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DAOとクラウドファンディングの違いをデメリットにも触れながら解説

最終更新: 2024年4月30日

Web3技術により、中央管理者がいない組織として注目を集めているのがDAOです。そんなDAOはプロジェクトを達成させるために、資金を調達するための手段としての側面もあります。一方で、クラウドファンディングは資金調達がメインの目的となりますが、両者の違いが何なのかわかりづらいと感じる方もいるかもしれません。

そこで当記事では、DAOとクラウドファンディングの資金調達のフローに触れながら、両者の違いを詳しく解説します。

DAOとクラウドファンディングの違いは、プロジェクトの支援者がプロジェクトそのものの運営に関われるか否かという点です。DAOとクラウドファンディングの違いがわかれば、もっとも適した資金調達方法を選べるため、プロジェクトの成功に近づけるでしょう。

なお、大手企業や自治体のDAO組成支援をもとに開発した、DAOの立ち上げから自走までを1ツールで実現できるDAOXのトライアル版を無料公開しています。DAOを最短工数で確実に立ち上げたいご担当者様はぜひご活用ください。

DAOX 資料DL

DAOとクラウドファンディングの違いとは

DAOとクラウドファンディングの違いとは

DAOとクラウドファンディングの最大の違いは、支援者がプロジェクトにどの程度深く関わることができるか、すなわち「ユーザー(利用者)・オーナー(所有者)・ワーカー(労働者)」といった複数の役割を兼ねることができるかどうかにあります。

クラウドファンディングでは、プロジェクトの立案者(オーナー)が特定のプラットフォームに企画を掲載し、支援者(ユーザー)を募ります。支援者は、立案者が設定したリターンを受け取る形でプロジェクトをサポートしますが、あくまで「資金提供者」としての立場に留まりがちです。多くの場合、プロジェクト運営や意思決定には直接関わらず、ユーザー(支援者)とオーナー(立案者)の関係性が明確に分かれています。

一方、DAOではプロジェクト支援者にトークンを付与することが一般的です。中でも「ガバナンストークン」は、DAO運営の投票権を持つため、保有者はプロジェクトの方向性を決める意思決定プロセスに参加できます。さらに、トークンを保有しながらタスクを担うことで、現金やリワードトークンで報酬を得る「ワーカー」の役割も兼ねられる点が特徴です。

ただし、地方創生を目的としたDAOでは、トークン以外にもNFTや特産品がリターンになっていることもあります。

トークンについての詳細は、「DAOのトークンとはどのようなものか?種類や役割・発行方法について」をご覧ください。

DAOの資金調達方法という側面

DAOの資金調達方法という側面

DAOの運営はプロジェクトの達成を目的とする一方で、「資金調達」の手段としての側面も有しています。オンチェーンのDAOではすべての取引がブロックチェーン上で行われており、その特質上、銀行などの中央集権的な管理者を介さない「DeFi(分散型金融)」と呼ばれる仕組みを活用して、スピーディーに資金を調達することが可能です。

DAOでガバナンストークンを発行し、それらをユーザーや投資家が買うことで資金が調達できます。魅力的なプロジェクトやDAOを運営できれば、ガバナンストークンの価値も高まり、より多くの資金が集まりやすくなるでしょう。

また、DAOの一般的な流れは次のとおりです。

DAO立ち上げの一般的な流れ

準備フェーズ

  1. ビジネスモデルの策定:目的やステークホルダー、事業内容を整理し、DAOの全体像を描きます
  2. 相利評価表の作成:参加者同士の「Win-Win」を可視化し、役割やインセンティブを明確にします
  3. プロジェクトのフローチャート・ロードマップの作成:事業の進め方やマイルストーンを設定し、達成目標を共有します
  4. タスク一覧・運営規程・トークン規程の整備:作業内容と報酬設計、ガバナンスや投票方法などを文書化し、透明性を確保します
  5. 定款やプライバシーポリシーの作成:合同会社型など法人形態をとる場合は、登記に必要な書類も準備します

立ち上げフェーズ

  1. 印鑑届書・登記申請書の作成
  2. 法人登記
  3. 合同会社などの法人格を取得し、DAOを正式にスタートさせます。

資金調達フェーズ

  1. 社員権トークン(NFT)の発行
  2. NFTメタデータの記録・社員名簿の更新
  3. 出資者情報をブロックチェーン上に記録し、ガバナンスに反映させます。

運営フェーズ

  1. タスクを実行し、マイルストーン達成を目指す
  2. 総会や投票を随時実施し、規程をアップデート
  3. 必要に応じて増資(追加トークンの発行やNFT販売)

