話者プロフィール
田中嶺吾
2000年生まれ、慶應義塾大学商学部卒。2021年にガイアックスに入社後、人事採用・起業家教育・CVC担当を経て、Nagatacho GRiD事業部長、経営会議メンバーに。GRiD事業の売却後、シェアオフィスMIDORI.soを運営するMIRAI-INSTITUTE株式会社に取締役として参画。若手の経営会議メンバーの一人として、若手主体の社内カルチャーの施策を企画・運用している。25周年パーティーの企画・主催者。
ナタリア・ダビドバ
2000年にエンジニアインターンとしてガイアックスに入社。その後、Webデベロッパー、デザイナー、クリエイティブディレクターとして、多くのGaiaxソリューション開発プロジェクトに携わる。2015年には、Gaiaxのリブランディングを主導し、その一環として本社兼コミュニティスペース「Nagatacho GRiD」(現在の「MIDORI.so NAGATACHO」)のデザインを担当。現在は主に、コーポレートブランディングの外部向け施策やWebデザイン・開発に注力している。在籍年数が最も長く、多くの卒業生とのパイプとなっている。
野口佳絵
投資先支援、XTC JAPAN事務局、IR業務、その他ガイアックス主体のプロジェクト運営など多岐にわたる分野を担当。ガイアックスのネットワークを活かし、投資先や関連コミュニティとの連携を推進しながら、長期的な価値創出に取り組む。25周年パーティーでは、投資先・卒業生の誘致を担当。
卒業生と現役メンバーを繋ぐ場としての25周年パーティー
ーーそもそも今回の25周年パーティーを主催された背景について、教えてもらえますか。
田中:ガイアックスでは、今いる先輩だけでなく、卒業した人たちも含めて「先輩なんだよ」とずっと言われてきました。でも、それを実感する機会があまりなかったんです。せっかくガイアックスに入ったからには、多くの先輩とつながれた方がおもしろいと思いましたし、ほかの若手メンバーも同じ考えだったので、ぜひ開催したいと思っていました。
ーー企画を進める中で、ガイアックスコミュニティの中心である上田さんからも具体的なオーダーもあったと聞きました。
田中:そうですね。ただの交流の場ではなく、その機会を最大限に活かすことを上田さんから強く言われていました。ガイアックスを応援してもらうのはもちろんですが、それ以上に、卒業生が懐かしいメンバーと再会できる場を作ることを意識しました。ガイアックスのメンバーは仕事が好きなので、自然と仕事の話になります。結果的に仕事につながったり、採用のきっかけになったり、いろいろな形で関係が広がるようにデザインしました。
ーー実際にパーティー当日、どんな交流や展開が生まれていましたか。
田中:卒業生同士のコミュニケーションは特に盛り上がっていて、マイクで話していたピッチの声が聞こえないくらいでした(笑)。実際に起きたこととしては、スタートアップスタジオ事業部では起業家に伴走するメンターを探していたところ、卒業生にメンター役を頼める流れができました。フォトシンス社代表の河瀬さんが「ワークスペースをやりたい」と話していて、「ぜひ一緒にやりましょう」と盛り上がったりもしました。そういう動きが同時多発的に起きていた感じですね。
野口:卒業生の方が、貪欲に活用していた印象ですね。一方で、現役メンバーの動きは、ガイアックスと関わってからの期間が短い、そして、年齢も若い分、動き方は難しかったところもあるように感じました。
田中:卒業生の起業家、経営者のような積極的で果敢なハングリーさに学ぶ事が多かったです。
ーーパーティーの感想をお聞かせいただけますか?
ナタリア:久しぶりにたくさんの懐かしい顔に会えて、本当に嬉しかったです。私がガイアックスで最初に所属したチームメンバー全員が揃い、まるで25年間の時が経っていないかのような感覚でした。この再会をきっかけに、その後もプライベートで集まる機会が何度も生まれました。個人的にも、そしてプロフェッショナルな面でも、こうして再びつながる機会を得られたことに心から感謝しています。
卒業生にどんどん頼っていくということができるという関係性の実感を作っておくことが、現役のメンバーには重要だということが見えたようですね。
見えてきた課題:マッチングの難しさと双方の遠慮
ーーパーティー中、卒業生は現役メンバーや他の卒業生とどのように関わっていましたか?
野口:卒業生は採用の話をどんどん進めたり、積極的に人に話しかけたりしていましたね。一方で、私自身としては卒業生と現役メンバーをもっとつなぎたいと考えていたのですが、現役メンバーがどんな課題を抱えているのかが分からず、誰と誰を結びつけるべきか迷う場面がありました。「誰がどんな困りごとを抱えているのか」「誰と繋げると良さそうか」といった設計がより明確になっていれば、つながりを生かしたリターンがさらに高まったのではないかと感じました。
ーー卒業生と現役メンバーの関わりについて、他にどのような場がありますか?
