Gaiaxは、フリー・フラット・オープンの精神を大切にしています。
そして、そこには様々なライフスタイルを持ち、さまざまなことをしている人々がいます。石川潤さんは、adishや複数にわたる現在上場している企業の海外事業・会社の立ち上げに関わってこられた方です。
「お金を稼ぐために生きる」ということに疑問を持ち、「幸せに生きること」を追求するため、現在島根県の隠岐諸島である海士町にお子さんとパートナーのさやかさんとお住まいです。
ガイアックスの事業に関わり合いながら、潤さんが求める幸せのあり方を日記のようにブログ公開している「幸せのあり方シリーズ」、ご覧ください!
※本シリーズの前回のブログはこちらからご覧いただけます
2019年10月から島根県の離島・海士町で本格的に住み始め、早いもので7か月が経ち、新年度が始まりました。今回のブログは盛りだくさんです。
生活モデルを試行錯誤・探求し、同時に海士や東京、アフリカ、ヨーロッパ、海士町で色々な体験をしていく中で、再定義された「他人と自然と自分にやさしい生活」についてと、2021年3月末時点でのゴールと、それを実現するための進め方の方針を考えましたので、それらをいつものようにインタビュー形式でご紹介したいと思います。まずは僕がけんちゃんに話す前に作ったメモから共有です。
けんちゃんと話す前に準備したメモ
2021年3月末までのゴール
他人と自然と石川潤にやさしい生活がより深まって表現できている
ゴールに書いている「より深まって表現できている」ために
2021年3月末までの1年で、石川潤が現時点で考える自然と他人と石川潤にやさしい生活づくりの80%までいく。
「他人と自然と石川潤にやさしい生活」(2020年3月末時点)
前提:石川潤が無理しないで幸せであることを少し他の2つよりも高い優先順位にする
(理由)自分が幸せじゃない、ストレスを感じていることがいいことであるという考え方が元々あり、その習慣のループになりがちなことがわかってきたため
- 他人にやさしい
・日々の中で出会うそれぞれの人への接し方の基本の値を、幸せを願うというあり方でいること、追加して、いつでもより深く行動を起こし、自分のことのように石川潤を動かすこともする
→幸せは、長期的な幸せを指す - 自然にやさしい
・自然が持っている物質、エネルギーの循環の中で暮らす、行動をすること
・自分が他の物質、生き物を無駄遣いしていない、貴重に扱っていること - 石川潤にやさしい
・他のことを思いやる、貢献、気にかけることができていること
→今の主軸は、「他人にやさしい、自然にやさしい生活を目指していること」
・自然が多い環境に身を置いていること
・好奇心のままに進める時間がある
・身体を動かしている時間がある一定割合あること
[以下、インタビューの中で追加]
・無理しすぎない
→仕組み作り
・オンとオフ(デフォルトでゴールがある日とゴールがない日)
・日のペースのテーマ設定
→気付けている状態作り
より深まって表現できているために何を行うか
- 全般:記録して、アクションを決める、変化を起こす
・月毎の記録
→他人にやさしいの評価
→石川潤にやさしい生活の評価(毎日、週毎を見ながら)
・自分の状態を毎日記録している(幸せ度、フォーカス、Energy)
→自然の物質、エネルギーの中で生きている部分/はみ出ている部分
→無駄遣いしている/無駄遣いしていない部分
→長期的な幸せにフォーカスするとはの定義 - 「他人にやさしく」するに関して、リマインドする
・他人にやさしくするということを今の定義のものを毎日リマインドし、振り返りをしている
・他人にやさしくする中で、他人にいつでもより深く行動を起こし、自分のことのように石川潤を動かす方法の仮説を立ててやって、方法論を見直ししている(2ループ)
「他人と自然と石川潤にやさしい生活がより深まって表現できている」とは?:インタビュー
香庄:まずは「他人と自然と自分にやさしい生活」モデルの定義がアップデートされたと言っていたので、そこから聞かせてもらってもいいでしょうか?
