いま自治体を中心に、ふるさと納税とNFTを組み合わせた地方創生の取り組みが増え始めていることをご存知でしょうか?
我々web3に注力しているガイアックスが独自に調査した「国内DAOカオスマップ」の中でも紹介されている、静岡県三島市のウイスキーNFTや北海道夕張市の夕張メロンNFTは、ふるさと納税NFTの代表的な事例として注目されています。
本ページでは、群馬県や鳥取県智頭町、静岡県松崎市をはじめとする様々な自治体との地方創生DAOの運営に携わってきた経験に基づき、「ふるさと納税とNFTで具体的に何ができるのか?」という悩みを中心に具体的に解説します。
なお、DAOの導入ご検討されているご担当者の方で、「DAOの具体的な構築方法」や「既存の組織構造とDAOをどう融合させるべきか」、「法的リスクや運用面での課題にどう対処するか」など不安な点はないでしょうか。弊社では、大手企業や自治体のDAO構築支援をもとにしたDAOコンサルティングを行っています。まずは資料でサービス内容をご確認いただければと思います。
ふるさと納税NFTとは
本題に入る前に、NFTについておさらいしましょう。
NFTとは、Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略で、変わるものがない「唯一無二」の価値があるデジタルデータ、およびそれを実現する技術を指します。
つまり、写真・動画・音声などのデジタルデータをブロックチェーン上に記録し、「これはあなたが所有する本物のデータ」であることを刻むことができる技術です。
NFTの活用例として、デジタルアートや音楽作品、ゲームアイテム、トレーディングカード、会員権などが挙げられます。
そして、ふるさと納税NFTは、NFTの代表的な活用例の一つとなっています。
ふるさと納税NFTとは、「ふるさと納税の返礼品としてNFTを納税者(寄付者)へ送る」といった仕組みでNFTを活用しています。
地域の特色を盛り込んだNFTアートや特典に紐付けたNFTチケットを返礼品とすることで、地域のプロモーションになります。
ふるさと納税NFTが従来の返礼品と違うところ
では、従来の返礼品とふるさと納税NFTはどう違うのでしょうか。
従来のふるさと納税では、地域活性化の施策の一つとして、納税者に対し、地域の返礼品を送ることとなっています。しかし、現状は本来の目的である「地域活性化」から納税者にとって「節税する手段の一つ」が目的となっています。
一方、ふるさと納税NFTでは、NFTを起点とした持続的な地域のファン形成を行うことができます。特定の地域ならではの返礼品を送ることができる点については変わりはありませんが、そこに加え地域を応援してくれる人をデジタルで全国から集めることができるというメリットがあります。
有名なモデルケースとして、ふるさと納税NFTをデジタル市民証や村民証として納税者に配布することができます。このデジタル証を保有することで、応援したい地域のまちづくりにオンラインで参画できる仕組みを形成することが可能となります。このように、デジタルで地域を応援していくまちづくりコミュニティを「地方創生DAO」と呼び、関係人口を創出できる手段として今注目されています。
※地方創生DAOについて詳しく知りたい方は「地方創生にDAOを導入するメリットを先行事例とともに紹介」にて詳しく解説しています。
つまり、ふるさと納税NFTを活用した地方創生DAOでは、従来のような「ただ返礼品をもらって終わり」といった関係性をなくし、「デジタルでまちづくりの一員として参画できる仕組み」を形成することができるという点が大きな違いとなっています。
ふるさと納税NFTの種類
ふるさと納税NFTには大きく分けて3つに種類があります。
有名IPとのコラボ
ふるさと納税NFTを発行する上で、有名IP(人気アニメキャラクターやご当地キャラクターなど)とコラボしたデジタルアートを販売する事例は多数あります。NFTを集めたいといった効果を生み出すため、地域のPR効果は大きいです。
ただ、このケースは一時的なバズを生みますが、一度きりの接点になりやすい傾向にあり、継続的な関わりが作りづらいという課題があります。
地域の特産品や体験を特典にする
地域の特産品や体験をNFTの特典として結びつける手法もあります。
地域の強みとなるものをNFTの特典としてつけることで、大きなアピールとなり、地域の魅力を伝えることができます。
また、お気に入りの特産品や体験はファン形成につながるケースも多いです。
