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【ティール組織を知るならこの本】概要とガイアックスにおける取り組み

最終更新: 2023年11月10日

ティール組織とは、ベルギー人の著者フレデリック・ラルー氏が、原著である『Reinventing Organizations』の中で提唱した新しい組織理論の1つであり、世界中の組織を調査した結果、最近出現してきている新しい組織形態のことです。
2018年1月に日本語版『ティール組織ーマネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』が出版され、マネジメントの分野でダントツの売上1位を記録し、一般書籍を含むランキングでも上位を席巻しています。
ティール組織とは、これまでの旧来型の組織とは異なり、1つの生命体のようになり、「目的に向かって、組織の全メンバーがそれぞれ自己決定を行う自律的組織」という位置付けとなっています。
(※ティール組織に関して、詳しくは「ティール組織とは?意味から事例、注意点まで実際に導入しているGaiaxが解説」にて解説しています。)
ガイアックスは創業以来「個人のライフプラン」を大切にしており、ティール組織と位置付けされることも多くなりました。また、2019年には、フレデリック・ラルー氏が来日された際のイベントにて、代表の上田がサイボウズ青野社長とともに対談を行っております。
本ブログでは、ティール的な働き方を実践するガイアックスが、本書の内容をわかりやすく解説するとともに、なぜ今ティール組織なのか、また、ガイアックスが働き方において大切にしていることについてお伝えしていきます。

なぜ今、ティール組織が注目されるのか?

本書では、現代の多くの民間企業が採用しているマネジメント・組織のあり方を「達成型組織」として定義しています。達成型組織では、個々の自己実現よりも組織の目的達成が優先事項のため、メンバーの状態が軽視されることにもなりかねません。
一方、ティール組織では社長などの経営陣がメンバーの細かいマネジメントを行うのではなく、メンバー個人が自己実現を目指すことで生まれる大きな力を、組織全体の原動力として活用することがポイントです。組織を生命体のように捉え、個々のメンバーが影響し合いながら、組織として進化していきます。
約20年間コーチングに携わり、コンサルタント並びにプロフェッショナルコーチとしてUber、DeNAなど国内外の企業において自主自律型への組織変革をサポートし、組織のOSシフトに関わり続けてきた株式会社はぐくむの小寺さんはこのように語ります。

今年は新型コロナウィルスの影響もあり、多くの方々にとって働く環境や働き方が変化しているのを痛感している状況だと思います。リモートワーク、副業や複業、多拠点生活など、10年前や20年前では非常識だったことが、一部の人だけのものではなく、広がりを見せ始めていて、これからのニューノーマルになっていこうとしています。

企業に入れば安泰で、その企業の世界の中で守られ、「企業の人」でいるかぎり一定の生活が担保されていた時代から、より”個人”が問われる時代になってきたのだと思います。
企業に依存する生き方から、企業に囚われない個人としての軸を持った生き方へのシフトが起き始めているのだと思いますし、そうした自分が問われる時代の色が強まってきているからこそ、「自分が本当にしたいこと」をベースに働き方を考え、ライフデザインをしていくことが大事だと思います。
会社もそうした時代の流れの中で、従来の会社主体の管理統制型のマネジメント方法では行き詰まりを感じ始めていて、より時代にマッチしたマネジメントや経営のあり方を模索している段階にあります。その中に、ティール組織のような組織形態があったり、新しい組織のあり方を実現していく上で、社内コーチ制度が注目をどんどん浴び始めてくると考えています。

社内コーチの働きかけが、他律型から自律型へと組織を突き動かす
以下に、「ティール組織」という組織形態について、より理解を深められるよう、本の概要をまとめていきます。ティール組織に至るまでの5つの過程を紹介しつつ、ティール組織の3つの特徴について触れていきます。

【ティール組織を知るならこの本】概要とガイアックスにおける取り組み

「ティール組織」について学べる本

『ティール組織ーマネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』

  • 本のタイトル
    • ティール組織ーマネジメントの常識を覆す世代型組織の出現
  • 著者
    • フレデリック・ラルー氏
  • 本の内容
    • ティール組織に至るまでの過程、ティール組織の特徴

