私たちガイアックスは、“使命で動く” というPhilosophy (経営哲学/企業理念) を持っています。使命で動くとは、世の中の課題を自分ごととして捉え、ビジョンや問題意識を打ち出し、ムーブメントを生み出すことで社会を巻き込み実現すること。そんなガイアックスメンバーの様子を連載で紹介していく「使命で動くシリーズ」をご覧ください!
今回インタビューしたのは、ブランド推進室のNatalia Davydova(ダビドバ・ナタリア)さん
エンジニアとしてガイアックスに入社したナタリアさんは、多くのチャレンジを通してウェブデザイン・イラストレーション・3Dモデリングなど様々なスキルセット(*)を身につけ、社内外で活躍されています。
ガイアックスの中でもマルチスキルと呼び声が高いナタリアさんの使命とは?また、スキルセットを持つことの重要さ、仕事へのアプローチの仕方についてもお聞きしました。大きく時代が変化している今、最も大切なスキルセットとは一体どんなことなのでしょうか?
(*)スキルセットとは、職種・役職によって必要とされる知識や能力のこと。
ダビドバ ナタリア
ブランド推進室 ブランディングディレクター
2000年、株式会社ガイアックスに参画。エンジニア、デザイナー、クリエイティブディレクター、マーケターとして、数々のプロダクト創出に携わる。2015年より、ガイアックスグループ全体のリブランディングキャンペーンを発足させ、ワークスタイル制度改革とともにNagatcho GRIDを創設。Nagatacho GRIDは、ガイアックス社員とグローバルかつ多様なコミュニティメンバーが協働するためのコラボレーションプラットフォームとして機能するもので、特に、社会イノベーションにフォーカスしながら、アジャイルなライフスタイルの啓蒙促進、マインドフルネス、起業家精神など各種イベントのプロデュースを手掛けている。
スキルセットは自律的に生きることを助ける
目の前にある課題に対して、どうにかして貢献したい
ー まず、ナタリアさんの使命について教えてください
ナタリア:「使命で動くシリーズ」の他のメンバーのブログを読んでいると、「ミッション」について語っている人が多いですよね。私の場合の「使命」は「ミッション」とは少し違っていて、「責任」の方が合っていると思います。
私は自分に知識やスキルがあるのに、課題に対して何もしないことが一番よくないと思っているんです。相談を受けたら何かしらの提案をしたいですし、時間やお金を使ってどうにか解決したいと思っています。もし相談を受けた時点では自分にとってわからないことだったとしても、後から調べて解決策を考えます。「I don’t know」と言うことに対して罪悪感があるのでしょうね。助けになりたいという思いは悪いことではないと思っていますが、時にはやりすぎて「何のためにやっているんだっけ?」と疲弊してしまうこともあります。そこのバランスを取ることが私の人生の悩みなんです(笑)。
「自分の力でいろんな経験をしたい」様々なスキルを身につけてきた背景とは
ー これまでのどのようなスキルを身につけてきたのでしょうか?
ナタリア:シスアドミン(システム管理者)やプログラミングから始め、ウェブデザインと構築・アバターとゲーム事業周りのイラストレーション・3Dモデリング・アニメーション製作、動画の撮影や編集、空間やイベントプロデュース、翻訳とコピーライティングまで色々やってきました。マーケティングと海外営業も経験したことがあります。仕事の中でどんどん新しいチャレンジをして、その度に新しいスキルを学んで身につけてきました。
ー 「助けになりたい」という責任感はいつ頃から感じていましたか?
ナタリア:小さい頃から感じていて、私がソ連に生まれたことが強く影響していると思います。9歳の頃に国が無くなり、私の家族も多くの苦労を経験しました。厳しい状況の中で私は本を読んだり絵を描いたりして、想像力を使って現実から逃避していたんです。シェイクスピアやデュマなど、もう読んでいない本は存在しないというくらいたくさんの本を読みました。そして本から他の国のカルチャーや物語を学び、いつか私も実際に様々な経験したいと思うようになりました。できるだけ多くのことを学んで経験して、他の人に依存せずに自分の力で行動できるようになりたかった。それは親族の女性達の生き方を見ていても感じることでした。父方の親戚の女性は、人から与えられることを当然のことと思っており、男性に頼って生活をしていました。国が無くなり生活が揺れ動く中で、翻弄されるしかない彼女達の姿を見て、私は自立した生き方がしたいと思うようになったんです。
一方で母方の親戚の女性達は、全ての時間を人のために使っていました。素晴らしいことではありますが、私はそれだと自分の人生を十分に楽しめないのではないか、とも感じていました。
もう1つ、私は父をとても尊敬していて、父に誇りに思ってもらいたいという気持ちをずっと持っていました。父はすでに他界していますが、知識や経験が豊富で、自分の好きなことをして人生を100%楽しんでいるとても魅力的な人だったんですよ。
「最初は何もなかった」チャレンジできる環境で貪欲にスキルセットを身につけてきた
ガイアックスと出会った頃、仕事に必要なスキルはゼロだった
ー ナタリアさんが日本へ来たのは、ガイアックスに入るためだったそうですね。どのような経緯でガイアックスへ入社したのでしょうか?
