そんなガイアックスメンバーの様子を連載で紹介していく「使命で動くシリーズ」、今回はメンバーにガイアックスの「自由と責任」について思うところを話してもらいました。ご覧ください!
今回インタビューしたのは、株式会社オクリー 代表取締役社長の 山口諒真さん
ガイアックスに入社して、わずか1週間でスタートアップスタジオから、株式会社オクリーを起業。ベンチャーに入社してから異例のスピードで起業をし、自分の使命ど真ん中で挑み続ける山口諒真さん。どのような使命を持ち、起業してからどのような葛藤を抱えてきたのか、山口さんのリアルな今の気持ちに迫りました。
山口 諒真
ガイアックス19卒入社。株式会社オクリーCEO。あこがれの有名人からビデオメッセージが届くサービスを運営。学生時代はトビタテ!留学JAPAN、MAKERS UNIVERSITY、G1カレッジなどのコミュニティで活動。
「どちらかというと負けている人」を勝たせることに加担したい
ー 山口さんはどんな使命を持って働いていらっしゃいますか?
山口 僕のライフミッションは、自分の人生で出会った社会課題や、自分の身の回りの人の困りごとを、まだ世の中にない事業やアイディアで解決し、社会と未来に貢献することです。そして、そういう仕事をしながらも、自分の体調や、家族や友人との時間をないがしろにせずに、心豊かに過ごせるような生き方をしたいと思っています。
ー 社会課題や困りごとを解決したいと思うようになったのはどうしてですか?
山口 自分が小学生の頃に、スポーツを通じて当時高校生だったケニア人のお兄ちゃんと知り合って、そのお兄ちゃんからケニアの話を聞いていると、日本とは全く違う環境であることに気付かされたんですよね。例えば、「病院がなくて死ぬ」っていうことが普通にあるんだという衝撃を感じました。
それと、自分が育ってきた家庭環境も影響していると思います。家庭があまり裕福じゃなかったですし、父親が双極性障害を持っているので、自分自身もできるだけ親に迷惑をかけないようにしようという意識がありました。
そういうところから、どちらかというと負けている人を応援したいというマインドが育ちました。本人の努力とは関係なく、不利な状況にいる人に関わりたい、勝たせたいという気持ちが強いです。例えば、本人のパワーだけでは、脱出できないような状態に対して関わりたいという気持ちが強いです。ちょっとのサポートがあればその人の人生が切り開けるとか、その人の可能性が花ひらくとか。ちょっとのテコ入れで、人生が好転していくことがあると思うので、そこを担いたいという気持ちが強いです。
自分のライフミッションを追求するための場所がスタートアップスタジオであるガイアックスだった
ー そんな使命を持っている山口さんは、なぜガイアックスという環境を選んだのですか?
山口 自分が仕事をする環境に求めていることが三つあったんですけど、その全てが揃っているのがガイアックスだったんですよね。
一つ目は、仕事を通じて社会の課題解決や人の幸せに貢献できること。特に自分が当事者意識を持って0→1で事業を作ることにチャレンジできるかという点ですね。スタートアップスタジオの環境はまさにそういう環境でした。
二つ目は、自分から主体的に動ける環境があることです。それに関して、今でもよく覚えているエピソードがあるのですが、ガイアックスで内定者インターンをやっていた時、オフィスのトイレのゴミ箱が小さくて、月曜日に行くと溢れ出ちゃっていたんです。インターンを始めてすぐのタイミングだったんですけど、生意気ながらゴミ箱を変えることを提案させてもらって、それの提案をとても喜んでもらえて、感謝してもらえたんですよね。小さなことだけど、新しいことや、主体的に動くことを歓迎してくれる環境なんだな〜、働きやすさを感じました。
三つ目は、仕事のスキルと人間の器を大きくすることができる環境。この人みたいになりたい!みたいな人がいる環境を求めていて、ガイアックスにはそういう人がたくさんいました。
そして、単純に、ワクワクしたというのもありますね。直感的にここだな、みたいな。ガイアックスでは、社会をよくすることができそうだという期待感を持てた。自分らしさを生かしながら、貢献していけそうだなという感覚を持てたので、ガイアックスに入社しました。
自分の使命にど真ん中で向き合っていたら、ベンチャーに入社して1週間で起業していた
ー 入社してから今まで、どのような仕事をしてきましたか?