本書は、マッキンゼーで10年以上の期間、組織変革プロジェクトに関わった著者によって執筆されています。筆者は、世界中の組織や、ロールモデルについて研究を重ねる過程で、「ティール組織ーマネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現」を発行しました。
本書にはティール組織の特徴と、1つの組織がティール組織へと進化する過程が掲載されており、世界17カ国で60万部を超えるベストセラーとなっています。

ティール組織になるまでの組織形態の進化

【ティール組織を知るならこの本】概要とガイアックスにおける取り組み

上図は、ティール組織になるまでの「組織形態の進化」を図にしたものです。上図の1番外側が「ティール組織」であり、ティール組織は組織の最終進化形態となっています。
ティール組織に至るまでの過程を五重の円にして、本の執筆者であるラルー氏は、それぞれの円に以下の色付けをしました。

  • レッド
  • アンバー(黄色)
  • オレンジ
  • グリーン
  • ティール(青色)

ラルー氏は、それぞれの段階にメタファ・特徴を付けています。それでは、1つの段階毎に詳しく内容を解説していきます。

レッド型

レッド型は、力によって支配された組織です。ある個人の力により支配されており、問題を解決するために、殴るなどの暴力が行われます。従って、レッド型は力で人を屈服させることで、すぐに物事の意思決定が可能となります。
つまり、明日生きるために必要な行動をリーダーが決定できる体勢です。動物で例えると、ライオンのリーダーが意思決定権を持ち、他のライオンが従うという組織体勢に近いとも言えます。
レッド型のメリットは、1人のリーダーの意志によって組織を動かせる点です。判断が必要な時にすぐ行動を取ることができますが、他の人の意志が全く反映されない点がデメリットと言えます。
レッド型は、5つの円の中で荒々しく、最も原始的なアプローチをとる組織形態とも言えるでしょう。

アンバー型

アンバー型は、上下関係によって行動する組織です。軍隊の階級制度のように、ヒエラルキーが高い人間から、階級の低い人間に対して命令が行き届きます。1人の人間からそれ以外の人間へ命令が届くレッド型と比べ、命令を指示する人間が多くなります。従って、レッド型よりも多くの人数を統率可能です。
アンバー型は、より多くの人間を統率できる点がメリットですが、上下関係により支配されているため、階級が低い人間は評価されない点がデメリットとなります。
また、「短期的な意思決定」をするレッド型に比べると、組織の「中長期的な意思決定」をすることがアンバー型の特徴だと言えるでしょう。

オレンジ型

オレンジ型は、実力主義の組織です。組織内において上下関係がありますが、成果を出せば出世することが可能になります。アンバー型のように、軍隊のような厳しさはありませんが、個人による競争が激しくなった組織です。つまり、頑張って出世できるメンバーと、そうでないメンバーによって経済的な格差が生まれます。また、上司から認められるために、機械的な作業をする必要も生じます。
オレンジ型のメリットは、競争型組織のため、実力のある個人が出世できる点です。しかし、出世できなかったメンバーはモチベーションを失う点がデメリットとなります。
オレンジ型は、実力主義の組織で、出世できる人間が幸せになれる組織と言えるでしょう。

グリーン型

グリーン型は、個人の主体性や多様性が大事にされる組織です。組織内で一緒に働くメンバー同士がお互いのことをニックネームで呼び合うなど、仲間意識が強く、お互いのことを尊重し合う特徴があります。
また、オレンジ型までは階級が高い人間が意思決定をしていたことに対し、グリーン型ではメンバーが話し合って物事をします。1人1人が意見を出し合い、認め合うことによって、自己肯定感が高まるだけでなく、組織への貢献精神が強くなります。
グリーン型のメリットは、お互いを尊重し合うため意見しやすい点です。しかし、意見を大切にするため、意見がまとまりにくいというデメリットがあります。また、組織のトップである社長の権力によって、部下の意見が無効化される可能性があることも欠点です。
グリーン型は、オレンジ型よりも意見しやすい風通しの良い組織ですが、意思決定までに時間が必要な組織と言えるでしょう。

