地方での人口減少が社会課題になっている日本において、近年DAOを活用して「地方におけるまちづくりへの参画を図るプロジェクト」の普及が進んでいます。
これらは「地方創生DAO」と呼ばれ、地方移住そのものを推進するのではなく、オンラインでの活動を中心とした自治体の「関係人口」として、地方創生活動への推進力となることが期待されています。
そんな地方創生DAOの具体的事例と現状の課題、成功へのポイントを本記事のテーマとして扱います。
自治体の地方創生関係者や地方自治体への地方創生DAOの提案を考えている企業担当者の方にご確認いただき、DAO実装への一助になればと思います。
なお、全国の自治体におけるweb3プロジェクトの傾向分析、および具体的な事例についてまとめた「全国自治体のweb×地方創生マップ」も配布しています。ぜひご活用ください。
地方創生DAOとは
現在、日本では都市部への一極集中と地方の過疎化が進み、限界集落となっている自治体も増えてきています。地方での過疎化が進むと、文化の多様性や地方のインフラ減少、山林・農地の荒廃化が進むデメリットがあります。
このような課題を解消するためのソリューションの一つとして、ブロックチェーン技術を活用したDAO(ダオ)の活用が期待されています。
DAOは、ブロックチェーンを活用した参加認証とオンライン上でのコミュニケーション、トークン保有数に基づくフラットな意思決定、各自の稼働に基づいた報酬分配を前提としているため、住んでいる地域にとらわれず誰でも参加できたり、ツールを用いた透明性の高い意思決定ができることが強みです。
※DAOのポイントについて詳しくはこちらにて解説しています。
地方創生DAOは2022年ごろから自治体での導入が進み、2022年4月から2023年4月の1年間には、web3×地方創生プロジェクトの数が8倍に増加しました。
地方創生にDAOを取り入れるメリット
続いて、地方創生にDAOを取り入れるメリットを具体的に6つ解説します。具体的には次のとおりです。
- 自治体の関係人口の増加が期待できる
- 資金調達先の手段となる
- 地域連携を図れる
- 外部人材の調達ができる
- 事業推進力が向上する
- 地域を知ってもらうきっかけになる
一つずつ解説します。
自治体における関係人口の増加が期待できる
地方創生にDAOを取り入れることができれば、自治体の関係人口の増加が期待できます。DAOでは、オンライン上でトークンやNFTの売買を通して、誰でもデジタル村民などといったメンバーとしてプロジェクトに参加できるためです。
デジタル村民の場合は、村民割と呼ばれるような特典を得られたり、地域資源を活用したNFTの企画に参画できるメリットがあります。
地方創生の課題として人口減少がありますが、なかなか地方にいきなり人が移住するような施策を打つのは難しいのが現状ですよね。
これに対して、オンラインでのデジタル村民という形であれば、プロジェクトに関わるハードルが高くありません。このような入り口でプロジェクトの参加者を増やすことで、新たな企画を立てたり、地域資源の活用につながるでしょう。
資金調達の手段となる
DAOは、プロジェクト推進のための資金調達手段のひとつになります。
従来の地方創生であれば、国や地方自治体に申請をして、交付金をもらうのが一般的な流れです。しかし、DAOではトークンやNFTの売買により資金調達ができるため、行政の窓口とは違った経路で資金が確保できます。
一方で、資金調達の方法としてクラウドファンディングが思い浮かんだ方もおられるかもしれません。DAOはクラファンのリターンとは違い、稼働に応じたトークンの分配を通してメンバーに報酬を与えることができるため、メンバーがより自律的にプロジェクトに関われる利点があります。インセンティブ構造が優れているといえるでしょう。
また、集められた資金は、主催者だけなく、トークン保有者の持分比率に応じた投票で使い道を決められるのも、大きな魅力です。
ちなみに、DAOとクラウドファンディングの違いは「DAOとクラウドファンディングの違いをデメリットにも触れながら解説」でも扱っています。
地域連携を図れる
地域との連携を図れるのも、地方創生DAOの大きなメリットです。
地方創生には、自治体のような行政だけではなく、街おこし隊や地域団体、地域住民などとの関わりを持ちながらコミュニティの活性化に貢献することもできます。
DAOを作ることで、地域住民と地域に関心を持っている人をゆるやかに繋げることができるのが魅力です。
外部人材の調達ができる
地方創生DAOでは、外部人材の調達ができるのも魅力的な点となります。