山口 僕は入社して1週間でオクリーというサービスで起業させてもらったので、そこでの事業づくりがメインの仕事です。他には、起業家の卵を発掘するために1on1で事業アイディアの壁打ち相手になるスタートアップカフェをやったり、そこで発掘した起業家が事業をグロースさせていくためのサポートも担ってきました。内定者インターン時代には、スタートアップスタジオから誕生したTechpitの初期フェーズで、なんでも屋さんみたいに動いていましたね。仮説検証のインタビューや、営業など、立ち上げ業務全般をやっていました。
(参考ブログ)「人を喜ばせることで誰もが社会に貢献できる世界を創りたい。」僕が株式会社オクリーを創業した理由。
ー 入社してすぐに自分の事業・会社を立ち上げられたということで、常に使命ど真ん中で仕事をしてきている感じでしょうか?
山口 そうですね、自分の事業ではまさに自分の使命ど真ん中。色々な葛藤もありますが、常に自分の使命と向き合っている感覚があります。スタートアップスタジオの業務でも、他の起業家の使命に向き合っている感覚があるので、とてもやりがいを感じています。
ー 色々な葛藤があるとのことですが、どのような葛藤を味わってきましたか?
山口 事業を作ることって、自分が持っている事業構想やビジョンを、現実の世界に落とし込むことだと思っているんですけど、現実世界で実現していく上では何十個も壁があって、それを乗り越えていくことに対して苦しみを味わってきましたね。
お金になるポイントと、本当に自分がやりたいことが一致しない苦しさ、とか。本質的に自分が提供したい価値と少しずれた部分で、売上が伸びたりするとなんとも言えない葛藤を感じます。それでも、ビジョンを曲げずにやり続けることが大事で、強い意志を持つことの大切さを感じますね。自分も意志が強い方だと思っていましたけど、まだまだだなと感じました。
例えば、好きな芸能人から自分宛のビデオメッセージを受け取れるマッチングサービスを作っていた時のことなんですけど。ビデオメッセージの売上の一部が、その芸能人が選んだNPOに寄付されるというコンセプトだったんですけど、そこコンセプト自体がなかなか受け入れられなかったんです。寄付するぐらいなら、その分収益を増やして欲しいと、ほとんどの芸能事務所から言われました。
ビジネスが成り立たないとやりたいこともできないので、社会貢献を前面には打ち出さない営業に変えたんですけど、大きな岩を動かすということができないという感覚を味わいました。営業の力不足と言ってしまえば、それまでなんですけどね・・・。
善意とお金が、滑らかに循環する世界を目指して
ー 山口さんが描いているビジョンはどういうものなのでしょうか?どんな世界観を目指して、事業を作っているんですか?
山口 一つは、大学生の時にミャンマーの病院で働いていた時の経験から、病気で入院している方々やその家族を喜ばせたいという思いがあります。
それと、とある経営者の方と話していた時に盛り上がった話なんですけど、例えば消費税の一部を負担している本人が、何に使うかを選べる社会って面白いな〜って思っています。例えば女子高生がコンビニでアイスを買って、消費税10円を払う時に、私は猫を飼っているから動物殺処分関連のところに払おうとか、私はお兄ちゃんが障害を持っているから障害者支援関連のところに払おうとか、そういう風になっていくと面白いなと思っています。
真面目なことを真面目にやっても広がっていかないので、エンタメや好きな芸能人を通じて社会に対して興味を持つきっかけを作っていきたいです。例えば、サッカー選手の長谷部誠さんがファンクラブをやっていて、その会員費の一部がワクチン代として寄付されているんです。長谷部さんのファンであるということで、ワクチンの問題に関心を持つサポーターも生まれていて、その世界観はすごいな〜と思います。
ー お金と善意が一緒に循環するような、滑らかな社会というイメージですかね。
山口 そうですね。世界観としては、クラウドファンディングとか大好きです!
「何」を頑張りたいかが見えていないと、「自由」な環境はフィットしない
ー ガイアックスでは「自由」に働くカルチャーがありながら、それには「責任」もセットで付いてくると思うのですが、山口さんは「自由」な環境をどう捉えていますか?
