Web3技術により、中央管理者がいない組織として注目を集めているのがDAOです。そんなDAOはプロジェクトを達成させるために、資金を調達するための手段としての側面もあります。一方で、クラウドファンディングは資金調達がメインの目的となりますが、両者の違いが何なのかわかりづらいと感じる方もいるかもしれません。
そこで当記事では、DAOとクラウドファンディングの資金調達のフローに触れながら、両者の違いを詳しく解説します。
DAOとクラウドファンディングの違いは、プロジェクトの支援者がプロジェクトそのものの運営に関われるか否かという点です。DAOとクラウドファンディングの違いがわかれば、もっとも適した資金調達方法を選べるため、プロジェクトの成功に近づけるでしょう。
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DAOとクラウドファンディングの違いとは
DAOとクラウドファンディングの違いは、支援者がプロジェクトに関われるかどうかです。
クラウドファンディングでは、プロジェクトの立案者が特定のプラットフォームにプロジェクトを打ち出し、支援者を募ります。支援者は、立案者が設定したリターンを受け取る形で支援ができるのです。
一方、DAOでは報酬として、プロジェクト支援者にトークンを付与するのが一般的です。
トークンには、「ガバナンストークン」と呼ばれるDAO運営の投票権になるものがあり、トークンの所有者はプロジェクトそのものに関われることになります。
ただし、地方創生を目的としたDAOでは、トークン以外にもNFTや特産品がリターンになっていることもあります。
トークンについての詳細は、「DAOのトークンとはどのようなものか?種類や役割・発行方法について」をご覧ください。
DAOの資金調達方法という側面
DAO運営ではプロジェクトの達成が目的となりますが、資金調達をする手段としての側面もあります。DAOではすべての取引がブロックチェーン上で行われており、スピード感をもって資金調達ができるのが特徴です。
DAOでガバナンストークンを発行し、それらをユーザーや投資家が買うことで資金が調達できます。魅力的なプロジェクトやDAOを運営できれば、ガバナンストークンの価値も高まり、より多くの資金が集まりやすくなるでしょう。
また、DAO内でNFTをつくり、その売却益を事業資金にする選択肢もあります。記事の後半で、ガイアックスが支援した美しい村DAOの事例をもとに解説します。
クラウドファンディングによる資金調達
クラウドファンディングは、インターネットで不特定多数の人に出資者になってもらい、資金を調達する仕組みのことです。
支援者は、企画者があらかじめ設定した金額を支援することによって、金額に応じたリターンを受け取れます。例えば、企画に関係するイベントへの参加権やコミュニティメンバーになれるチケット、お礼のメッセージなどが代表的です。
金額もプロジェクトごとに異なっており、1口1,000円のものから10,000万円以上するものまであります。
また、クラウドファンディングの一般的な流れは次のとおりです。
- 事業計画を作成する
- 掲載サイト(プラットフォーム)を選ぶ
- プロジェクトチームを結成する
- 掲載ページを作成する
- 継続的に情報発信する
- 掲載を終了する
- リターンを送付する
クラウドファンディングを使えば、従来のように銀行からの融資がなくても、資金を集められるでしょう。
DAOで資金を調達をするメリット・デメリット
DAOで資金を調達をする上でのメリットとデメリットを解説します。
DAOで資金調達するメリット
DAOの資金調達の最大のメリットは、支援すればDAOやプロジェクトの運用に関われることです。ガバナンストークンが付与されれば、支援者も意思決定のための投票に参加可能であり、場合によっては大きくプロジェクトに貢献できるでしょう。
また、DAOは組織であるため、ひとつのプロジェクトが終わってもDAOに所属していれば、企画のたびに支援が可能です。継続的にリピーターとなる支援者がいれば、プロジェクトも成功しやすくなります。
さらにDAOではブロックチェーン上で、すべてのやりとりが行われるため、スピード感をもった資金調達も可能な点もメリットに挙げられるでしょう。
DAOで資金調達するデメリット