ティール型

ティール型は、1人1人が意思決定権を持っている信頼で繋がった組織です。グリーン型までの階級制度や上下関係がないため、メンバー1人1人が自由に発言し、組織に影響を与えることができます。社長によって意思決定されることが多いグリーン型と異なり、メンバー全員が意思決定の可能性を持っている特徴があります。
しかし、個人に意思決定が委ねられるシーンが多いため、メンバーにはセルフマネジメント力が求められるようになります。つまり、個人の働き方や、仕事への向き合い方が重要ということです。
ティール型のメリットは、メンバーの主体性が強くなる点ですが、セルフマネジメント力がないといけない点がデメリットとも言えます。個人の仕事への取り組みを改善するために、ミーティングや会議などの場を設けることも大切です。
ティール組織は、組織が掲げる社会的使命を意識しながらも、自分が本当にやりたいことは何か、今自分ができる最善の行動は何か、などを考えることで組織も自分も成長できるという仕組みです。
以上が、レッド型〜ティール組織までの説明となります。さらに詳しく知りたい方は、「ティール組織の色とは?他4つの組織との違いも解説します」の記事も参考にしてください。

ティール組織の特徴

【ティール組織を知るならこの本】概要とガイアックスにおける取り組み

ティール組織には、以下3つの特徴があります。

  • セルフマネジメント
  • ホールネス
  • 存在目的

それぞれについて、1つずつみていきましょう。

ティール組織の特徴①:セルフマネジメント(自主経営)

まず、一つ目のキーワードはセルフマネジメント(自主経営)です。これは、ヒエラルキーの意識を手放し、1人1人が意思決定できるフラットに近い組織構造を持つことです。また、レッド〜グリーンの組織の意思決定の方法は「上司に承認をもらうか」「会議にかけるか」の主に2つです。
しかしティール組織では、この2つはほとんど使われていません。
代わりに使われているのが「助言プロセス」というもの。助言プロセスとは、全ての物事について、全員が自身で決める権利があり、誰かに承認をもらう必要もない。ただその前に、専門性の高い人や、自分の意思決定に影響を受けそうな人にアドバイスを求め、アドバイスが返ってきたら真摯に配慮をする、というものです。これを実現するためには、経営情報が完全に透明化されている必要があります。

ティール組織の特徴②:ホールネス

次に、ホールネスです。これまでの一般的な考え方では、職場は「効率的に物事を処理する場所」と捉えられてきました。
ホールネスな状態で働くとは、会社で働く「オン状態」と自宅で過ごす「オフ状態」の違いをなくすということ。1人1人の心の鎧を解き、安心安全な職場を作り出すことです。
ホールネスな状態になると、メンバー同士が本音で語り合うことができ、お互いの信頼感が高まります。また、ありのままの自分で業務に取り組むことで、それぞれのメンバーがイキイキとし始め、本来持っている能力を発揮することにつながります。

ティール組織の特徴③:エボリューショナリー・パーパス(存在目的)

3つ目は、存在目的です。ティール組織では、未来を見据えて「日々進化」しています。長期的な計画を視野に入れながらも、会社の在り方を考えつつ、その瞬間瞬間を大事に、積極的に新しい課題にチャレンジしています。
ティール組織では、一人ひとりが存在目的を意識することで、目的を達成するための行動を取りやすくなります。メンバーそれぞれが何をすべきか?と真摯に考え実践することで、組織や人材としての力を最大限に発揮することができます。

