DAOはトップダウンではなく民主的な組織であり、コミュニティが組織運営成功の鍵となります。DAOのコミュニティはDiscordなどによって行われますが、設計やコミュニティの情勢は難しいです。この記事ではそのようなDAOコミュニティ運営のコツについて扱います。
なお、この記事を書いているガイアックスは、これからDAOを立ち上げたいと考える組織運営者向けに、コンサルティングを提供しています。日本初のDAO型シェアハウスなど数多くの実績があります。社内でDAO導入を考えていたご担当者様は、DAOコンサルについてをご確認ください。
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DAOにおけるコミュニティの重要性
DAOとは日本語で「分散型自律組織」と呼ばれ、ブロックチェーンにより参加者による公平な意思決定を実現した新しい組織形態として注目を集めています。(定義について、詳しくは「DAOとは」で解説しています。)
これまでの組織形態では、経営者のようなリーダーがいて、トップダウンな意識決定により組織が運営されていました。これに対して、DAOでは「ガバナンストークン」をもつ参加者の皆の投票によって、DAOの方向性が決まっていきます。
そのため、DAO参加者こそがDAOの運営者であり、意思決定に携わる参加者が集まるコミュニティは、株式会社における「経営会議メンバー」と同じくらい重要な存在になってきます。
会社では社長だけが”意思決定者”で、従業員全員が作業の”実行者”でも成立しますが、DAOではそうはいかないのです。これがDAOにおけるコミュニティの重要性になります。
DAOコミュニティ運営で一般的なツールはDiscord
現在、DAO型の形態をとって運営されているコミュニティの多くが、チャットアプリ「Discord」を用いて、ユーザーとのコミュニケーションを行っております。
Discordはゲーマー用のチャットツールなどとして聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
Discordとは、プラットフォームを問わずに、チャットや音声・ビデオ通話でのコミュニケーションを取ることができるアメリカ発祥のチャットアプリです。拡張性の高さや、オープンに参加者を募集できる利点から月間利用者数も拡大しています。
一方で、コミュニティの更なる拡大を図るためには、Discordの機能や拡張性を理解した上で、ユーザーの体験を最適化するよう実装する必要があります。この点を理解せずにコミュニティの立ち上げを開始してしまうと、コミュニティの熱量の低下を招くだけではなく、セキュリティトラブルなどの重大な問題に繋がるリスクもあります。
そのため、記事の後半では、DAOにおけるDiscord活用の具体的なノウハウも扱っていきます。
DAO運営においてDiscordを活用することでできること
大きく分けると、以下の4つがあります。
- コアメンバーの考えを知る
- メンバーとコミュニケーションをとる
- DAOの方向性を決める
- DAO内でプロジェクトを進める
一つずつ見ていきましょう。
コアメンバーの考えを知る
DAOは民主的に運営される組織形態であるとはいえ、DEX(ブロックチェーン上の取引所)やDApps(ブロックチェーン上のアプリ)でない限り、なかなかすべての運営を自動化し、ブロックチェーン上に乗せるのは難しいです。
DAOの立ち上げにあたっては構想者がいて、目指している世界観もあるはずなので、最初は構想者や初期メンバーから参加メンバーへ発信していく場所が必要になります。
TwitterのようなオープンなSNSも新規メンバーの加入に必要であるが、既存メンバーに向けた情報発信にはクローズドな場所であるDiscordが最適です。
メンバーとコミュニケーションをとる
初期メンバーと後から参加したメンバーだけでなく、大きな人数を占める後者のメンバー同士がコミュニケーションをとれることも重要です。
コミュニケーションを通して、多角的な視点やアイデアを共有することができ、よりよい意思決定につながります。
DAOの方向性を決める
DAOでは、コミュニティ内の意思決定は投票によって行われます。そのため、投票する項目の決定や投票のマネジメントのため、Discordが活用されます。
DAO内でプロジェクトを進める
やると決まったDAO内のプロジェクト推進もDiscord内で行われます。
Discordは半オープン、半クローズドな場所であるため、顔や実名を出すことなく、プロジェクトに参画でき、自身のアウトプットに基づいて参加者たちで決定した報酬を得ることができます。
DAOコミュニティに必要なDiscordの立ち上げ方法
DAOにおけるDiscordの重要性がわかったところで、次にDiscordの立ち上げ方法を抑えていきましょう。
Discordアカウントの作成
Discordアカウントを作成します。まだアカウントを持っていない場合は、Discord公式サイトで新規アカウントを作ります。