野口:ガイアックスの卒業生や現役生が多く参加する、当社卒業生の営業のU氏主催のクローズドの忘年会があるのですが、運営メンバーは参加者のビジネスフェーズや課題をしっかり把握しており、自然なマッチングが行われています。ガイアックスのメンバーがアルムナイコミュニティに何を求めているのか、もっとヒアリングできれば、運営の動き方も変わってくるのではと思っています。そもそも、ガイアックスの現役生には、卒業生による応援や支援があることのイメージが持てないところがあるかもしれません。卒業生との関わりがガイアックスほど多い会社も珍しいですから。
ーー社内のエンゲージメントを高めるために、具体的に何ができるでしょうか。
ナタリア:日常的なランチや飲み会などの機会を通じて、もっと自然に卒業生と関われる機会を増やしていけるといいですね。今でも交流の場はあるのですが、もっと積極的に関わる仕組みを作ることで、社内のニーズを拾いやすくなるはずです。
田中:たしかに、今のままだと「誰に何を相談したらいいかわからない」という若手の声が多いですね。事業責任者やハングリーに動いているメンバーと、卒業生をどうつなぐかが重要になってくると思います。
今後のアルムナイコミュニティへの期待と施策
ーーアルムナイコミュニティの関係性を深めるための施策として、今後どのような動きが必要だと感じますか?
野口:(前出の)U氏の取り組みのようなものを、ガイアックスコミュニティの中でも再現できると良いですね。いつまでも私たちベテランが前面に出ているのではなく、次世代の若手メンバーが活躍できる場を作ることが大事だと思います。
ナタリア:ガイアックスでは、起業や新たな挑戦を機に旅立つメンバーが多く、卒業生と現役メンバーが支え合う強固なネットワークが自然と生まれています。卒業後も今まで一緒に働いた仲間と協力することがあったり、相談相手として関係が続くことが多いため、これをさらに活かすには、気軽に交流できる場が必要で、私たちベテランが橋渡し役となることが求められています。
具体的には、Facebookのアルムナイページを活用した定期的な情報交換がすでに行われており、今後はミートアップの企画も検討されています。メンタープログラムやレギュラーミートアップの開催なども検討できます。ただし、一方的な取り組みではなく、社内のニーズをしっかりヒアリングしながら、より実効性のあるつながりを生み出すことが大切だと思います。
ーー今後、ガイアックスコミュニティが今後どうなっていくと良いと思いますか。
ナタリア:ガイアックスのミッション「人と人を繋げる」ことが大事だと思っています。でも、定期的に会わないと繋がりが薄れてしまう気がします。もっと積極的に交流できる機会を増やし、コミュニティのメリットを実感することで、もっと貢献したいという気持ちも生まれるはずです。
野口:貢献力を育むことが必要だと思います。でも、今の若い人たちは、まだ貢献することのメリットを実感していないかもしれません。成功体験が少ないから、想像できない部分もあるのかなと感じます。
ーー最後に一言お願いします。
田中:ガイアックスは退職後6割が起業して卒業していく文化なので、社内に「先輩」という存在が少ないですよね。でも、実際に25周年パーティーをやってみて、先輩方が若手に関心を持ってくれていることを強く感じました。たとえ所属している会社が違っても、頼れる先輩がいると実感できたのが良かったです。他の若手メンバーも同じように感じていたので、ガイアックスのアルムナイコミュニティの強さを改めて実感しました。
野口:知っている人と積極的に交流を深めることが、次のステップになると思います。卒業生との関係を大切にすることで、ガイアックスはさらに強いコミュニティになっていくことを願っています。
ナタリア:「ネットワーキングしなければならない」というプレッシャーによって作られる関係性ではなく、むしろ気軽に再会し、お互いに刺激を受けながらつながりを深められるような場を提供することが大切です。一度きっかけが生まれれば、コミュニティは自走していきます。だからこそ、ガイアックスとしては、気楽に参加できるカジュアルなイベントを定期的に開催し、無理なく人と人がつながれる場を提供するのが理想的だと思います。肩肘張らずにリラックスできる空間があれば、自然と対話が生まれ、新しいアイデアやコラボレーションが生まれるはずです。私たちがやるべきことは、過度に仕組みを作り込むことではなく、心地よく人々が再会できる環境を整えることだと思います。
気づけばあなたも起業家に
自分の情熱に向き合い続け、言い続け、実行し続ける環境で働く。その延長線上の未来で、ふと気づいた時には、あなたも起業家になっているかもしれません。個人の情熱を徹底的に邪魔しない。「裁量権」なんて言葉では言い表せない、無制限なオーナーシップがある環境であなたも挑戦しませんか。