ティール組織の2つの形態

ティール組織には、2つの形態があります。1つは「社長や役員の影響が少ない」パターン、もう1つは「社長や役員の影響がない」パターンです。
前者は、組織の中で社長や役員というポジションが存在しますが、あまり組織の経営に影響しません。特にこのパターンは、「セルフマネジメント」に力を入れているため、経営への影響が少ないです。社員一人一人が意思決定権を持っているため、社長や役員に依存していない状況とも言えます。
後者は、社長や役員のポジションはあるものの、組織内での影響はありません。つまり、肩書きとして「社長」のメンバーが存在しても、社長としての役割はないということです。この状態を「ホラクラシー」と言います。ホラクラシーとは、組織内において上下関係が全くなく、意思決定が個人やチームに委ねられている状態のことです。
ティール組織には、セルフマネジメントに力を入れて「役員や社長の影響力を薄めるパターン」と、ホラクラシーを取り入れて「役員や社長の影響力を0にするパターン」があります。

ガイアックスにおける取り組み

ガイアックスは「ティール組織になること」を目指してきたわけではありません。
創業以来、メンバーの一人ひとりが自らのライフプランを大切にできるように環境を作ってきており、それらがいろいろな働き方の革新を実現してきました。その結果、近年はティール組織と位置づけされることが増えてきました。
ガイアックスでは、働き方において以下のような取り組みを行っています。

  • フルリモート勤務
  • 四半期ごとのコーチングプログラム
  • 報酬は自分で決める
  • 副業が自由
  • メンバーの満足度の社外公開
  • カーブアウトオプション制度
  • 社内コーチ制度

このように、ガイアックスでは一人一人のメンバーが、自分自身のライフワークやライフプランをじっくり確認することを大切にできるようなサポートを行っております。
ガイアックスの働き方における取り組みについて、具体的に知りたい方はこちらをご覧ください。
また、2019年7月27日に開催された、新公益連盟様が主催するソーシャルビジネス経営者合宿「こころざし」では、ガイアックス代表執行役の上田が登壇の機会をいただきました。その中で上田はこのように語ります。

働くスタイルや給料も個人が決めているので、もはや隣の人が週何日働いて、いくらお給料をもらっているのかもわかりません。「どこまでが社員なのかが分からない」という状態になっています。
このように、ガイアックスは中と外とのボーダーがどんどん溶けてしまっている会社です。

中途半端にマネージメントしに行って 「角を矯(た)めて牛を殺す( 小さな欠点を直そうとして、かえって全体をだめにしてしまう例え)」みたいな事になっても、しょうがないんだと。「もう1人1人が、飛び抜けることを目指してよ!」みたいに思っているので、1人1人が訳のわからないこと言っていれば言っているほど、ホッとするって感じですね。

『「ティール組織」これからの新しい組織論・強い組織の在り方 〜ガイアックスからみる、組織のパラダイムシフト〜』 「こころざし!2019」対談レポートVol.2

ティール組織に興味を持った経営者の方は

組織の変革に伴走します

今回はティール組織についてご紹介してきましたが、「組織の変革に興味はある。とはいえ、何から始めたらいいのだろう…?」という方もいるのではないでしょうか。
いざ組織の変革をするとなると、大変なエネルギーが必要になります。
そこで株式会社ガイアックスでは、株式会社はぐくむと共同で自主自律型組織への変革に伴走するコンサルティングサービスを立ち上げました。
上場企業として自主自律型の組織運営をしてきたガイアックスと、国内外の企業において自主自律型への組織変革をサポートしてきたはぐくむの経験が手を取り合い、自主自律型組織への変革に伴走します。
担当コンサルタント/ファシリテーターには、株式会社はぐくむ代表取締役の小寺毅さんをお招きしております。小寺さんはこれまでにUber、DeNA、Gaiaxなど国内外の企業において自主自律型への組織変革をサポートしており、書籍『奇跡の経営』で知られ、『ティール』でも触れられているブラジルのセムコ社が、自社の経営スタイルを広めるために運営している「セムコスタイル・インスティチュート」が認定している日本には数人しかいない認定コンサルタントでもあります。
ミーティングへのファシリテーター派遣や社内コーチの育成・導入についてなど、各種ご相談を受け付けております。まずは、お気軽にご相談ください。
ガイアックス × はぐくむの自主自律型組織変革コンサルティング


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