外部人材とは、地方創生が必要な地域以外からきた人材を指します。地方創生では、プロジェクトを立ち上げる人物が地域の関係各所と連携を図り、補助金を使いながら地域の再生を図っていくのが一般的です。
しかし、DAOでは、オフラインでの縛りが一切ないため、地方創生に関心があり、より知見のある人たちでも、気軽に参加できます。
そのため、広報に強みのある方や営業が得意な方、コミュニケーションが得意な方など、地方創生DAO運営に役立つスキルをもった人材が集まり、地方創生に大きく貢献するようになるでしょう。
事業推進力が飛躍的に向上する
地方創生にDAOを取り入れると、事業推進力が向上します。一般的に地方創生事業をする際は、補助金申請に加えて、自治体との連携強化など、多くの時間が必要です。
しかし、DAOでは多様なメンバーが参加し、プロジェクトの立案や資金の使い道もすべてメンバーによる投票で決まります。
DAO組織内で早く意思決定できれば、より早く新たなメンバーを募ったり、複数の自治体を巻き込んだりでき、事業推進力も向上するといえるでしょう。
地域を知ってもらうきっかけになる
地域を知ってもらうきっかけになるのも大きなメリットです。
DAOは近年国内においても少しずつ関心が高まっており、地域の抱える課題の解決法として注目されています。
魅力的な地域資源NFTでニュースになるなど企画が盛り上がれば、DAOをきっかけに自治体について知る人々が増えるチャンスにもなるでしょう。
地方創生DAOのパターン
現在導入されている地方創生DAOは、以下の4パターンに分けられます。
- 地方創生コミュニティのDAOパターン
- NFTを用いた地域商品/サービスの販売型
- 人材マッチングパターン
- 旅行時のデジタルコインパターン
順番に解説していきます。
地方創生コミュニティのDAOパターン
これまでも地方創生を目的としたコミュニティは存在しましたが、「ボランティアになりがち」と言う課題がありました。
DAOを活用することで、資金調達と稼働に応じた報酬分配が実現し、「自走する共創組織」を目指すことが可能になります。
貢献度に応じた報酬設計などでボランティアからの脱却を目指し、より持続的な活動を行うのがこのパターンです。
具体的な例としては、「おさかなだお長崎」や「塩尻DAO」があるので、後ほど詳しく解説します。
NFTを用いた地域商品/サービスの販売型
2つ目は、地方の特産品などをNFTを通じて販売することで、NFT会員証を通じた関係人口の創出を目指すというDAOの形です。
このパターンが数としては最も多く、ふるさと納税にも活用されています。
DAOとしての本格的な活用まではやらず、主にNFT販売までを活動としているものや、NFT販売によって発生した収益の使用使途をDAOで決定したりもするところがあります。
具体的な例としては、美しい村DAOがありますので、後述します。
人材マッチングパターン
3つ目は、地方の人材不足に対して、DAO(コミュニティ)を通じた最適配置を目的とするDAOです。
地域の人材不足を抱える自治体とそれを解決したいDAOメンバーをマッチングさせ、地方のリソース不足解決を図ります。
旅行時のデジタルコインパターン
こちらは以前から「地域コイン」として観光の現場で使われていたシステムの発展系です。
観光地で使えるオリジナルなトークンを発行し、そのトークンを使うとその連携店舗から法定通貨よりも低価格で商品を購入できたり、サービスを受けることができます。さらに、トークンの収益の一部はDAOメンバーの総意で観光地の修復などに再活用されるような経済圏が作られています。
詳しくは「ルーラコイン」を例に解説します。
日本における地方創生DAOの事例4選
先述した地方創生DAOのパターンごとに、具体的なプロジェクト事例を解説します。
以下のプロジェクトを扱います。
- 地方創生コミュニティのDAOパターン:おさかなだお長崎、塩尻DAO、山古志DAO
- NFTを用いた地域商品/サービスの販売型:美しい村DAO、NTTドコモNFT、番ぶら3.0 デジタルスタンプラリー、FurusatoDAO
- 人材マッチングパターン:地域おこし協力隊DAO
- 旅行時のデジタルコインパターン:ルーラコイン
おさかなだお長崎
「おさかなだお長崎」は、「長崎のうまいサカナの未来をつくる」をテーマに、共感する仲間がオンラインで集まり、長崎の地場事業者とともに働いています。
具体的には、長崎に生息する魚種を勉強する勉強会や料理教室などを開催し、長崎の魚の魅力をブランディングする活動をDAOを通じて行っています。
塩尻DAO