山口 スタートアップスタジオは、社外に対しても発信している通り、本当にフリーフラットオープンな環境です。「自由」って聞いて楽っていうイメージを持つ人もいるかもしれないけど、自由は全然楽なものじゃない。自分がやるべきことが見えているときはいいかもしれないけど、自由だから自分がやるべきことを見つけないといけないし、それをどうやってやるか、どんな成果を出しに行くかとかも自分で考えなさいよ、ってことなんですよね。
この環境が合う人にとって合うけど、自由さが苦しい人もいると思いますね。事業を作る初期フェーズって、成果も出しにくいし、はたから見たら仕事が全然進んでいないように見える。インターン生とか見ていても、カレンダーがスカスカで「そもそも何したらいいかわからないです」っていう子もいたりして、そういう子にとっては本当に苦しい環境なんだろうなって思います。
自由っていうのは、自分で決定できるやりがいはあるけど、その分の責任が伴うので、自分自身で自分をマネージメントする必要性を感じます。自分で何か作りたい事業がある人はフィットすると思いますね。自分の意思があって、自分で形にしていける人です。入社一年目でこんなにやらせてくれる会社はなかなかないと思いますね。
受け身の人にとっては、苦しい環境だと思います。頑張りたい意欲はあるけど、何を頑張りたいかはわからない人にとっては難しいかもしれないですね。「何を」の部分がある人じゃないと、成長していきにくい環境とも言えるかもしれません。ガイアックスで「ミッション」を大事にしているのは、まさにそこだと思うんですよね。「何を」が見えていないと難しい。逆にいうと、ミッションがある人にとってはとってもいい環境だと思いますね。
ライフミッションに立ち返る時に思い出す、ミャンマーの病院で目にした景色
ー ご自身のミッションを見つめ続けるために、大切にしていることはありますか?
山口 事業ミッションを見つめ続けるためには、自分の事業で喜んでくれている人に実際に会うことが一番の力になりますね。ミッションを再確認させてくれる感じがあります。
ライフミッションにおいては、それをやっていることが自然にワクワクするとか、高揚感があるとか、無理をしていない感じなので、自然とやっている感じです。そもそもそれが自分にとっての心地いい生き方みたいな感覚ですね。それが楽しいから以上にない、みたいな感覚です。
ー そこまでしっくりくるライフミッションにたどり着けたのはどうしてなんでしょうか?
山口 一つの出来事だけじゃなくて、もちろんたくさんのことが影響を与えているとは思うんですけど、一つ鮮明に覚えている光景があります。
ミャンマーの病院で働いていた時に、入院患者の方が入院費を稼げるように、病院のベットでジュエリー作りをできるようにしたり、病室のベットで保健教育を映像で学べる仕組みを作っていました。やっている当時は、自分がやっていることのインパクトの小ささに絶望したり、意味がないな・・・と6ヶ月ぐらい悩み続けていたんですけど。僕がその病院で働く最終日、2014年2月17日のお昼過ぎに、ジュエリーを作っている場所だけが病室なのにすごい活気に溢れて明るいという光景を見たんです。とっても楽しそうに「明日はこういうの作りたいね」なんて会話をしていました。
明日、もう僕はそこにはいないんだけど、楽しみながらお金を稼げる仕組みを作れたということに、とても充実感を感じました。「自分がやりたいというエゴ(自己満足)」と「人が喜んでくれること(社会性)」の両立ができれば、すごく頑張れるし、やりがいがあるな、将来もそういう生き方をしていきたいと、腹落ちした瞬間でした。今話していて思ったんですけど、あの2014年2月17日の感覚を味わうことが、僕にとって究極に満足度が高いことなのかもしれないと思いました。
ゆくゆくは、その感覚を持ちながらも、スケールが大きいことができるようになりたいと思っています。100人とかじゃなくて、何万人も喜んでもらえるようなことがしたいですね。
ミッションと経済性の両方を諦めない
ー 「使命で動く」という観点で、今後はどんなことに挑戦していきたいですか?
山口 ミッションを大事にやっていきたい!と言いたいんですけどね・・・そこの挫折も味わっているので、今はチャンスがある事業領域や、自分がやりたいと思ったことに、トライアンドエラーしていく時期なのかなと思います。3ヶ月一回ぐらい事業を変えながらでも、そのチャレンジする事業に対していしっかりミッションを持って、経済的にも成り立つような仕組みを作っていきたい。
自分のライフミッションが消えることはないので、それを大切にしつつも、今は現実的に株式会社という形をやっていいて、スタートアップとして急成長していく事業を作っているのでや、「稼ぐ」ということにちゃんと向き合う時期なのかなとも思います。お金をちゃんと稼いだこともないし、お金持ちでもないし、お金をいらないって言っても何にも説得力無いので・・・(笑)5億円ぐらい稼いでからどんな感覚を得られるのか見にいきたいなという気持ちです。
インタビュー・ライティング 荒井智子
編集後記
大学生時代の山口さんに出会った時、そのキラキラとしたエネルギーをみて、とてもワクワクしたことを今でもよく覚えています。入社してからすぐに起業して、数えきれないぐらいの葛藤を抱えながら、ここまで進んできたんだな〜と母親のような気持ちでインタビューをさせてもらいました。純粋な山口さんのミッションが、資本主義やビジネスの世界で、どう現実世界に解き放たれていくのか、とっても楽しみに見守っていきたいと思いました。