潤:はい。まず大きくは、“期限とその時点までに目指したい状態を明確した”ということがあります。これまでは、最終状態を定義してしまうと、それに変にとらわれてしまって、本当にやりたいカタチに近づけないのではないかと思っていたので、具体的に定義をしないままここまで進んできました。でも、やってみて感じたことは、最終状態は定義しなくても、ある期限までにここまではいこう!というような目標がないと、当たり前といってしまえばそうなんですが、緊張感がないなと思ったんです。そして緊張感がない中、環境省のプロジェクトなど色んなものが差し込んでくると、それらには期限があることなので、そっちにばかり気がいってしまう自分がいるなあって。だから緊張感がないのに、焦りだけはある(笑)。
なので、まずは期限をきろうと思いました。その期限もあまり長すぎると想像ができないし、逆に緩んしまうので、まずは2021年の3月末まで。ゴール(状態)は“より深まって表現できる”にしました。どういうことかと言うと、自分が相手に、「他人と自然と石川潤にやさしい生活」を具体的に説明でき、かつそれが、自分として体現できていることを指します。自分がやってみた結果だからこそ、これはこうでと具体的に言える状態、それを目指そうと思っています。
そのために、「石川潤が現時点で考える自然と他人と石川潤にやさしい生活づくりの80%になる」を手段として行います。100%と考えると嘘も含まれてしまう気がするので、8割がた達成するとしました。
香庄:最後に話してくれた「100%だと嘘も含まれるから80%にした」という部分をもう少し詳しく聞いてもいいですか?
潤:目指したい状態というのを頭の中だけで具体的にすればするほど、本当にこれでいいんだろうか?というものが含まれたまま、プロジェクトが進んでいってしまうと思うんです。なので、目標設定を100%でしようとすると、本当は違うなと思うこともやってしまう気がするんですよね。
香庄:理解できました。そういう意味での8割だったんですね。
潤:このように設定しておけば、途中で違うなと思ったらやらなくなると思うんですね。それともう1つ話しながら思ったのは、僕の場合100%やろうとすると、効果があまり発揮できないものまでついやってしまうと思うんです。例えば、耳かきがプラスチックだから自分でつくろうとか、年に1回しか使わないようなものを、どうやって作るかを研究し続けたりとか・・・だから8割くらいかなあって(笑)。もちろん、大部分は達成している状態という意味での8割もあります。
「石川潤にやさしい」の優先順位を、「他人と自然にやさしい」よりも少し上位に
潤:ここからは、以前から変わってきた生活モデルの定義と、それをベースに進め方の方針も考えてみたので、それを話させてください。
香庄:お願いします。
潤:他人にやさしい、自然にやさしい、自分にやさしいという大きな枠は変わっていないんですが、その中身が変わってきた感じです。まず僕自身の大きな気づきとして、“自分にやさしい”の部分が常にないがしろにされていたんじゃないかあということがありました。僕は基本的に、“自分が楽しくしてはよくないんじゃないか”という思い込みがあって、自分が嫌だなと思いながらも“人にやさしい、自然にやさしい”をしているんではないかと思ったんです。例えば、“自然にやさしい、他人にやさしい”を実践するために、激しい雨の中でも自転車で移動したりと、結構こんなことをしがちだなあって。
奥さんから「他人や自然にやさしくするために、自分に厳しくしていたら続かないよ」とか、「そんな生活していて、他の人はまねしたいと思うの」と言われたことで、僕自身も「苦し過ぎそうだけど、自然にやさしくしているから自分もやりたい」ってなるわけがない、努力は必要だと思うけれども、苦しみばかりが増えていく生活は違いますよね。なので、“自分にやさしい”の優先順位を、“他人と自然にやさしい”よりも少し高めに設定しました。ここが自分の中では大きく変わった点ですね。
香庄:これまでは、3つのやさしさが横一線に並んでいる感じで聞かせてもらっていた気がするので、確かに大きく変わった点ですね。
潤:そうですね、ここは大きく変わりましたね。実際の運用だと、今までは横一線と言うよりも「石川潤にやさしい」はすごく下でした。続いて上にから順番にいくと、他人にやさしいですが、これは正確にいうとパクリです(笑)。ボランティアをやっているWisdom 2.0 Japanのfacebookページに、講演者の一人でもある『サーチ・インサイド・ユアセルフ』の著者のメンさんが、こんな実践がいいと思いますよってメッセージを投げてくれていたんですね。それが偶然目にとまって真似し始めると、だんだんいいなと思えてきたんです。