「塩尻DAO」は、塩尻に関わる人と地域の人が繋がり、共創するきっかけとなることを目的に作られたコミュニティです。
塩尻市から委託を受け、地域との関係人口創出事業として2024年5月に立ち上げられました。
塩尻DAOには会員証となるNFTを購入することで参加でき、NFTを購入することでチャットへの参加と特別なイベントへの参加権利、プロジェクトを立ち上げる権利が付与されます。
山古志DAO
山古志DAOは、中越地震やコロナ化により、山古志の強みである人との交流が薄れている現状に課題を感じた村民が、地域の過疎化や高齢化などの課題解決を目指すプロジェクト。新潟県山古志村が主体となり、活動しています。
具体的な内容としては、山古志発祥の錦鯉をシンボルにした「NishikigoiNFT」を発行しています。「NishikigoiNFT」は山古志地域の電子住民票でもあるため、大きな注目を集めました。
デジタル村民は一部の予算に対する執行権限をもっており、過去には、山古志住民へのNishikigoiNFT無償配布について投票をしたこともあります。
美しい村DAO
美しい村DAOは、複数の自治体が連携して地方創生を目指すプロジェクトです。鳥取県智頭町と静岡県松崎町が参画しています。
美しい村DAOでは、以下の4つのトークンが用意されています。
- デジタル村民証NFT
- 地域資源NFT
- ガバナンストークン
- ユーティリティトークン
デジタル村民証NFTを購入すれば、誰でも美しい村DAOのデジタル村民となれます。デジタル村民はコンテンツを企画し、企画された内容はガバナンストークンをもつ村民によって決議されます。
決議の結果をもとに、地域資源NFTが販売され、売上分はデジタル村民に分配されるため、メンバーはお金を得られる仕組みです。
また、松崎町長とデジタル村民が作ったAIアートをはじめ、実際に企画されたNFTが販売に至っています。
NFTホルダーが得られる特典は以下のとおりです。
- 2泊3日での松崎ツアーへの参加権
- 松崎町名産の栄久ポンカンの入手権
- 町内施設の割引利用など
なお、このような企画を打っている美しい村DAOの仕組みについては、以下の動画でも解説しています。
上川大雪 創生乃蔵 会員証NFT
上川大雪 創生乃蔵 会員証は、NTTドコモと上川大雪酒造の共同で立ち上げられたNFTプロジェクトです。
このプロジェクトは、NFTの活用を通して地域の日本酒文化を活性化することを目的としています。NFTを会員証として使用し、DAOメンバーは日本酒の品質やラベルのデザインを投票で決定することで、プロジェクトの意思決定に参画します。
また、現地に来れる方は米の収穫祭などの体験イベントに参加でき、現地に来るのが難しい方であってもドコモのメタバース「MetaMe」を通じて地域外の人々もこのプロジェクトに参加可能です。
消費者の意見反映による製品価値の向上とPR、NFT販売による収益UP、現地イベントでのマネタイズ、日本酒の販売促進による事業の増収が期待できます。
番ぶら3.0 デジタルスタンプラリー
番ぶら3.0 デジタルスタンプラリーは、仙台市と東北大学、スマートフロンティア協議会が連携して実施したデジタルスタンプラリーです。
仙台市内の商店街を舞台に、トークンを活用したデジタルスタンプラリーを実施。スタンプを集めることでトークンを取得でき、地元店舗で利用できます。また、友達の紹介などでもボーナストークンが得られる機能もあります。
これにより、商店街の活性化とトークン保有によるリポートのインセンティブ強化やデジタル技術による若者層への魅力づけが期待できます。
FurusatoDAO
FurusatoDAOは岩手県紫波町が主体となって取り組んでいます。ブロックチェーン技術を活用し、地方創生を目指すプロジェクトです。
具体的な内容は次のとおりです。
- 地域課題の解決を目的としたDAO設立
- Web3技術を用いた新たな地域通貨の発行
- ふるさと納税の返礼としたデジタルアートのNFT化
これらにより、地域の活性化や新たな価値創造が期待されています。
地域おこし協力隊DAO
地域おこし協力隊DAOは、「地域おこし協力隊」とDAOコミュニティが一緒になり地域を活性化するプロジェクトです。
地域おこし協力隊制度を活用し、特別交付税範囲の中で、様々な自治体に移住可能なDAOメンバーが「隊員」として着任します。
DAOメンバーはそれぞれ着任した地域の中で、自治体の発展や関係人口創出のために活動。具体的には、観光におけるオフシーズン誘客のための施策やワークショップの開催、関東からの誘客などのプロジェクト事例があります。