しかし、地域の支援者との継続的なコミュニケーションを取れる施策を用意していないと、従来のふるさと納税と変わらない形となってしまいます。
DAO・地域コミュニティへの参加
DAO・地域コミュニティの参加権を付与したNFTとして販売する手法は持続的な地域コミュニティを形成するにあたり、最も効果的な手法となっています。
上記二つの施策と組み合わせ、継続的な関わりに繋げるケースもございます。
しかし、NFTやDAOといったデジタル知識を有する必要がありますので、プロジェクトを運用するハードルは高いです。
実際に、ふるさと納税NFTを活用したDAOの組成を考えている場合、DAO構築のための進め方や具体的なツール選定、組織構造、マネタイズの仕方、メンバーの集め方などの観点で知見共有いたしますので、ぜひガイアックスのDAO無料60分相談をぜひご活用ください。
ふるさと納税NFTの導入事例
では、実際に運用されているふるさと納税NFTの事例を解説していきます。
あるやうむ×CNP(CryptoNinja Partners)
有名IPとのコラボで地域プロモーションを行う事例の一つとなっています。ふるさと納税NFTを手がける株式会社あるやうむと国内最大級のNFTコレクションを販売するCNP(CryptoNinja Partners)とのコラボで生まれました。
北海道余市町をはじめとした全国19の自治体に展開しております。有名IPとのコラボで生まれるNFTは、一時的な接点で止まりがちになってしまう特徴を持っています。
しかし、鳥取県鳥取市のNFTにはシークレット展示されている砂像と撮影できる特典、また京都府宮津市のNFTではかわらけ投げ体験を特典として付与しています。
このように、NFT保有者が地域まで足を運んでくれるようなO2O(Online to Offline)施策を企画することで関係人口の創出を図っています。
島根県松江市&雲南市:「鷹の爪団吉田くん ふるさと納税NFT」
人気アニメシリーズ秘密結社鷹の爪に登場する吉田くんとコラボしたふるさと納税NFTです。 限定のNFTを入手できるだけでなく、指定された観光地に設置されたQRコードを読み込むとNFTの絵柄が進化するといった仕掛けも用意しています。
こちらも現地へ足を運び、NFTを集めるとともに観光を促進させるといった施策を作っています。
静岡県三島市:「ウイスキー(Whiskey&Co.社)の優先購入権」
地域の特産品を特典とした事例となります。三島市では、地域内でしか購入できないウイスキー(Whiskey&Co.社)の優先購入券が付与されているNFTを返礼品としています。
ウイスキーの熟成年数に応じて、NFTのランクアップやランクに応じたインセンティブを組み合わせた仕組みを作っており、ウイスキーとNFTの相性が良いことでも知られています。
また、NFT保有者同士のDAO型コミュニティも形成することで、地域を超えた交流やブランドづくりも可能とし、継続的なコミュニケーションへと繋げています。
北海道夕張市:夕張メロンNFT
夕張市でも夕張メロンを特典としたふるさと納税NFTを販売しています。
NFTには、夕張メロン1玉と限定コミュニティへの参加権が特典としてついてきます。
コミュニティでは、生産者とのコミュニケーションや夕張市内外のメンバーと交流できるようになっており、夕張市へ愛着を持ってくれるような企画を用意しています。
岩手県紫波町:Furusato DAO
岩手県紫波町では、Furusato DAOの参加権を特典として付与するNFTを販売しています。Furusato DAOでは、Web3で繋ぐコミュニティとして設立された地域コミュニティとなっています。NFTを保有することで、デジタル町民として地域のまちづくりに参画することが可能となり、専用ECサイトの優先利用や自治体内でのサービス利用を町民割引で受けられるといった特典もついています。
また、Furusato DAOでは新型地域通貨のトークンを発行する取り組みや自治体業務に地域内外の住民も参加する「Help to Earn」の施策を企画するなど、積極的に地方創生活動を実施しています。
そのために、地域に貢献してくれる地方創生人材をデジタル上で発掘していく方法としても活用しています。
「#旅するジモト」 ジモトパスポート
「#旅するジモト」は、熊本県五木村をはじめとした複数地域横断型の地域課題解決に向けたプロジェクトです。ジモトパスポートというNFTを返礼品とすることでプロジェクトへ参加でき、地域に貢献してくれる人材の発掘に繋げています。