以前のブログで、これまでは人にやさしくする時間に生活時間の30%をあてようと決めてやってみたところ、いつの間にかその30%の時間を埋めるために、他人が困っていることを常に探しているような気がして全然嬉しくないっていうお話をしました。その後、具体的な代替案がなかったんですけどそれが決まった感じです。
ただ、目の前の人の幸せを願うだけでは嫌だなと思って、追加として、何かあった時にはいつでも、自分のことのように、より深く行動を起こすということも書きました。何かしたいなと思っても、余裕がなければ行動ができないので、具体的に動くということを入れておけば、時間の使い方にも気を配るようになるかなと思って追加しました。目の前に人にお願いされて、ただ行動するというだけではなく、長期的に相手の幸せになることを考えるという点は前と変わりません。
香庄:他人にやさしくするには、時間も心も余裕があることは本当に大事だなあと、自分もいつも思います。
潤:次の“自然にやさしい”なんですけど、畑を自分でやっていて感じたのは、僕の場合、生きているものを殺して食べているという実感がすごくあるんだなあって。その中で、最初はできるだけ殺生をしないことを考えていたんですけど、環境省のプロジェクトに関わる中で、例えば、食べて糞をして糞がバクテリアに分解されて、というような循環という概念を理解したことによって、単純に1つの生物として生きるのではなく、その生物が物質となって次の生物に受け渡されていく、僕は別に輪廻転生を信じているわけではないんですけど、これって本当にすごいなと感じることができたことで、これであれば殺してもいいかなと思えるようになりました。これは、無機物においても同じで、分解されにくい状態に加工されて循環が難しいのは嫌だなと思っています。
ただ同時に、自然の循環の中にいるからといって、無駄遣いをするのは嫌だと思っています。摘み取ってきた野菜が食べきれずに残ったとき、そのまま土に還るからいいとは思いません。自然の循環に中にありつつも、貴重に扱うということが大事だなと考えています。なので、この2つをあわせて“自然にやさしい”だと感じているので、このうちの1つしか成り立っていなければ、僕としては違うかなと思っています。
潤:3つ目の自分にやさしいについては、基本的には僕の幸福度で測れると思っているので、日々振り返ってはメモをするようにしています。そうする中で新しく加えたことは、“好奇心のままに進める時間がある”です。自分はつい、ワクワクすることよりもゴールを意識しがちで、気が付くと嫌な気分になっているようなことがよくあります。最初はワクワクしながらスタートしているはずなのに、ゴールを意識するがあまり、やろうと思ってなかったことが増えてきて、いつの間にかワクワクよりもやらねばならないが強くなっていて、それで勝手にイライラしてしまって・・・。やり過ぎないように、自分をやさしくするということの優先順位を高めに設定したのも同じことだと思います。
その他にも、これまで週のテーマを考えたりするときには、やることや達成することを設定していたんですけど、基本的に自分に対して無理しないことを許せない僕は、ガンガンやることしかできなくて、結果、疲れるといったことを繰り返していました。そこで先週は、“無理をし過ぎない、自分をいたわる”をテーマにしてみたら、随分と落ち着いて過ごせたんです。ちなみに今週は、“アクセルを踏んだり・踏まなかったり、緩めたり”っていうテーマにしています。
香庄:聞いていると、そのあたりを今のリストに加えることが、とっても大事そうですね。例えば、前回の淳也さんと話していたアウェアネスではないけれど、今の状態に気づけていることであったり・・・。それができていると、オンやオフは自然と実行できるかとなあって。
潤:確かに!僕は今まで装置を事前に用意して上手く自分を使おうと思っていたんですけど、自分に気づけていないまま、とりあえずやっていた感じですね。“一度そうだ!それをやってみよう!”と思ったら、次の瞬間にはその仕組みを考えて作っちゃってる。そういう意味では、淳也さんの朝のメディテーションは役に立っているかもしれません。
香庄:メディテーションいいですね。それから最後に進め方の方針でしたね。
潤:進め方の方針はシンプルで、記録することで現状がわかり、それを見ながら変化を起こすためのアクションを決めて実行する。それの繰り返しだと思っています。他人にやさしいの場合だけ、写経のように毎日大事にしたいことを書いて、自分にリマインドします。
