ボトムアップでエンゲージメントの高い組織を作れると期待されているDAO(分散型自立組織)。さまざまな業種にまつわるDAOが組成されていますが、DAO×不動産の領域でも新規事業が出てきています。
ここでは、不動産業界においてどのようにweb3が活用されているのか、DAOの事例を交えて紹介します。DAOを立ち上げる際の注意点も解説するので、不動産に関するDAOを組成したいと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
なお、この記事はDAO型シェアハウス・DAO型シェアオフィスなど不動産関連のDAOを運用するガイアックスが解説します。
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不動産業界におけるweb3の活用
DAOやNFT、ブロックチェーンなどweb3の世界と不動産業界はどのように関係しているのでしょうか。
昨今、シェアハウスやシェアオフィスなどの不動産にNFTを紐づけ、DAOで管理していく取り組みが出てきています。
NFTは、世界に唯一無二と証明されたデジタルデータ、およびそれを実現する技術のことです。NFTを会員権として活用し、NFTを購入することでDAOメンバーになれるという仕組みのDAOが多くみられます。
また、DAOはブロックチェーン技術で実現できる非中央集権的な組織です。ボトムアップな意思決定方法をはじめとするDAOの概念が注目されており、DAOに取り組む企業や自治体が増えています。
国内外のDAO×不動産の事例
NFTを用いて不動産をDAOで管理するプロジェクトの代表的なものとして、以下の4つを紹介します。
- CityDAO
- Roopt神楽坂 DAO
- CryptoBase
- PlanetDAO
CityDAO
CityDAOは、ブロックチェーン上に「都市を作る」目的で作られたDAOです。物理的な土地とブロックチェーン上の土地がリンクしており、NFTを購入した人は土地の市民になり、その土地のさまざまな事柄への投票権を得られます。
実際に、CityDAOはLLC(日本における合同会社)として、アメリカ・ワイオミング州の土地を所有し、デジタル上で都市運営を実現しようとしています。
Roopt神楽坂 DAO
Roopt神楽坂 DAOは、学生起業家のためのDAO型シェアハウスのプロジェクトです。
「Roopt NFT kagurazaka」というNFTを販売しており、購入者は「Roopt神楽坂への1か月の入居プラン」もしくは「全Roopt物件の7泊8日ワーケーションプラン」のどちらかを選んで利用できます。
NFT購入者は、シェアハウスを利用するだけでなくDAOメンバーになり、Discord上で物件の管理・運営に関する議論に参加できます。予算の使い道のほか、掃除・運用の業務委託、資産購入などの事柄をDAOメンバーによる投票で民主的に決めていく点が特徴です。
CryptoBase
CryptoBaseは、DAO型シェアオフィスを運営するコミュニティです。web3業界の起業家やDAO・NFTに興味関心を持つ人の集まりとして、勉強会やイベントが開催されています。
会員証であるNFTを発行し、コミュニティの運営方法やワークスペースの改善などについて提案できる発議権を付与しています。また、NFT会員証の売上や月額料金の数%を共通ウォレットに移行し、DAOメンバー皆でその使い道を決める仕組みです。
CryptoBaseやweb3業界を盛り上げるためのタスクを遂行したら、報酬としてランチ代や月額料金に利用できるトークンが発生する仕組みも盛り込んでいます。
NFT認証で入退室が可能になるスマートロックを導入し、ラウンジにNFTアートギャラリーを設置する予定があるなど、NFTを活用した取り組みに挑戦している点も注目です。
PlanetDAO
PlanetDAOは、自然の美しさや土地の遺産を次の世代へ残すことが目的のプロジェクトです。環境活動家や研究者などと協力し、地球の美しい自然を保護する活動に参加できます。
具体的には、PlanetDAOが発行するトークンを保有することでDAOメンバーになり、各土地の運営へ参加する権利(ガバナンス権)を得られます。
現時点(2023年7月)で参加している施設は、120年以上の歴史を持ち、宿坊として宿泊できる岐阜県高山市の善光寺で、今後さらに物件が追加される予定です。
DAOを立ち上げる際の注意点
不動産関係のDAOの事例をみて、新しいアイデアがひらめいた方もいるかもしれません。
ここでは、DAOを立ち上げる際の注意点を4つの観点から解説します。ぜひDAO組成の参考にしてください。
明確なゴール設計
DAOでもっとも重要なのは、明確なビジョンにもとづくゴール設計です。
立ち上げ初期にDAOの方向性が決まっていないと、コミュニティを作ったり、プロジェクトを進めたりなどの場面で軸がブレやすくなってしまいます。
DAOでは、メンバーのモチベーションを引き出し、自主的に参加したくなる組織を維持し続けることが重要です。メンバーが集まってきて、さらに途中で離れていかないようなDAOを組成するためには、しっかりしたゴールやインセンティブを設計しましょう。
法律・税制上の問題
現状の日本では、DAOの法的位置づけが定まっていません。
そもそもDAOやNFTが新しい概念であり、暗号資産の取引などについても、日本は法律・税制面での整備が遅れている状況です。政府の骨太方針においてweb3への注力が明記されたため、将来的には法整備が進むと考えられています。
そのため、状況の変化にいち早く対応できるよう常にアンテナを張っておくと同時に、法律や税の知識、専門家による助言が重要といえます。
コミュニティの立ち上げに知識が必要
DAOのコミュニティの立ち上げには、Discordを活用できる知識が必要です。Discordは、チャットや音声・ビデオ通話ができ、さまざまなDAOで使われている定番のコミュニケーションツールです。
Discordでのコミュニティ立ち上げには、サーバ設計やチャンネルの作成、ロール設計・管理などについて知っておく必要があります。また、コミュニティを立ち上げた後も、コミュニティのさらなる拡大を図るため、メンバーのモチベーションを保てるような運用が不可欠です。
コミュニティ運用では、貢献度をどのように測るか、報酬をどのように設計するかという点が重要です。Discordを用いたDAOコミュニティの立ち上げについては、ガイアックス Discord コンサルティングサービスもぜひご利用ください。
ロールモデルが少ない
DAO自体がweb3時代の新しい取り組みであるため、見本となるロールモデルが少ない状況です。情報も十分ではない中、見切り発車でプロジェクトを始めるのはハイリスクといえるでしょう。
しかし、言い換えれば今からDAOに参画するのは、パイオニアになれる可能性もあるということです。DAO組成に必要な法律・税制面での知識や、コミュニティの運用方法などを身につけた上で、専門家とともにしっかり準備して始めるのがよいでしょう。
不動産業界でDAOの運営をお考えの方へ
不動産業界においては、不動産とNFTを紐づけ、DAOコミュニティで管理するという方法が取られ始めています。今回紹介したDAOは、NFTを購入することでシェア物件を利用できたり、運営に参加できたりするビジネスモデルが特徴です。
DAOはコミュニティであるため、複数人で管理するシェア物件と相性がよいといえます。そのほかにも、自然環境や文化財を守るために立ち上げられたDAOもあります。
しかし、日本においてDAOは法的な位置づけがまだはっきりしておらず、立ち上げに不安を感じる方もいるでしょう。
ガイアックスはRoopt神楽坂 DAOやCryptoBaseを運営しているノウハウで、DAOに関する情報提供、企画立案、実装オンボーディングまで、一気通貫でサポートします。不動産に関連するDAOを立ち上げたいと思っている方は、ぜひガイアックスと一緒に新しい取り組みにチャレンジしませんか。下記から詳細にアクセスできます。