反対にデメリットとしては、DAOという組織自体にはいまだ国内でなじみがなく、プロジェクトへの賛同者がまだまだ少ない点が挙げられます。
また、海外のDAOなどで、報酬となるトークンが取引所に上場しているときはトークンの価格変動により価値が下がる可能性もあります。ただし、日本国内のDAOであれば、ほとんどが未上場であり、トークンはDAOで決められた価格で扱われます。
さらに、資金調達のためにガバナンストークンを売却して売上になれば、日本では課税対象になることもデメリットです。税制面でも法整備が十分整っていないことは懸念点になるでしょう。
クラウドファンディングで資金を調達するメリット・デメリット
次に、資金調達を目的としたクラウドファンディングのメリットとデメリットを見ていきます。
クラウドファンディングで資金を調達するメリット
クラウドファンディングのメリットとしては、知名度があり、すでにさまざまなプラットフォームが存在していることが挙げられます。国内には25を超えるプラットフォームがあり、手数料や利用者数、成功率を比較して、企画者は最適なプラットフォームを選択できます。
また、クラウドファンディングではすでに資金調達の実績があることもメリットに挙げられるでしょう。
たとえば、ハグコーヒーは、プラットフォームである「CAMPFIRE」に事業再生のための企画をしたところ、掲載からわずか1日で目標支援額である300万円を達成しました。
クラウドファンディングを利用すれば、より多くの支援者が集められる可能性が高まるでしょう。
クラウドファンディングで資金を調達するデメリット
反対に、クラウドファンディングでは、資金調達に時間がかかる点がデメリットになります。プロジェクトの内容にもよるものの、掲載申し込みから入金まで3〜5ヶ月かかることも少なくありません。
また、クラウドファンディングは組織ではなく、あくまでプラットフォームであるため、前回支援してくれた人が再度支援してくれるとは限らないでしょう。
このように、クラウドファンディングでは、継続的に支援してもらえるか限らない点がデメリットといえます。
実際のDAOではどのように資金調達し、プロジェクトを進めているのか
最後に、ガイアックスが支援している”美しい村DAO”について、資金調達の目線から解説します。
美しい村DAOは、地方創生を目的に鳥取県智頭町と静岡県松崎町が主体となり立ち上げたDAOです。取り組みに興味をもった人が「デジタル村民証」であるNFTを購入でき、同時にDAO運営の投票権となるガバナンストークンも得られます。
デジタル村民になると、コンテンツの企画が可能となり、その内容が投票で可決されれば、新たなNFTとして販売できるのです。
そのため、賛同者はNFTを購入することでより魅力的なNFTを企画する立場になり、購入者が増えて収益が増せば、おのずとDAO運営に必要な資金も集まります。また、売上はガバナンストークンをもつステークホルダーに還元される仕組みとなっています。
このように、地方創生を応援したい人がNFTを購入することでコミュニティメンバーの一員となり、運営や企画に関わってもらいつつ資金調達ができる点は、DAOならではの利点を活かした座組みであるといえるでしょう。
DAOを活用してプロジェクトの成功を
この記事では、DAOとクラウドファンディングの違いをメリットやデメリット、仕組みに触れながら解説しました。
クラウドファンディングは資金調達を目的にしているのに対して、DAOはプロジェクトを達成するための組織であり、過程の一部に資金調達の方法としての側面が含まれています。DAOを活用することで、企画や運営に関わるコミュニティメンバーを増やせるため、これから事業やプロジェクトを拡大していく上で、期待ができるでしょう。
両者の違いを正しく理解し、より目的に合った方法で資金調達を行えば、プロジェクトの成功に大きく近づきます。
ガイアックスでは、「美しい村」DAO以外にも、評価の基準が明らかでなかった採用というシーンにおいてDAOを導入し、自分や他者の評価されたポイントが可視化される「三井住友海上のDAO型採用」など、さまざまなDAOの立ち上げを支援しています。「DAO組成に興味はあっても手法がわからない」とお悩みの担当者様は、下記からDAOコンサルにご相談ください。