2021年12月14日、企業のダイバーシティ&インクルージョンを評価する認定制度「D&I Award 2021」にて、最高位の「ベストワークプレイス」にガイアックスが認定されました。
貴社の認定スコア:90
貴社の認定ランク:ベストワークプレイス
日本国内だけでなく世界的にも高い水準でD&I推進に取り組むD&I先進カンパニーで、D&Iの企業文化の醸成はもちろんのこと、社員一人ひとりがD&I推進を担う個として積極的に活動している。D&Iの理念は、サービスや事業、企業組織のあらゆる側面で反映され、それを今まさに社外にも波及している。
なお、参加企業は、連名応募企業を含めて259社。日本初の認定制度ということもあり、スタートアップから中小企業・国内大企業・外資系企業など、あらゆる事業規模・業種の企業がエントリーする大規模なアワードとなりました。最高評価の「ベストワークプレイス」に認定されたのは70社です。
企業のダイバーシティ&インクルージョンを評価する認定制度「D&I Award 2021」とは
審査を担当されたのは、
・作家 乙武洋匡氏
・株式会社ジーンクエスト代表取締役
・兼株式会社ユーグレナ 執行役員バイオインフォマティクス事業担当 髙橋祥子氏
・FCAジャパン株式会社マーケティング本部長 ティツィアナ・アランプレセ氏
・株式会社JobRainbow代表取締役 星賢人
の4名。
【LGBT】【ジェンダーギャップ】【障がい】【多文化共生】【育児・介護】の5つの観点で構成された100項目の「ダイバーシティスコア」をもとに、
・ビギナー :認定スコア1〜20点
・スタンダード:認定スコア21〜60点
・アドバンス:認定スコア61〜80点
・ベストワークプレイス:認定スコア81〜100点
を認定。
参照:https://diaward.jobrainbow.jp/top#description
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000017747.html
12月14日の表彰式と同タイミングで、アワードレポートが公開されています。
▼D&Iアワード2021 レポート
https://static.jobrainbow.jp/files/diaward/2021/report.pdf
ダイバーシティ&インクルージョンは声なき声、抹殺してきた声を聞くこと
株式会社ガイアックス チーフ・カルチャー・オフィサー 管理本部・全社行事担当 木村 智浩
※本稿に示された意見・発言は、すべて発言者達個人に属し、その所属組織の公式見解を示すものではありません。
このたびはダイバーシティ&インクルージョンの推進の裾野を広げ、社会全体でのD&Iムーブメントを加速させるアワードの開催、そして、ベストワークプレイスの認定、ありがとうございます。
このようなアワードに、259社が参加し、70社もの会社がベストワークプレイスという評価を頂いたことは、確かな日本の変化を表すことであり、ダイバーシティ&インクルージョンの重要性が社会全体として高まってきていることの証拠だと感じています。
とはいえ、このように「ベストワークプレイス」として評価いただくと、私たちの取り組みは素晴らしいと思う方が多いとと思います。確かにこれまで色々な取り組みをしてきました。しかし一方で、素晴らしい取り組みをしているという評価を、心から喜んで受け取れるかというと、喜べない自分がいます。
この機会に、皆さんと改めて一緒に考えたいのは、ダイバーシティ&インクルージョンを進めることが「よいことをしている」ことなのだろうかということです。ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みは、正確に表現すると、私たちのこれまでの行動が無意識に誰かを傷つけてきた行為だったと気づくことなのではという考えに至りました。私はこれを誇りたくはない。ご理解頂きづらいと思うので、もう少しお話させてください。
この場を借りて謝罪します。
まず最初に過去の無意識な行動を謝罪しなければなりません。
ガイアックスは、2016年に、第一回LGBTへの取り組み評価「work with Pride PRIDE指標 2016」にて、最高評価の「ゴールド」を受賞しました。同性カップルにも「結婚祝い金」を給付、社内規定の見直しや性別不問エントリーシートといったこれまでの「LGBTフレンドリー」な取り組みなどを評価されての受賞でした。
研修の実施や規定など各種見直しは、社内の当事者や社外関係者による力添えのおかげでした。そしてそれを、当たり前のことだよねと進めてくださる社内の皆さんがいました。