ナタリア:私の父は貿易関係の会社を経営していたのですが、私が大学を卒業したら父の会社で働くと思っていたようです。でも、私は自分のいただくお給料が本当に自分の能力によるものなのか、娘だからなのか、わからないのは嫌だと思っていました。だから独立の道を探していたんです。そこから大学生と海外の企業をマッチングする団体であるAIESECに入りました。そして、AIESEC経由でガイアックスからインターンの募集が来たんです。
当時の私は日本語も話せないし、日本の文化も知らないし、プログラミングの知識もありませんでした。ただ、「尊敬する父を驚かせたい」という思いが強かった私にとって、ガイアックスでのインターンの話は自分にぴったりだと思いました。
独学で勉強してインターンのためのテストに受かり、21歳でガイアックスへ来ました。
ー それは大きなチャレンジですね。ナタリアさんが日本へ行くと知り、お父様は驚いていましたか?
ナタリア:驚いていましたし、周りの人に自慢をしていました(笑)。父を驚かせたいという思いが叶いましたね。父が亡くなった時にはロシアへ行き、「絶対に悔いのない人生を過ごすよ」と約束しました。
直感力と学ぶ力があれば、スキルは後から身につけられる
ー インターンとしてガイアックスに入った時にはどんなスキルがありましたか?
ナタリア:仕事に役立つスキルは本当に何もなかったんですよ。日本語も話せないし、プログラミングもできない。でも、私にとって一番大きなスキルは直感なんです。直感は人にとって最も重要なスキルだと思っていて、当時から空気を読む能力や直感、柔軟性や調整する能力は持っていました。昔も今も感じているのは、私にそれらのスキルがある限り、世界が変わっても生きていけるということ。
仕事に役立つスキルがない状態でガイアックスに入り、そこから色々なことを勉強してすぐに仕事で実践して、どんどんスキルを身につけてブラッシュアップして…ということを繰り返してスキルを磨いてきました。今後もし他の会社に入ったり自分の会社を作ることになっても、直感や学ぶ力があれば仕事に対して必要な知識はいつでも・いくらでも勉強できると思っています。私はインプットが大好きなので、今でも毎日何かしら勉強したり本を読んだりしています。
生きて行く上で「何があっても大丈夫」という自信があることが大事だと思っていて、私は自分の人生を通して揺るがない自信に溢れた状態になることを目指しているのかもしれません。
やりたいことはガイアックスの中で全てできる
ー ナタリアさんは約20年間ガイアックスにいますが、長く居続けるのには何か理由があるのでしょうか?
ナタリア:幼い頃から何もないところから何かを作ることがとても好きで、これを私の個人的なスポーツだと捉えています。例えばNagatacho GRiDを少ない予算でお洒落にしたり、少ない素材で綺麗なウェブサイトを作ったり。私の「作りたい」とガイアックスの「作ってほしい」がマッチングしたのでしょうね。
ガイアックスでは自ら動く人や色々と学びたい人を求めていて、そのための勉強環境は整えていました。もともと独立したいという思いからガイアックスに入りましたが、会社を退職しなくても、会社の中でやりたいことを全てできるから長くいるんです。エンジニアとして入ってからデザインの仕事にシフトして、その中でもウェブ制作だけではなくアニメーションやグラフィック、イラストやゲームや動画制作など、やりたいと思うことは全てできました。
やりたいことにチャレンジして、そこからさらに新しいものが生まれて行くのがガイアックスだと思っています。
ー 現在はガイアックスでどのような業務に携わっていますか?
