私たちガイアックスは、“使命で動く” というPhilosophy (経営哲学/企業理念) を持っています。使命で動くとは、世の中の課題を自分ごととして捉え、ビジョンや問題意識を打ち出し、ムーブメントを生み出すことで社会を巻き込み実現すること。そんなガイアックスメンバーの様子を連載で紹介していく「使命で動くシリーズ」をご覧ください!
今回インタビューしたのは、COO経験を持つ松坂颯士さん
CtoCで体験シェアサービスを提供しているTABICA事業部(現aini)でのインターンを経て、2018年にガイアックスに新卒入社、ガイアックスの投資先である株式会社シェアグリでCOO(Chief Operating Officerの略。 最高執行責任者)経験を持つ松坂さん。2019年に事業として独立したシェアグリは、ガイアックスが出資するスタートアップの1社。COO職になると、社内でどのような役割を担うのでしょうか。シェアグリを支える松坂さんに伺いました。
松坂颯士
2016年5月にGaiaxにインターンとして入社。TABICAで営業マネージャーや行政・法人提携を担当。立ち上げ期の一員として、2年半従事する。その後2018年10月よりSTARTUP STUDIOで複数の事業検証と企画、リサーチ、投資先の出向・支援を行う。その後シェアグリの取締役COOとして、組織マネジメント・バックオフィス・採用関連も経験。
最初は誰もが初心者。目の前に現れたチャンスの中で一流になる
就活を辞めてでもTABICAにコミットしたかった
ーガイアックスにおける仕事の変化についてお聞かせください。
〜松坂さんの仕事遍歴〜
- 2016年5月〜2018年3月 TABICAにて長期インターン
- 2018年4月 ガイアックスに新卒入社 TABICAへ配属
- 2018年 10月 スタートアップスタジオへ異動 新規事業の企画・開発 投資先支援
- 2019年 10月 ガイアックスの投資先である、株式会社シェアグリへジョイン
ガイアックスのインターンは「就活に有利になるかな」程度の気持ちで、大学3年生の5月に始めました。当初、インターンは3ヶ月程度で転々とするものだと思っていました。インターンを始めたTABICAでは、主に農業体験のプロデュースと地方創生の案件を担当しており、地方でTABICAのサービスを導入を進めるために、補助金・助成金を活用しながら事業を進めていました。
割と軽い気持ちで始めたインターンですが、当時のTABICAは組織ができたばかりだったため、自分の取り組みが成果に直結しやすかったです。加えて、インターンという立場を超えて自分のスキル以上のポジジョンを任せてもらえたこともあり、自分の成長をたくさん感じられたことが非常に楽しかったですね。
当時は就活で面接を受けることよりも、ガイアックスで仕事をすることにワクワクしていました。今思うと、仕事を言い訳にして就活で自分の未来について考えないようにしていたとも思いますが(笑)。ただ、その当時は就活を辞めてでもコミットしたいTABICAの仕事があったので、大学4年の4月に就活を辞めてガイアックスへの入社を決めました。
ーシェアグリで働くことになった経緯を聞かせてください。
TABICAの後は、ガイアックスのスタートアップスタジオにて事業検証をしていました。ただ、1年経ったタイミングで事業の難しさを感じ始めたのもあり、事業検証の動き自体が止まっていたんです。事業検証以外にもスタートアップスタジオのイベント運営や、スタートアップスタジオで立ち上げようとしている事業の支援も始めたりと、何か1つの取り組みには集中していなかったからか気持ちがどこか浮いている感じがしていました。
同じタイミングで、すでにガイアックスの投資先であったシェアグリがガイアックスから追加投資を受けられる判断をもらい、会社の経営陣を固めつつ外部からも資金調達をしようとしていました。その時にシェアグリCEOの井出から「一緒にやりましょうよ!」とお誘いを受けたんです。その時点では井出との間に強い関係性はなかったのですが、自分がTABICAでやってきたマネジメントや組織づくりの経験を必要としてくれて、僕に声をかけてくれたと思っています。