ルーラコイン
ルーラコインは、観光特化型のデジタル通貨です。チャージすることで全国の温泉地や観光地で利用でき、地域経済の活性化を目指しています。
特徴としては、一つの地域だけで使われるローカルコインではなく、全国で提携している温泉地で利用できるという強みがあります。
ルーラコインを利用する一般客には、現金・カードで決済するよりも割引があり、加盟店には利用金額の1%がその観光地に自動的に寄付される仕組みにより、施設の修復などに活用できる利点があります。これまで、足湯の修繕や樹齢数百年の木の保全などに活用されてきました。
地方創生DAOの立ち上げ方
次に、地方創生DAOの立ち上げ方を段階的に解説します。これでプロジェクトの進め方を具体的にイメージいただければと思います。
①目的とミッションを明確化する
まずは、目的とミッションを明確にしましょう。地域におけるどのような課題を解決するのか、また達成すべきゴールを設定します。
具体的には、空き家問題や少子高齢化、観光客の減少など、地域の課題からDAOの目的を考えます。例えば、「空き家の改修とDAOによる運用で観光資源を創出」「地域特産品のNFT販売・DAOによる運用で新たな収入源を確立」などです。
目的やミッションが明確であれば、ミッションに共感するメンバーが集まりやすくなります。また、メンバー投票時の指針になり、ブレることなくDAO運営を継続できるでしょう。
この時、先行事例のDAOがあるかを確認し、企画に生かすことも忘れないようにしてください。国内DAO事例を網羅的にまとめた、DAOポータルもあります。
②DAOの活動計画を具体的にしていく
次に、立ち上げから自走までの活動計画を明確にします。具体的には、企画段階で誰がどこまで達成するのか、構築PoCフェーズではどこまでをゴールとするのか、自走フェーズでの成功の定義は何かを明確にしましょう。
DAO立ち上げに関わったメンバーが何年も中として運営するのは、DAOの成功とは言い難いです。立ち上げの初期メンバーから、より貢献度の高いメンバーに権限移譲を段階的に進め、自律的にコミュニティが運用されるのがDAOのあるべき姿になります。
③DAOで使うトークンの役割を考える
DAOでは、現金ではなくトークンで報酬の分配やコミュニティ内の取引を行うため、トークンの設計が重要です。
投票・意思決定に関わるガバナンストークンと報酬やDAO内の取引に使用するリワードトークンの設計が必要です。
また、DAOへの参加は企業への入社とは異なります。ミッションへの賛同があれば自由に参加できますが、逆にインセンティブがないと活動が持続的ではありません。
社員のように、命令することはできず、気持ちでつながるのがDAOです。そのため、活動のモチベーションに関わるトークン設計は重要です。
ただし、トークン発行にあたり、DAOで発行するトークンが有価証券に該当しないかなど専門家のレビューが必要な場合もございますので、必要な場合はDAOの専門家が集まるガイアックスにご相談ください。
④構築に必要なツールを明確にする
DAOは出社ではなくオンラインでのコミュニケーションを前提としているので、チャットやトークンの管理や投票など、場面ごとに多くのツールが必要となります。
一般的には、以下のツールが有名です。
ツール名 | 用途 |
Discord | オンラインでのコミュニケーション |
Snapshot | 意思決定のための投票 |
Opensea | NFTの発行や購入 |
Metamask | 仮想通貨ウォレット |
なお、これらのシステムをひとまとめにしたDAOX(ダオエックス)というツールもあります。DAOXを使用すれば、複数のツールを使わなくても、一つのツールでスムーズなDAO構築とコミュニティ運営が可能になります。
参加者にやさしいDAO組成を検討されている方は、ぜひ導入を検討してみてください。
⑤ホワイトペーパーへの落とし込み
ここまでの段階まで進んだら、DAOの目的や活動計画、トークン設計や使用するツールをホワイトペーパーに落とし込みます。
DAOの設計書であるホワイトペーパーが具体的になっているほど、参加者も安心してコミュニティに参加できます。
⑥DAOの実装とメンバーの募集
最後に、ここまでで定めたツールを使用してDAOの実装を行い、活動のプラットフォームを完成させます。
その後は、メンバー募集をSNSなどで告知し、DAO参加の入口となるNFTやトークンを販売します。
ただし、DAOはNFTを販売したら終わりではありません。むしろ、コミュニティの運用が始まってからが本番で、半年・1年と時間経過後に失速していくコミュニティにならないことがDAOの重要ポイントといえるでしょう。