しかし、このすぐあとに、このような受賞にふさわしくない事が社内で起こりました。そして、より深刻なのは、そのことに対して弊社として十分な対応がとれなかったことです。
数年前、社内で、LGBT当事者を傷つける発言や振る舞いがありました。その方は、その後に退職されました。この事には様々な要素が重なっており、もしかしたらそれだけが退職の理由ではないかもしれません。ただそれでも、差別に対して沈黙してしまい、適切な対応ができなかったことが一番の問題だと考えています。
その方は、ガイアックスは、それまでの取り組みのおかげでLGBTについて理解のある会社だと思ってご入社されたそうです。しかし、社内で働かれ、それは制度面のことであり社内の意識までではないことを実感されました。傷つけられ、会社に裏切られたという気持でいっぱいだったと思います。
私は、そのとき、労務を管掌する立場で、問題を認識していましたが、その時点ですぐに経営課題としてとりあげ、話し合いや研修を行うなどの対応ができませんでした。重大事案として対応するよりも、穏便にすませたいという気持ちで行動をしてしまったのです。今改めて振り返ると、会社として目指しているダイバーシティ&インクルージョンはこれで良いのか、所属している社員一人一人が本当にこれで良いと考えているのかを深く内省し、行動を少しずつ変えていく機会を損失してしまったと感じています。今回の受賞は、今後、過去の私のような過ちを起こさないために、ダイバーシティ&インクルージョンに関する取り組みを表象的なものにするのではなく、誰もが無意識に差別したり差別に加担したりする可能性があることを心に留める機会になったと考えています。
今回の私の発言に関して
受賞に際して、このような発言をすることは不適切かもしれません。しかし、過去も同様で、受賞しようが・表彰されようが、常に自分は差別をする側になる可能性があるという意識が重要だと実体験を持って感じています。
ダイバーシティ&インクルージョンはメンバーの創造性、幸福度に関係し、それはパフォーマンスに影響を与えます。SDGs、EDG投資の観点からも重要です。それは事実です。でも、だから、取り組むという話でもないと思います。組織全体として内省し、より良い状態を目指していくことが必要だと感じます。
だからこそ、なぜ、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組みたいのかを深いレベルで多くの方と分かち合いたいのです。
「ハインリッヒの法則」(1:29:300の法則)に基づけば、1件の重大事故の背後には、29件の軽微な事故、さらにその背後には300件の異常(ヒヤリハット)があります。
これに気づいていくには、皆さんと共に考えていく必要があります。
LGBTやD&Iは、価値観の変化という話ではない
LGBTやダイバーシティ&インクルージョンについて発言すると、”世の中の価値観が変化した”と耳にしますが、それも異なると思います。
これは、価値観の変化ではありません。今まで抑圧、抹殺してきた少数者の声、弱者の声にやっと気づいたということなだけです。今まで、傷つけ、声なき声として扱ってきたことに、気づきはじめただけのことです。
だから、このような踏み込んだ話なしに、ダイバーシティ&インクルージョンには取り組めないと思っています。今までの声なき声に気づくという認識をもって、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組みたいと思っています。
本日(2021/12/14付)の表彰式では、様々な企業の取り組みが紹介されました。その中でも積水ハウス株式会社様、株式会社メルカリ様のプレゼンは、取り組みはもちろんのこと、そこにどんな想いがあって取り組まれているのがよくわかるものでした。ミッション、ビジョンの実現の追求がダイバーシティ&インクルージョンの取り組みになるということを改めて痛感させていただきました。
まだまだどのようなことに取り組んだらよいのか模索中です。ぜひアドバイスや情報提供を頂けたら幸いです。
今回の認定からさらなるダイバーシティ&インクルージョンに取り組むにあたり、この言葉を忘れないよう、最後に記させていただきたいと思います。
最大の悲劇は、悪人の圧制や残酷さではなく、善人の沈黙である。
The ultimate tragedy is not the oppression and cruelty by the bad people but the silence over that by the good people.
キング牧師”
最後までお読み頂き、ありがとうございました。