ただ、当時は自分のキャリアを進めていきたい方向が明確ではなく、「本当に農業の領域でいいのだろうか」と、シェアグリにジョインすることをすぐには決め切れませんでした。
ー何がきっかけとなって、シェアグリへの異動を決断できたのでしょうか。
最終的には、シェアグリのお誘いに対して「これはチャンスなんだ」と直感的に感じたからです。お誘いをもらってから2週間ほど空白の時間を作り、自分のキャリアについてじっくり考えてみました。その際に、「20代はもらったチャンスに飛び込んで専門性をつけていこう」という考えを先輩たちから聞いて、そこに納得感を強く得て。「どんなことをしようと最初は初心者。だからこそ、今自分がもらったチャンスの中で一流になればいい」と思えたら、自分の中で異動の決心がつきました。
当時のシェアグリは売り上げが立っておらず、ビジネスとしては芽の状態。他の選択肢もたくさんある中で、最終的にはロジックではなく直感でシェアグリに行くことを決めました。たまたま自分が立ち止まっている時期に誘ってもらえたからこそのチャンス。他に何か夢中になっていることがあったら、シェアグリに入ることにはならなかったと思います。
突出した部分がない自分だからこそ、「参謀役」のCOOがマッチした。
事業のボトルネックを探し続ける
ーシェアグリと松坂さんの現在のお仕事についてお聞かせください。
今メインで取り組んでいることは、農繁期に特化した外国人人材のスポット派遣サービスです。代表の井出は営業や広報、CFO(Chief Financial Officerの略。最高財務責任者)の岩間は財務や労務といったコーポレート業務を担当しており、僕はそれ以外で穴の開いたところや、その状況で必要となることに注力しています。事業を伸ばす観点で営業の仕事にも取り組みますし、外国人派遣スタッフの採用もします。さらに、組織作りの観点からは人事採用やチームのマネジメントなど、ありとあらゆる経営課題に取り組んでシェアグリを支えるのが僕の仕事ですね。
ーCOOとしてスタートアップの経営に携わる魅力とは何でしょうか?
経営の目線を持ちつつ現場を回す実務面のスキルが手に入れられるいいとこ取りが最大の魅力ですね。直近、シェアグリは次のラウンドが見えてきて、追加で資金調達をしていく段階になってきました。「会社をどう成長させていくのか」「どんな市場で戦っていくのか」を経営陣で一緒になって経営の目線から考えられていることが学びになっています。
一方で、事業のボトルネックになっている部分や重要度の高い案件に入ったりと、常に自分がいるべき場所を探すような働き方もしているので、現場で戦い抜く経験も同時にできています。役割が多い大変さもありますが、それがゆえに多方面のスキルを吸収できることこそ、COOとしてスタートアップで働く魅力だと思っています。
ーCOOだからこそ感じる仕事の難しさはありますか?
人材領域で事業をやっているからこそ「人を雇う事は難しい」とつくづく感じています。事業拡大に合わせてともに未来を創るメンバーを募集しているのですが、スタートアップだと求人媒体に求人を出したとしても応募が簡単に来ないのが現実。応募してくれる人がいたとしても、「シェアグリにどんな未来があるのか」「我々のビジネスがなぜ勝てるのか」を応募者の方に理解していただくプロセスにも一苦労です。会社側としても「こういう人材がいい」「こんなスキルを持っている人が欲しい」という希望があるので、応募者と会社がマッチングすることはやはり一筋縄ではいかないですね。
加えて、会社として採用に意識を投下していくことの難しさも感じています。まだ会社全体で10名程度の組織なので、採用して人をドンドン増やしていこうという流れは生まれていないですし、スタートアップはどうしても事業を作る方に意識と時間が取られがちだと感じています。とはいえ、事業が伸びてきたら人手が足りなくなり、事業が回らなくなることもあります。採用は動き出してから実際に採用できるまで時間がかかるので、予め先行して動いておく必要がある。未来の計画を作る立場にいるからこそ、事業計画から逆算して採用活動をいつから始めるかを、僕から提案して話し合うようにしています。
ガイアックスで働く中で気づいた「参謀」としての資質
ー事業全体のバランスを見ながら動く。まさに「参謀役」ですね。
