web3が発展していく中で、よく耳にするDAO(分散型自律組織)。「新しい組織の形」として注目され、株式会社に代替、あるいは共存する形で広がりを見せています。
一方で、これから新しいプロジェクトを始めるとして、DAOと会社のどちらで物事を進めていくかの違いについて気になる方も多いのではないでしょうか。そのため本記事では、DAOと株式会社の違いに焦点を当てて解説していきます。
なお、ガイアックスではこれからDAOを立ち上げたいと考えている組織運営者向けに、DAOの立ち上げ・運営に関するコンサルティングをご提供しています。日本で初めてのDAO型シェアハウスの運営、複数自治体の連合DAO、入社式DAOをはじめとする多くの実績がございます。興味をお持ちいただいた方は、DAOコンサルについてをご確認ください。
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DAOのビジネスモデルについて簡単に解説
まず、そもそもの「DAO」は会社の社長や経営陣といった中央の管理者が存在せず、すべての意思決定がメンバー間による投票で行われる組織を指しています。
※より詳細な定義や概念については、こちらのページにてまとめています。
立ち上げられたDAOのミッションに賛同したメンバーがプロジェクトに参加し、インセンティブが働く仕組みの中で自律的にプロジェクトを盛り上げていくのが理想的なDAOです。この仕組みはスマートコントラクトや、組織内でのルール決めで成り立ち、プロジェクトが盛り上がるとDAOとして収益も立ち、メンバーのポテンシャルを引き出せる組織形態として機能していきます。
すると、関連するステークホルダーにも利益が還元されるようになり、更なる投資やプロジェクトの拡大が進んでいきます。このような、DAOやそのメンバー、投資家が各々のインセンティブを獲得する好循環が生まれていくのがDAOのビジネスモデルです。
なお、DAOのビジネスモデルについてより深く解説した記事があり、詳しい内容は「DAOのビジネスモデルが創り出す新たなイノベーションについて解説」をご覧ください。
DAOと株式会社の違いを4つ紹介
それでは、DAOと株式会社の違いについて以下に4つ紹介していきます。
中央管理者が存在しない
一般的な株式会社では、株主や社長などの中央で組織を引っ張る存在があり、経営方針などの会社の運営に関する決定はこれらの管理者によりなされます。
一方で、DAOには株主や社長、経営陣などといった「中央管理者」が存在しません。その代わり、意思決定を行うための投票システムがあり、メンバー間による投票でプロジェクトの方向性が決定されます。後述しますが、この仕組みにより意思決定は民主的です。
とはいえ、立ち上げられるDAOのすべてに中央管理者が存在しないわけではなく、特に立ち上げ初期のDAOにおいて、リーダー的なポジションが存在する場合もあります。このようなDAOの種類に関しては、[DAOの種類]という記事で深堀しています。
意思決定が民主的
DAOは中央管理者が存在せず、メンバー間の投票によってプロジェクトの方向性が決まるため、民主的に物事が決定されます。DAO内で投票を行うための専用ツールがあり、各メンバーの意見が均等に反映される仕組みです。
このような枠組みは、個人単位でのアイデアや意見を受け入れられやすいため、トップダウンで管理・運営される組織よりもメンバーの主体性を引き出しやすいです。そのため、DAOは従来にはなかった革新的なプロジェクトを生み出す可能性を秘めています。
資金調達はトークンで行うことができる
DAOではセキュリティトークンと呼ばれる証券のように機能するトークンがあり、それにより資金調達をすることができます。株式会社でいう株のようなものですが、株式のように一定の信頼や期間を置かなくてもDAO開始と共に資金調達をすることができます。
とはいえ、現状の日本の税制面ではセキュリティトークンによる資金調達は多くの課税を伴い、費用対効果が悪くなる場合が多いです。
そのため、法人の中でNFTを販売し、NFTをDAOコミュニティ参加の入口とする方法もあります。その際は、NFT販売利益に対する所得税や法人税が課されますが、セキュリティトークンによる資金調達よりもコスパが良く、国内のDAOではこちらの方法を利用したDAO組成が見受けられます。
誰でも参加できる
一般的な会社では、エントリーシートや面接などといった入社のための試験が存在し、選考された上で雇用契約を交わして入社します。また、もし会社を辞めるとしても一定の手続きが必要であり、組織への出入りが難しいです。
一方DAOでは、参加するために面接などの試験は必要なく、NFT購入などのハードルはあるでしょうが、基本的には国や人種関係なく誰でも参加できます。また、プロジェクトに参加するのも任意ですし、いつ脱退しようとも自由です。このようにDAOは参加・脱退のハードルが低く、フレキシブルな組織構造を持っています。