また、DAO内でNFTをつくり、その売却益を事業資金にする選択肢もあります。記事の後半で、ガイアックスが支援した美しい村DAOの事例をもとに解説します。

クラウドファンディングによる資金調達

クラウドファンディングは、インターネットで不特定多数の人に出資者になってもらい、資金を調達する仕組みのことです。

支援者は、企画者があらかじめ設定した金額を支援することによって、金額に応じたリターンを受け取れます。例えば、企画に関係するイベントへの参加権やコミュニティメンバーになれるチケット、お礼のメッセージなどが代表的です。

金額もプロジェクトごとに異なっており、1口1,000円のものから10,000万円以上するものまであります。

また、クラウドファンディングの一般的な流れは次のとおりです。

  1. 事業計画を作成する
  2. 掲載サイト(プラットフォーム)を選ぶ
  3. プロジェクトチームを結成する
  4. 掲載ページを作成する
  5. 継続的に情報発信する
  6. 掲載を終了する
  7. リターンを送付する

クラウドファンディングを使えば、従来のように銀行からの融資がなくても、資金を集められるでしょう。

社内DAO

DAOで資金を調達をするメリット・デメリット

DAOで資金を調達をする上でのメリットとデメリットを解説します。

DAOで資金を調達をするメリット・デメリット

DAOで資金調達するメリット

DAOの資金調達の最大のメリットは、支援すればDAOやプロジェクトの運用に関われることです。ガバナンストークンが付与されれば、支援者も意思決定のための投票に参加可能であり、場合によっては大きくプロジェクトに貢献できるでしょう。

また、DAOは組織であるため、ひとつのプロジェクトが終わってもDAOに所属していれば、企画のたびに支援が可能です。継続的にリピーターとなる支援者がいれば、プロジェクトも成功しやすくなります。

さらにDAOではブロックチェーン上で、すべてのやりとりが行われるため、スピード感をもった資金調達も可能な点もメリットに挙げられるでしょう。

DAOの最大の特徴は、ユーザー・オーナー・ワーカーの三つの役割を一人が兼ねられる点にあります。たとえば、支援者がガバナンストークンを保有しながら実際にプロジェクトに携わることで、ヒト(人材)・モノ(アイデアや商品)・カネ(資金)が同時に集まりやすい環境が生まれます。これにより、単なる資金提供にとどまらず、メンバー自身が運営や企画に積極的に参加し、プロジェクトの価値向上に直接貢献できます。

さらに、共感してくれる方に長期的にお返しができる仕組みをつくりやすいのもDAOの強みです。トークンやNFTを活用して、プロジェクトの成長に応じた金銭的リターンや特典を付与することで、早期から参加しているメンバーを継続的に支援しやすくなります。結果として、コミュニティ内の結束力やロイヤリティが高まり、プロジェクトの運営や新たな企画を安定的に拡大していく好循環が生まれるでしょう。

DAOで資金調達するデメリット

反対にデメリットとしては、DAOという組織自体にはいまだ国内でなじみがなく、プロジェクトへの賛同者がまだまだ少ない点が挙げられます。

また、海外のDAOなどで、報酬となるトークンが取引所に上場しているときはトークンの価格変動により価値が下がる可能性もあります。ただし、日本国内のDAOであれば、ほとんどが未上場であり、トークンはDAOで決められた価格で扱われます。

さらに、資金調達のためにガバナンストークンを売却して売上になれば、日本では課税対象になることもデメリットです。税制面でも法整備が十分整っていないことは懸念点になるでしょう。

反対にデメリットとしては、DAOという組織自体にはいまだ国内でなじみがなく、プロジェクトへの賛同者がまだまだ少ない点が挙げられます。また、海外のDAOなどで報酬となるトークンが取引所に上場している場合、価格変動のリスクがあるほか、法規制や税制面での不透明さが依然として残るのも課題です。

さらに、日本国内のDAOであればほとんどが未上場トークンであり、トークンの使い道が限定される場合や、活用方法に一定のリテラシーが求められる点もデメリットとして考えられます。加えて、資金調達のためにガバナンストークンを売却して売上となる場合、日本では課税対象になる可能性があることも留意すべき点でしょう。法整備や税制面のルールが十分に整っていないため、DAO運営者や参加者は常に最新の動向を把握しておく必要があります。

クラウドファンディングで資金を調達するメリット・デメリット

次に、資金調達を目的としたクラウドファンディングのメリットとデメリットを見ていきます。

DAOで資金を調達をするメリット・デメリット

クラウドファンディングで資金を調達するメリット

クラウドファンディングのメリットとしては、知名度があり、すでにさまざまなプラットフォームが存在していることが挙げられます。国内には25を超えるプラットフォームがあり、手数料や利用者数、成功率を比較して、企画者は最適なプラットフォームを選択できます。