僕は突出して何かに秀でている訳ではなく、良くも悪くもバランスがいいタイプ。ただ、いろんな方面でバランス良くこなせるからこそ、全体を俯瞰しながら事業を進めていけることを、ガイアックスで働く中で気づけました。
ガイアックスには強い思いを持っている、あるいはハッキリとやりたいことがあるような尖った人材が多いと感じています。そんな人たちがいる中でも、TABICAでのインターン経験と全体を俯瞰して見れるバランスの良さを買われて、自分は採用してもらえいたんじゃないかなと。ガイアックスへの内定をいただいた時に「松坂さんはバランスがいいタイプだから何でもこなしていける」とメッセージをいただいたり、実際にTABICAやスタートアップスタジオ、シェアグリでCOOとして働いたりする中で、「参謀」としての自分の資質を理解できるようになりました。
大義がないと、長くは走れない
短期間を走りきったとしても、キャリアと事業は続いていく
ー松坂さんが働く中で大事にしている価値観をお聞かせください。
TABICAでのインターンを通じて感じた「大義がないと、長くは走れない」ということを大事にしています。TABICAで働き始めた最初の半年は、とにかく成長したいと思ってがむしゃらに働いていたので、ひたすら数字を追いかけて走っていました。半年間は頑張れたのですが、次の半年の目標を考えるタイミングで、何かがプツんと切れた感じがしたんです。心が折れたわけではなかったですが、どこか仕事に身が入らず、エネルギーを失った感じでした。その時に、数字だけではない大義がないと、短い期間しか走りきれないことに気がついたんです。どんなに短期間を全力で走りきったとしても、自分のキャリアや事業はその先も長く続いていくもの。長期的に走っていけるためにも、大義を持つことを大事にしています。
ー松坂さんの大義はどのようなものがあるのでしょうか。
「20代で専門性を身に付けて、その培ったもので30代は新たな価値を創り出していきたい」という思いはありますが、自分の中で明確な大義があるとは思っていないんです。ガイアックスには自分のミッションを持つことや、自分のライフプランを決めて歩んでいくことを重要とするカルチャーがありますが、僕は未来からの逆算でなく、現状からの延長線上で考えるタイプです。なので「まずは稼いでからでしょ」という感覚が強く、5年〜10年先を考えてもしょうがないと思ってしまうタイプです。とはいえ、大義を持つことの重要性を耳がタコになるまで伝えられたり、TABICAで大義の必要性を感じた経験もあって、ようやくその必要性に気がつけました。
大義の必要性すら気づけていなかった時の僕は、自分がただ成長したいと思うような独りよがりな状態だったと思います。でも、ビジネスにおいて独りよがりな状態で出せるインパクトはとても小さいもの。大義の必要性に気づけたことで、今では他者と協力してビジネスを進めていく重要性を当たり前のこととして感じられているのは、大きく変化した点だと思っています。
ーこれからチャレンジしてみたいことについて聞かせてください。
個々人がそれぞれのチャレンジをして、充足感を持って日々を生きる人が世の中に増えたらいいなと思っています。そういった人たちがチャレンジするプロセスが自ずと社会貢献になっていきますし、僕自身も充足感のある生き方を体現する人でありたいなと。
事業面では、スタートアップに経営陣として飛び込んでいるからこそ、直近2〜3年は会社の経営を上場を見据えるところまで伸ばすことに100%集中していきます。その先は、シェアグリでの経験を生かして次のステージに登っていきたいですね。
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自分の在り方を変えた。前を向いて走るだけじゃわからなかったこと。
松阪さんがGaiaKitchen(ガイアックスの社員総会)で行ったプレゼンテーションをご覧いただけます
インタビュー・ライティング 宇田川寛和
編集後記
ただ長く走るのではなく、大義を持って長く走る。つい短期的に全力で走ってしまう時に、自分の大義について立ち止まって考えてみることが大切だと強く思いました。シェアグリのCEOである井出くんは昔からの知り合いなのもあり、ずっと応援していきたい事業なんです。松坂さんが牽引するシェアグリの今後が楽しみです!