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DAOの作り方をステップごとに解説
ここまでDAOと会社の違いを見てきて、実際にDAOを立ち上げるには、どのようなステップを踏めば良いか気になる方もいるのではないでしょうか。ここでは、DAOの作り方をステップごとに解説していきます。
コミュニティを形成する
DAOの立ち上げ段階においては、いきなり分散的かつ自律的な組織の形成は難しく、最初はトップダウン形式での管理・運営されたコミュニティを形成していくのが一般的となっています。
そのコミュニティ形成のためには、まずDAOを運営していくためのミッションが必要になってきます。参加者が共感する価値観やビジョンを示し、メンバー全員が一つになってプロジェクトに向かうミッションが自律的な組織形成のために必要です。
また、そのようなコミュニティですが、立ち上げられる多くのDAOが「Discord」と呼ばれるチャットアプリを用いて形成されます。Discordでは、既存のDAOメンバーしか参加できないクローズドなチャンネルを構築することができ、そこでチャットや音声、ビデオ通話などを通してコミュニケーションを図ることが可能です。
その後の段階で、徐々に運営者からメンバーへと権限委譲して、自律的にボトムアップ形式で運営される組織を目指していきます。
ブロックチェーン上でのシステムを実装する
DAO設立者によるコミュニティが形成され、安定的にプロジェクトが運営されるようになって初めて、スマートコントラクトによるDAO機能や報酬支払いなどを実装するフェーズへと移行していくとコストパフォーマンスが良いです。
設立初期にこれらの機能を導入しても、工数が大きい&プロジェクト自体がうまく立ち上がらない可能性があるため、リスクが高いです。そのため、コミュニティ形成から段階を踏んでのメンバー権限委譲などの過程を経て、事業の検証段階を経た上でブロックチェーン上でのシステムを実装し、真に自律した組織の形成を目指していきましょう。
なお、「DAOの作り方について組織運営者向けにわかりやすく解説」の記事にて、コミュニティ形成からブロックチェーン上のシステム実装によるDAO形成について解説しています。DAOの作り方に興味がある方は、本記事とあわせて参考にしていただければと思います。
DAOの課題やリスク
最後に、DAOの課題やリスクを紹介していきます。
意思決定に時間がかかりやすい
DAOで組織を運営するメリットは「メンバーの主体性を引き出す」ことですが、メンバーによる投票によりプロジェクトの方向性が決定されていくため、意思決定のスピードは遅くなりやすいです。これは、リーダーが存在する株式会社にはない課題です。
そのため、迅速に対応しなければならない事態が発生した際でも投票による意思決定を行うため、適切な対応が遅れるリスクがあります。DAOの立ち上げ段階において、トップダウンで管理・運営してプロジェクトを進めていくのは、このリスクを回避するためでもあります。
法整備が整っていない
株式会社には法人という法的位置付けが存在しますが、現状の日本においてDAOの法的位置付けは明確に定まっていません。そもそもDAO自体が新しい概念であり、運営形態が株式会社とは大きく異なるため、現行の法律体系では対応が難しいという側面があるためです。また、暗号資産の取引に関する規制や税制面もまだまだ未発達です。
このような課題があるため、DAOの運営や参加にあたっては十分な法的知識や税務知識、更には専門家の意見を求めることが重要になってきます。将来的に法律・税制面の整備は整っていく見込みですが、その動向に注視していく必要があります。
DAOは株式会社に代替、あるいは共存していく組織である
本記事では、DAOのビジネスモデルを紹介した上で、DAOと株式会社の違いに焦点を当てて解説していきました。また、DAOの作り方についても簡単に解説し、最後にはDAOの課題やリスクについても触れました。
DAOは今後、株式会社とは違う形で発展を遂げ、従来にはない新たなイノベーションを生み出すとして期待されています。そのため、DAOは会社に代替、あるいは共存していく組織として注目を集めています。
とはいえ、今後の法整備の結果次第なところでもあり、まだまだ未発達な部分は否めません。今後の法整備を含む、DAOの動きに注目です。
なお、この記事を公開しているガイアックスでは、DAOの立ち上げを支援しています。日本で初めてのDAO型シェアハウスの運営や複数自治体が連合したDAOをはじめとする実績があり、大手企業や自治体と現在プロジェクトを推進しています。DAOの組成に関して興味をお持ちいただいた方は、下記からお問い合わせいただけますと幸いです。