ナタリア:今はブランド推進室のリーダーとしてコーポレートブランディング戦略を担当しており、そこの責任が一番大きいです。また、クリエイティブディレクターとしてガイアックスが出している全てのウェブ・動画・写真などをディレクションしたり、実際に作ったりしています。そして、Nagatacho GRiDでのイベントの企画や運用もブランド推進室で行っています。
リーダーとして、メンバーの人生に与える影響を考えていきたい
ー これからチャレンジしたいことはありますか?
ナタリア:次のチャレンジは他の人の人生に責任を持つことです。
私が1番得意なことは、クリエイティブなスキルを使って何か役に立つものを作ったりデザインすることだと思っていて、その得意技を生かすことに対しては強い思いがあります。
でもリーダーになった今は、人に対する責任がその上に重なっている感じがしているんです。
何もスキルがなかった入社当時に比べ、今ではかなり自分のことは自分でできるようになりました。ただ、今は私には家族や子供がいて、ガイアックスの中でも他の人に対する責任を感じるようなポジションにいます。これまでは自分のことだけを考えていましたが、他の人のことや会社のことも考えなければいけないという責任があります。自分に対しては間違えてもいいけれど、他の人に対して間違えたことをしたくないという思いが強いです。
人はそれぞれが自分で人生のデザインをするもの、とは思っているんですけど、仕事の方向性を変えることによって関わる人の人生が変わるとも思うんです。だからあらゆる可能性を考えて、私自身が責任を持って決めないといけない。ともするとメンバーや会社に負担をかけてしまうことにもなるので、なるべくいい影響を与えられるような決断をしたいと思っています。
様々な経験をして、様々なスキルセットを身につけてほしい
やりたいことを最後までやり切る責任を持つ
ー ガイアックスにおける「自由」と「責任」についてはどのように感じていますか?
ガイアックスは、何でもありという会社です。「自由」という言葉には人それぞれのイメージがあると思いますが、ガイアックスでは自由=Easyということではありません。何でもありですが、自分自身で動かないといけないハードな環境です。デザインがやりたければできますが、その仕事に責任を持って、結果として誰かに役立つことが必要です。
私の場合は自然と強い責任感を持っていたので、ぴったりな環境でした。デザインがやりたいと手を上げた時はデザイン部署を作り、事業に役立つような仕事を作りました。Nagatacho GRiDのクリエイティブ周りを任された時には、オフィスの移転やインテリアデザインについて知識も経験もありませんでしたが、「任されたからにはやらなきゃ」という思いが原動力になりました。勉強したり、他の会社のやり方を学ばせてもらいながら形にしていったんです。
責任感は使命と繋がっている
ー もともとガイアックスの「使命で動く」という企業理念を考えたのはナタリアさんだったそうですね?
ナタリア:そうです。もともと「使命で動く」よりも先に「IGNITING RESPONSIBILITY」というスローガンが出来上がっていました。これはガイアックスのミッションである「Empowering the people to connect ~人と人をつなげる」を実現するための方法として生まれました。それを日本語にするとどうなるのか?と議論した結果、「責任」は自分のミッションやパーパス(意図・目的)から出てくるので、日本語で「使命」という言葉を使うことにしました。自分のパーパスに従って、責任を持って動くこと。そこから「使命で動く」という言葉になりました。
たくさん経験して、失敗もして、悔いのない人生を!
ー チャレンジを続けるナタリアさんから、メッセージをお願いします。
ナタリア:たくさんの間違いをしてください。自分の体で色々なことを体験して、できるだけ多くのことを学んでください。
私の好きな言葉に「Life doesn’t owe you any favors」というものがあります。人生において誰かや何かに期待するのではなく、自分で動いたほうが後悔のない人生になると思っています。間違えたとしても、できる限り全てをやってみること。色々なことを体験することで好きなことや目的は見つかると思いますし、万が一その仕事がAIに取って代わられてしまったとしても、他のスキルがあれば生きていけます。そういう自信がつくまで、多くの経験をするのがいいと思います。できるだけ色々な場所に行き、いろんな人を見て影響を受けてください。たくさんの経験をしておけば、予想外のことが起こったとしてもあまり慌てませんし、もし失敗したとしても立ち直る方法を学ぶことができます。だから失敗することを恐れずに、様々なことを経験してほしいと思っています。
ー ナタリアさんの経験してきたことやメッセージから、たくさんの勇気をいただきました。ありがとうございました!
インタビュー・ライティング:黒岩麻衣
編集後記
新しいことにチャレンジするときは恐れや不安が湧くこともありますが、失敗もひとつの経験になるだけなんですね。背中を押していただきました!