考えています。
僕の仕事は「業務をすること」ではなく「なんとかすること」
答えのないことの輪郭を掴みに行く
ー 抽象度の高い依頼をカタチにしていく上で不可欠なことはなんですか?
全貌がつかめないものの輪郭だけでも分かるようにするために、しぶとく聞くということをしています。「こういう意味であっていますか?」「含んでほしい内容は、これとこれとこれで合ってますか?」など、とにかく聞きます。全貌をつかみにいくのはすごくしんどい作業で、相手に「そんなことも分からないのか」「全然検討違いな解釈をしている」と思われるという怖さがあると思うんです。でもこの作業をていねいにやることで、会社のことの理解が深まったり、自分の視座も上がっていきます。
そしてもう一つ、相手の反応を勝手に自分で決めないということです。例えば、納期を超えてしまった仕事を抱えてしまった時、何とか力技で自分でやりきろうとすることもできるのですが、僕の場合、即座に依頼してくれた人に対して「できていない」ということをごまかさずに伝えることにしています。そうすると、意外に「もうやってたよ」とか「次こうしよう」と事が前に進んでいきます。怒られるかもとか、大迷惑でやばいかも、助けてもらえないかも、というのはこちら側の想像でしかないんです。僕の視点で大変なことを、相手の視点でも大変なことだと思い込まないというのは大事にしています。
ー 流さんは心が折れそうになることはないのでしょうか?
最終的には納品できればいい、トラブルが解決できればいい。それ以外の思考にならないように気をつけています。自分で時間をかけて対処することもありますが、課題が解決されるかが大事なのであって、自分がやったかどうかは世の中には関係ない。自分の使命を「業務すること」ではなく、「なんとかすること」に置き換えています。
あとは、自分がどうなりたいかを明確にとらえておくことで、難易度が高い仕事が来たときに「なりたい自分になるためのチャンスだぞ」と捉えられます。そこには敏感になるようにしていて、その仕事が終わったときどうなっているかというのは想像しています。
インタビュー・ライティング:樗木亜子
編集後記
流さんの原体験や仕事の流儀を知り、なりたい自分になるために、自分ごとの範囲をどんどん広げて仕事をしている結果として”今”があるんだなと思いました。常に自分を向上している流さんの勢いと面白さを楽しみながら本文を書いていたら、なんだか私まで走り出したくなってきました。笑