ここまでのDAOの企画や実装、コミュニティ運用のハードルを少しでも下げて、自治体でのDAOに向き合いたいご担当者様は、ガイアックスの無料相談をご活用ください。
自治体に向けて提案したい大手企業様からのご相談も多くお受けしています。
» DAOに関する60分無料相談はこちら
なお、DAOの作り方に関しては、下記記事でより詳細にまとめています。
» DAOの作り方と始め方について運営者向けにわかりやすく解説
地方創生DAO立ち上げにあたっての課題点
次に、地方創生DAO立ち上げにあたっての課題点となるポイントを3つ挙げます。
- NFTの販売はゴールではない
- 参加者によってのハードルが高すぎる
- ステークホルダーが多く、動きが悪くなる
これらは実際に地方自治体のDAO組成を支援したり、業界の流れを見てきて我々が感じているポイントです。一つずつ解説します。
NFTの販売はゴールではない
NFTの販売は、自治体の知名度アップ・PRと資金調達に貢献します。しかし、NFT発行後に、興味を持ってくれた参加者とのコミュニティ化、ならびに活動がないと、web3による地方創生プロジェクトも「打ち上げ花火」的な施策で終わってしまいます。
また、DAOの運営も視野に入れていたとしても、インセンティブが弱いという落とし穴にはまる場合があることに注意が必要です。
先述の通り、DAOは出入りが自由なコミュニティですので、インセンティブが弱いと、DAO参加者の貢献活動を引き出しづらいです。
単発的な施策にならないよう、むしろ立ち上げたコミュニティでどう持続的なマネタイズを行い、活動を継続していくかに集中することが本質です。
美しい村DAOでは、2024年11月現在、参加者410名以上、NFT購入者(デジタル村民)100名以上と、DAO発足1年以上が経過後も自治体の関係人口増加を実現しています。
NFTの特典として地域に訪れる企画も作れるので、「NFT販売後の濃い繋がり」を見据えた企画が地方創生の鍵となります。
参加者によってのハードルが高すぎる
2つ目の課題としては、参加者のツール利用のハードルがあります。
チャットツールだけでなく、普段企業や副業で仕事をするだけではなかなか使わない、投票のためのツールやトークン管理のツール、NFT管理のツールなど、とにかく初めて見るツールが多いのが難易度を高ています。
参加者がITに精通したユーザーだけであれば、これも問題ないのですが、一般の方々をターゲットとしたDAOの場合は、ツールも大きな障壁となるでしょう。
このようなソフト面での課題に対しては、DAOX(ダオエックス)のような、1ツールでNFTの発行・購入からウォレット作成、チャット、投票、意思決定までできるツールを使用するのがおすすめです。
ステークホルダーが多く、動きが悪くなる
地方創生系のDAOに見られる3つ目の課題としては、ステークホルダーが増えることによりプロジェクトが進みづらくなる問題です。
DAOは民主的で、保有するトークン数に応じた多数決によって意思決定するコミュニティです。
そのため、透明性が高い組織運営ができるのですが、ここに自治体が絡むと慎重な意思決定プロセスが加わり、一般的なDAOよりはハードルが高まる傾向にあります。
DAOに精通したメンバーを初期の構築関係者に入れてキックオフすることをおすすめします。
実際に、ここまで挙げた3つのハードルに直面しているDAOもあるので、地方創生DAOを作るときは注意しましょう。専門家アサインの手段として、ガイアックスのDAOコンサルをご活用いただくのもおすすめです。
地方創生DAOを立ち上げて地域の活性化を
今回は、地方創生DAOを立ち上げるメリットを具体的な事例を交えつつ解説しました。地方創生にDAOを導入すれば、関係者人口が増えるとともに、外部人材も調達でき、地域復興をかけた大きな原動力となること間違いなしです。
一方で、DAO運営にはさまざまなツールや専門的な知識が求められます。そして、「NFTを販売して終わり」ではなく、むしろ「NFTを発行してからが始まり」です。
いかにして、コミュニティを盛り上げて、持続的にDAO参加者の主体的な活動を引き出すか。または単発で終わらないマネタイズを実現するか。
このようなDAOの企画や構築、コミュニティ運用について、美しい村DAOや群馬県の支援実績をもつガイアックスは無料相談を行なっています。
自治体のご担当者様や、自治体に提案したい大手企業の地方創生担当の方にも日々ご相談をいただいていますので、ご興味のある方はぜひご相談ください。