近年、注目を集めているDAOは分散型自立組織と呼ばれ、中央管理者がいないことから、新たな組織モデルとして期待が寄せられています。しかし、DAOはティール組織と特徴が似ているため、両者の違いがわかりづらいと感じる方も多いのではないでしょうか。
当記事では、DAOとティール組織の特徴に触れながら、両者の違いを解説します。DAOとティール組織は、運営手法が異なるため、同一の組織ではありません。
なお、当記事はDAOの組成や立ち上げ支援をしているガイアックスが解説しています。三井住友海上火災保険株式会社と共同で行った新卒採用のためのDAO組織運用をはじめとした、多くの実績があります。DAO組成に興味のあるご担当者様は、ガイアックスのDAOコンサルにご相談ください。
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DAOの特徴
DAOとティール組織の違いを解説するために、まずはDAOの4つの特徴について触れていきます。
中央管理者がいない
DAOには中央管理者がいないため、トップダウンによる権力構造がありません。そのため、参加しているメンバーは全員フラットな立場で自由に議論できます。
ただし、運営上、中央管理者がいないだけであり、投票によるメンバーの合意があれば、プロジェクトの進行に必要な立場のポジションを選定して作ることも可能です。
誰でも参加可能
DAOは興味がある人は誰でも参加可能であり、国籍や性別、人種、職業などの制限がありません。試験や面接、雇用契約などを結ばなくても、自由にメンバーになれるのも特徴です。
ただし、加入には、NFTを所有していることといった条件がつくケースもあります。
意思決定は投票制である
DAOにおける意思決定は、メンバーの投票によって決まります。
この投票をオンチェーンで行うとき、ガバナンストークンと呼ばれるトークンが使われるのです。ガバナンストークンとは、DAOの意思決定における投票権のような働きをもつトークンのことです。
ガバナンストークンが導入されていることにより、メンバーの意見が尊重され、ボトムアップによる意見の反映が可能となっています。
ガバナンストークンの詳細は「DAOのトークンとはどのようなものか?」をご覧ください。
透明性が高くソースは誰でも閲覧可能
DAOでは参加者同士で合意されたルールは、スマートコントラクトというシステムにより担保されています。
これらはオープンソースとなっており、どのようなルールで組織が運営されているのかが誰でもわかるようになっています。そのため、透明性が高く、不正が起こりにくいのも特徴です。
ティール組織の特徴
ティール組織とは、フレデリック・ラル―氏が考案した新しい組織モデルのことです。
実在する営利企業や非営利組織に調査をし、従来とは一線を画すような手法で運営されている組織の共通点をまとめ、概念化したものになります。
従来組織のようにトップダウンによる伝達はありませんが、DAOのようにボトムアップでもない組織形態です。
ティール組織の特徴を4つ解説します。
上司や中間管理職がいない
ティール組織には上司や中間管理職がいません。
自主経営がされており、数人から十数人のチームに分かれ、チーム内のメンバーがそれぞれ状況に応じた判断を下して業務に当たっています。
決定権のあるリーダーよりトップダウンで組織が運営されるのではなく、プロジェクトの立案者がそのまま意思決定者になることも多いです。
スタッフ機能を持つ部署がない
ティール組織には、上司や中間管理職以外にも、管理部のような部署が存在しないこともあります。
しかし、ティール組織では、自主経営がされているため、部署ごとにチームのメンバーが必要に応じて採用や戦略策定などのすべての業務をこなしているのです。
意思決定の方法が決まっていない
ティール組織の中でも、プロセスに沿って民主的に意思決定することもあれば、チーム内で意思決定者を選定し、その内容においては意思決定者が責任を負うこともあります。
意思決定は誰が下しても良いため、明確に意思決定する方法が決まっていません。
その意味では、意思決定の方法が実に柔軟であるといえるでしょう。
従業員の個性・主体性を重視する
従来の会社組織は、個性を封印して会社の一員であることを求められます。
一方で、ティール組織では、素の自分でいることが大切とされているのです。個性を尊重し、そちらを重視した方が生産性の向上につながると考えられているためです。
たとえば、ティール組織であるアメリカのサウンズ・トゥルー社では、職場に犬を連れてきても良いとしています。常にオフィスには2~3匹の犬がいるため、従業員がかわいがることで心が和み、犬の存在が社内でのコミュニケーションの円滑化に一役買っているのです。
DAOとティール組織の違い
DAOとティール組織は、その概念の近さから同じ組織形態であると混同されがちです。
しかし、DAOとティール組織はまったく異なる組織になります。
前者はWeb3の技術を用いて目的達成を目指した組織であり、ティール組織は人との協調性を重視することによって、目標達成を目指す組織です。
運営体制
DAOではコードとルールに基づいて、意思決定と運営が行われます。これは言い換えると、システムによってルールが保障されているといえるでしょう。
一方で、ティール組織は自己組織化された従業員により、協力的に運営がされています。
運営基盤がスマートコントラクトのシステムによるか、従業員間での強調であるかが違うポイントとなるのです。
DAOはブロックチェーン技術による運営のため、その運営体制が変わることはありませんが、ティール組織は人による運営のため、柔軟に体制が変わる可能性があります。
中央管理者の存在
DAOは中央管理者が不在です。
一次的な投票により企画担当者が決まったり、DAO発足時の旗振り役としての先導者がいたりすることもありますが、基本的に中央管理者は存在しません。
一方、ティール組織は中央集権を避けてはいるものの、チーム内で意思決定する実質的なリーダーが存在することがあります。
また、DAOとは異なり、法人という形態上、肩書として代表取締役やCEOが存在するところも相違点といえるでしょう。
運営目的
DAOは透明性を重視して、メンバー間がフラットな立場で意見を出し合い、プロジェクトの達成をゴールとしています。
一方、ティール組織の目的は従業員の自己成長を通して、組織全体の目標を達成することです。そこには明確なノルマや数値目標がありません。
結果を求めるか、プロセスにより結果が出ることを重視しているかがDAOとティール組織の違いになるでしょう。
時代の先をいくDAOの可能性
組織の在り方は時代によって変わってきており、今後は従来のトップダウン構造だけでは、組織運営が難しい可能性が出てくるでしょう。
ティール組織は、これまでとは違った革新的な方法で運営されている組織といえます。
しかし、日本国内の企業がティール組織を見習い、目標ノルマや管理部のようなスタッフ機能をもつ大部分の部署を突然廃止して、必要最小限のサポートチームにすれば、混乱が起きる可能性は高いでしょう。
DAOであれば、ティール組織を組成するよりもリスクを少なくした上で、これからの時代の先をいく組織運営が可能です。
そうすることで、さまざまな課題がDAOにより解決されることも期待できます。
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