また、クラウドファンディングではすでに資金調達の実績があることもメリットに挙げられるでしょう。

たとえば、ハグコーヒーは、プラットフォームである「CAMPFIRE」に事業再生のための企画をしたところ、掲載からわずか1日で目標支援額である300万円を達成しました。

クラウドファンディングを利用すれば、より多くの支援者が集められる可能性が高まるでしょう。

クラウドファンディングで資金を調達するデメリット

反対に、クラウドファンディングでは、資金調達に時間がかかる点がデメリットになります。プロジェクトの内容にもよるものの、掲載申し込みから入金まで3〜5ヶ月かかることも少なくありません。

また、クラウドファンディングは組織ではなく、あくまでプラットフォームであるため、前回支援してくれた人が再度支援してくれるとは限らないでしょう。

このように、クラウドファンディングでは、継続的に支援してもらえるか限らない点がデメリットといえます。

実際のDAOではどのように資金調達し、プロジェクトを進めているのか

最後に、ガイアックスが支援している”美しい村DAO”について、資金調達の目線から解説します。

美しい村DAOは、地方創生を目的に鳥取県智頭町と静岡県松崎町が主体となり立ち上げたDAOです。取り組みに興味をもった人が「デジタル村民証」であるNFTを購入でき、同時にDAO運営の投票権となるガバナンストークンも得られます。

デジタル村民になると、コンテンツの企画が可能となり、その内容が投票で可決されれば、新たなNFTとして販売できるのです。

そのため、賛同者はNFTを購入することでより魅力的なNFTを企画する立場になり、購入者が増えて収益が増せば、おのずとDAO運営に必要な資金も集まります。また、売上はガバナンストークンをもつステークホルダーに還元される仕組みとなっています。

このように、地方創生を応援したい人がNFTを購入することでコミュニティメンバーの一員となり、運営や企画に関わってもらいつつ資金調達ができる点は、DAOならではの利点を活かした座組みであるといえるでしょう。

DAOを活用してプロジェクトの成功を

この記事では、DAOとクラウドファンディングの違いをメリットやデメリット、仕組みに触れながら解説しました。

クラウドファンディングは資金調達を目的にしているのに対して、DAOはプロジェクトを達成するための組織であり、過程の一部に資金調達の方法としての側面が含まれています。DAOを活用することで、企画や運営に関わるコミュニティメンバーを増やせるため、これから事業やプロジェクトを拡大していく上で、期待ができるでしょう。

両者の違いを正しく理解し、より目的に合った方法で資金調達を行えば、プロジェクトの成功に大きく近づきます。

ガイアックスでは、「美しい村」DAO以外にも、評価の基準が明らかでなかった採用というシーンにおいてDAOを導入し、自分や他者の評価されたポイントが可視化される「三井住友海上のDAO型採用」など、さまざまなDAOの立ち上げを支援しています。「DAO組成に興味はあっても手法がわからない」とお悩みの担当者様は、下記からDAOコンサルにご相談ください。

また、群馬県の地方創生を目指した「ぐんま山育DAO」など、さまざまなDAO立ち上げの支援実績があります。たとえば「ぐんま山育DAO」では、ワイン醸造や地域の資源を活用した新たな事業をコミュニティ主導で進め、株式譲渡やNFTの販売、トークン発行を通じて資金調達とプロジェクト運営を同時に行う仕組みを構築しています。

こうしたDAO型の資金調達により、地域や事業に共感するメンバーが投票権を持ちながら運営に関わり、プロジェクトを成長させることが可能です。もし、「DAO組成に興味はあっても具体的な手法がわからない」「資金調達の新しい選択肢を探している」とお悩みのご担当者様は、下記からお気軽にご相談ください。ガイアックスのDAOコンサルタントがお手伝いします。

DAOの立ち上げを検討している場合は

2024年現在、国内200個を超えてあらゆる領域で導入が進んでいるDAO。立ち上げのコツは初期の構想と参加者のハードルを下げる仕組みにあります。ガイアックスでは、大手企業・自治体をはじめとする豊富つ先進的な支援実績をもとにDAO組成支援を行っています。

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上井登志之
DAO事業部にて、企業や自治体におけるDAO立ち上げのコンサル・PMを担当。これまで日本郵船社の社内DAOプロジェクトや三井住友海上火災保険社の「採用DAO」構築に取り組む。採用DAOによる採用活動の透明性や公平性担保はTVなど多数のメディアで紹介された実績あり。参加就活生は「匿名・学歴等不問」「評価の公開」に高い満足を得た。
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