また、各地域の返礼品も特典としてついてくるため、特定の地域にこだわらない、複数の地域への応援を可能とするまちづくりの形となっています。
ふるさと納税NFTに挑戦するメリット
ふるさと納税NFTのメリットを解説します。
自治体の認知向上のきっかけになる
ふるさと納税NFTは、地域の特産品や景色などの特色をモチーフにしたデジタルアートや写真をNFTとして販売するケースが多いです。
さらには、人気IPコンテンツとのコラボやNFTなどのテクノロジーを取り入れた取り組みであるため、特に若者を中心とした層に自治体の認知を拡大することが期待できます。
返礼品の幅が広がる
通常の返礼品では、「寄付額の30%以下に抑える」や「返礼品と手数料の合計を寄付額の50%以下に抑える」といった条件があり、価格がネックとなり選びたい返礼品を購入できないといった点があります。
一方、デジタルで発行する返礼品は送付手数料が安くなるため、比較的納税者にとっても購入しやすい返礼品の設計をすることが可能です。
関係人口の創出
関係人口の創出にも大きな影響を与えます。特に岩手県紫波町や静岡県三島市の取り組みのようにNFTをまちづくりに参加できるDAOの参加権として付与させることで、NFT保有者との継続的なコミュニケーションかつ地域活性化へ貢献してくれる人材の発掘へつなげることができます。
一時的な関わりで終わってしまう施策ではなく、地域の支援者を継続的に増やせる施策として導入することが可能です。
ふるさと納税NFT導入の課題
これまでふるさと納税のメリットや事例を紹介してきましたが、とはいえこれらの施策を導入するにはハードルがあります。
NFT/DAOに関する専門知識が必要
一番大きな落とし穴として、ふるさと納税NFTを導入したからといって関係人口の創出につながるとは限らないという点です。
ふるさと納税NFTを起点に関係人口を創出していくための地方創生DAO・コミュニティの形成までの仕組みづくりを構築する必要があります。
さらに、デジタル上のコミュニケーションで終わらず、いかに現地に来てもらう企画を立てることができるかという点も重要となってきます。
具体的な事例として、複数の自治体が連合して運営している「美しい村DAO」にて、智頭町2白3日地域資源ツアーNFTといった、地域への訪問をDAOへの参加特典としているケースもあります。
» 複数自治体横断の美しい村DAOにて、「智頭町2泊3日地域資源ツアーNFT」の販売を開始
こういった、NFTやDAOを活用した地方創生プロジェクトはこれまでガイアックスで何度も支援してきており、企画の試行錯誤の知見が溜まってきております。具体的な施策についてお悩みの場合、自治体との実績豊富なガイアックスのDAOコンサルをご活用ください。
利用者側に求められるリテラシーが高い
また、利用者側に求められるリテラシーが高いことも課題となっています。現にNFTやDAOを活用する場合、以下のように多くのツールを組み合わせながら構築や運用する必要があり、これらを使いこなせる利用者はごくわずかです。
ツール名 | 用途 |
---|---|
Discord | オンラインでのコミュニケーション |
Snapshot | 意思決定のための投票 |
Opensea | NFTの発行や購入 |
Metamask | 仮想通貨ウォレット |
そのため、これらのシステムをひとまとめにしたDAOX(ダオエックス)というツールもあります。DAOXを使用すれば、スムーズなDAO構築とコミュニティ運営が可能になるので、DAO組成を検討されている方はぜひ導入を検討してみてください。
» DAOX(ダオエックス)の導入はこちらから
» 一般的なDAOの作り方とDAOX(ダオエックス)の比較を確認する
地方創生DAOを立ち上げるなら
今回は、ふるさと納税NFTについて事例を交えながら解説いたしました。
地域のファン形成につながる本当の意味での関係人口の創出へとつなげていくためには、ふるさと納税NFTを起点とした継続的な地方創生活動へと発展させていくことが効果的です。
ガイアックスでは、これまで群馬県庁や鳥取県智頭町など多数の自治体とのNFTを起点としたDAO組成・運用実績がございます。また、デジタルだけでは終わらせないNFTやDAOを活用したO2O(Online to Offline)施策の企画立案にも注力しております。
本記事をお読みいただき、「ふるさと納税NFTや地方創生DAOを活用したいがどう導入すれば良いかわからない」といった方々がいらっしゃいましたら、ぜひガイアックスのDAOコンサル60分無料相談をご活用してください。