自然の循環の中で生きることの難しさに改めて気づく
潤:ここからは、“他人にやさしい”と“自然にやさしい”の振り返りの話をします。まず、“他人にやさしい”については、10段階評価で上り調子の3といったところでしょうか。よかったことは、定義があいまいだったことに気付けたことと、あとはリマインドを3日ほどやってみて、よかったと実感できたことです。
まだできていないことは、“他人にやさしい”の振り返りを常にするということです。出会う人、出会う人に相手の長期的な幸せを願うって、僕の普通の状態とだいぶ違うんですね。意識をしないと、例えば、損得感情が出てしまったり、人に警戒心を持っているのでコミュニケーションを早く切り上げようとしたり、もちろん相手によって違うんですけど・・・。なので、通常のモードとして、相手の長期的な幸せを願う方へ寄せようとしているけれども、ほっておくとそうはならないので、それができているかどうかを日々記録しようと思っていたんです。
香庄:いつも送ってもらっている日々の記録でも、潤さんの心の動きがよくわかるので、ここにさらに追加されると、とてもいい記録になると思いました。
潤:“他人にやさしい”はまだよかったんですが、“自然にやさしい”の1つである“自然の循環の中で生きている部分、生きていない部分”を書き出してみると、今改めて気づけたことはよかったんですが、これに関しては絶望的でした(笑)。書き出す前は、できていることと、できていないことが半分半分くらいあるかなと思って書き始めたら、できていないことばかりで・・・。唯一できることに書いた“化石燃料に頼らず歩く”についてもあえていうならって感じです。
香庄:これはかなり難しいそう(笑)
潤:海士町に来る前に住んでいたバンコクのときよりも、今は随分とできている感覚はあったんですけどね。どんどん書き進めていくと、できていないことばかりで、結果は0.01%くらいかなという評価になりました。これを奥さんに話したら、「以前は結果至上主義で、幸せは結果を達成したあとにやってくるもんだと思っていたから、それが途中で幸せになってもいいんだって気づけたあとに、これを知れてよかったね。そうでなければこの時点で絶望的で不幸せになってたよ」って。
香庄:確かに(笑)
潤:これは近くのコーワーキングスペースで書いたんですが、具体的で小さなことから始めると書き出しやすいと思って、カバン1つでそこまで行って、そのカバンの中にあるものだけで書き始めたんです。例えば、パソコンとか、電源ケーブルとか、本とか、必需品だと思って使っているポストイットとか・・・。仕分けのポイントは、大きくは素材の話と、素材を成形したときにかかったエネルギーの話。例えば、徒歩は化石燃料を使わなくていいけれども、履いている靴は循環できないし、自転車のタイヤも擦り減ってはゴミを巻き散らかしているし、塗られている塗料もだめだし、って考えると全敗ですね(笑)。このリストには、自分の家にあるものはほとんど入っていないので、たったこれだけでこんなにいっぱい出てくるんだなあって。
どういうやり方があるのか、今は全然見えていないですが、次回のインタビューまでに考えてみたいなあって思っています。とはいえ、現状がこうなっているとわかってよかったなあって。今はまだ上手く表現できていないけれど、続けていくと、自分としてここまでは許せるというか、これは使ってもいいといったようなラインを最終的に決めていくんだと思います。
香庄:今後どのようになっていくのか僕としても興味深いです。
潤:もう1つの“無駄にしている・していない”の方で気づいたことは、例えば、自分の畑の草刈りをしている中で、刈らなくてもいい場所まで、見た目の問題というか、むしろ勢いで必要以上に周囲の草まで刈ってしまっている自分に気づいたときに、流れって怖いなあって感じました。
香庄:草刈りをしていて、そういうことを考えたことなったので新鮮です(笑)
潤:こちらに関しては、無駄にしている・していないという主観もあるので、評価は30%か40%点くらいですね。
あとは、長期的な幸せが具体的に何なのか、その定義を定期的に振り返っていくことをやっていこうと思っています。よく使っている言葉であるので、自分の中でも明らかにしたいなあって。
香庄:それが明確になるといいですね。まずは潤さんがやっている中で、長期的な幸せに関われているなと思うことを書き出してみることからやってみるといいかもですね。
潤:そうですね!それはやってみます。