サーバーの立ち上げ
Discordアプリを起動し、「サーバー追加」ボタンをクリックして新しいオリジナルのサーバーを作成します。そのままサーバーの設定として、サーバー名とサーバーアイコン、説明文などを設定します。
ここまでできたら、「通知設定」を変更します。Discordは今後コミュニティ拡大に伴い、数百人参加するようになる可能性もあります。参加者全員に全ての通知が送られるとうるさいです。「サーバー抜けようかな」と考えてしまう参加者が増えないため、「メンションのみ」に設定変更するのがおすすめです。
同様に、サーバーに新規参加者がいた際に送られる通知もオフにしておくことを推奨します。
続いて、「安全設定」を変更します。海外のNFTコミュニティなどに参加するとわかるのですが、Discordで参加者同士がDMできる状態は非常に危険です。偽物のLPを使い、運営になりすましたスパマーが参加者のウォレット情報を抜き出すこともよくあるので、気休め程度ではあるのですが、「無制限」から「中」または「高」に変更すべきです。
最後に、「二段階認証」を設定します。こちらは管理者のアカウントが乗っ取られないために設定します。
なお、ここまでの手順は動画でも確認できます。
上記のYouTubeでは、Discord立ち上げのコンサルを提供しているガイアックスオリジナルのサーバーテンプレートもプレゼントしています。
チャンネル設計
続いて、サーバー内で必要なチャンネルを作成します。このとき、トピックに関連するチャンネルを作成することが重要です。
チャンネルとは、Discord内で会話をするためのスペースのことです。目的別にチャンネルを分けて部屋を用意します。
テキストチャンネルとボイスチャンネルの2種類があるので、テキストベースでやり取りをしたいか、音声で同期的にディスカッションをしたいかに応じて設定しましょう。
さらには、「プライベートチャンネル」も設定可能です。ここでは、指定のリアクションをした方のみロールが付与され、参加できるようにするなどが可能です。
どのようなチャンネルがDAOに必要かですが、プロジェクト推進のためのチャンネル(提案・ディスカッション・投票・報酬決定)やお知らせチャンネル(NFTやキャンペーンの告知)、お問い合わせ・入会受付チャンネル、雑談チャンネルなどになります。
雑談チャンネルは、仕事部屋とミーティングルームに分け、実際のオフィスのように気軽に会話できる環境をつくることもできます。
チャンネル設計に関しても、ここまでの内容を確認できる動画があります。
ロール設定
ロール設定とは、DAOにおけるコミュニティの役割です。一人につき複数、サーバー内で必要な役割を割り当てできます。このとき、役割によってメンバーの権限を制限することが可能です。
ロール設計はDiscord運営の心臓であり、ロールを適切に設計することにより、参加者をコントロールできるようになります。
ロールは「サーバー管理>ロール>ロールを作成>編集」の手順で作成することができます。
管理権限系で重要な部分を以下に掲載します。
- 管理者:ほぼすべての権限を持つ。サーバーの解除はできない
- サーバー管理者:サーバーの名前などを管理できる
- ロールの管理:新しいロールの作成や、自分よりも下位のロールの編集が可能
- 招待を作成:サーバーへの招待URLを作成できる
- @everoneにメンション:チャンネル参加者全員へのメンションが可能
- メンバーをキック:メンバーをサーバーから退出させることができる
- チャンネルの管理:チャンネルを新規で作成したり、編集が可能
このような選択肢があります。
とりあえず…という場合には、下記の3つで設定しておきましょう。
- moderator:招待URLの発行やチャンネル管理などが可能
- verified:チャンネルは見れるが、招待URLの発行や全員に向けてのメンションはできない
- @everyone:何も権限がない
ここまでの内容、そしてより細かい設定に関して動画で扱っているので、合わせてご確認ください。
※上記動画はYouTubeでしか見れない可能性があります。
ルールの作成
サーバー内でのルールを定めます。このとき、適切な行動や禁止される行動などを明確にすることが重要です。
Discordにおけるweb3コミュニティの多くでは、最初に入室したチャネルでルールを確認し、同意した方だけが個別のチャンネルに進めるというロール設定になっていることも多いです。
Discordをマスターして、活発なDAOコミュニティを立ち上げよう
ここまでで、DAOにおけるコミュニティ、そしてDiscordの重要性とDiscordの初期設定方法について解説してきました。アカウントの作成からサーバーの設定、チャンネルの作成、ロールについて一通り触れてきたので、Discordサーバー開設のイメージがついたと思うので、メンバーが自律的に活動するDAO組成にぜひご活用ください。
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